美容師

公開日:

【役職別】美容師の給料は手取りいくら?アシスタントやトップスタイリストの平均年収も解説

美容師への転職を検討している人は、給料形態や手取り金額、平均年収をはじめ、地域別や役職別で給料にどれほど差があるのかなどが気になるのではないでしょうか。

本記事では、給料の仕組みから手取り金額の決まり方、平均年収から見る手取り給料の実態、役職ごとの手取り給料を解説します。

これらを参考にして、理想のキャリアプランを思い描いてみましょう。

美容師の給料の仕組みとは?手取り金額の決まり方

美容師の女性

美容師の給料形態は、主に「固定給」「固定給+歩合給」の2つに分かれます。以下より、それぞれの仕組みと手取り金額の決まり方を解説します。

  • 固定給
    • サロンの売り上げへの貢献度に関係なく、毎月決まった金額が支払われる仕組みです。来客数が少なく店の売り上げが伸びなくても、安定した給料を得られます。
  • 固定給+歩合制
    • 安定した固定給に、指名数や売り上げへの貢献度による歩合給が上乗せされます。現在はこの仕組みが主流です。

手取り金額は、総支給額から社会保険や所得税・住民税を天引きしたものです。
総支給額には、残業代や通勤手当などの各種手当が含まれます。手取り金額は所得税率や保険料率、扶養家族の有無などの要素で変わるため、正確な金額の算出は難しいですが、一般的に総支給額の75~85%程度とされています。

美容師の手取り給料の実態

美容師の手取り給料

以下より、「初任給」「平均年収」「地域」の観点から、手取り給料の実態を見ていきます。

初任給と手取り

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、1年目の美容師・理容師の月給(所定内給与額)は約20万6,000円です。
サロンごとに多少の差額がありますが、平均年収は20万6,000円×12カ月で約247万円(年間賞与等を除く)と計算できます。

これに基づいて、初任給の平均を20万6,000円とした場合、手取り金額の平均は約15万5,000円(手取りの割合を75%で計算)です。

ただし、初任給の場合は住民税がかからない点や、翌月から保険料や年金を引かれる点により、実際の手取り金額は上記より少し高くなることが見込まれます。

※引用:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 14 一般_職種(小分類)_経験年数階級別DB」

美容師の平均年収と手取り

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、美容師・理容師の平均年収(企業規模10人以上のサロンに勤務する場合)は約380万円です。
以下はその詳細です。

  • 決まって支給する現金給与額:30万9,400円
  • 年間賞与その他特別給与額:8万4,600円
  • 年収:370万7,400円

※:平均年齢32.2歳、勤続年数8.3年、超過実労働時間数8時間

年収を380万円とした場合の手取り金額は約285万円(手取りの割合を75%で計算)です。月給の手取り金額40万円を目指すのであれば、総支給額が50万円以上になる必要があります。

※引用:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類」

地域によって美容師の給料は異なる

地域によって正社員の平均給料は異なります。

給料が他に比べて高い傾向にあるのは関東地方と関西地方ですが、特に東京や大阪などの大都市ではサロンによる給料の差が大きく、生活費や物価なども考慮に入れなければなりません。

また、パート・アルバイトも地域によって平均時給が異なります。
正社員とパート・アルバイトでは、社会保険料の有無などによって天引きされる金額も異なるので、注意が必要です。

地域

平均月給(正社員)

引用元(※)

北海道

21.2万円

北海道の美容師・サロン平均データ

東北

21.2万円

東北の美容師・サロン平均データ

関東

23.2万円

関東の美容師・サロン平均データ

北信越

20.1万円

北信越の美容師・サロン平均データ

東海

21.4万円

東海の美容師・サロン平均データ

関西

22.2万円

関西の美容師・サロン平均データ

中国

20.8万円

中国の美容師・サロン平均データ

四国

20.2万円

四国の美容師・サロン平均データ

九州・沖縄

20.8万円

九州・沖縄の美容師・サロン平均データ

※2024年7月29日時点のデータ
※随時更新されているため、最新情報は各都道府県別ページから平均データをご確認ください。なお、表示されている金額は手取り金額ではなく総支給額です。

【役職別に解説】美容師の手取り給料はどれくらい?

美容師の男性

美容師には、「アシスタント」「ジュニアスタイリスト」「スタイリスト」「店長・ディレクター」「トップスタイリスト」「サロンオーナー・経営者」などの段階や役職があります。

以下より、それぞれの手取り給料について解説します。

アシスタントの手取り給料

美容師の第一歩であるアシスタントの期間は、大体2~3年です。準備や片付け、受付業務などをこなしながら、スタイリストをサポートして経験を積み、技術を習得していきます。
アシスタントの平均月給は約21万円(手取り金額約16万円)、平均年収は約256万円(年間賞与を含む)、手取り金額は約192万円です。

※引用:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 14 一般_職種(小分類)_経験年数階級別DB」

アシスタントの仕事内容はスタイリストのサポートであり、指名がないため歩合制の恩恵を受けることはあまりありません。そのため、スタイリストとアシスタントで給料形態が異なるサロンも多いです。
また、美容師免許を持っていない場合は給料が低く設定される場合がありますが、就職後に免許を取得すれば、キャリアアップの一環として給料が上がる可能性があります。

ジュニアスタイリストの手取り給料

見習い期間ともいえるアシスタントの時期を経て、カットもそこそこ任せられるようになる、スタイリストとアシスタントの間に位置するポジションです。
大体4年目が目安ですが、サロンによっては存在しない場合もあります。

給料はおおむね、前述したアシスタントの月給に少し上乗せされた金額が支給されますが、サロンによって設定は異なります。この段階では、まだ指名料が発生しないところが多いです。

スタイリストの手取り給料

中には早くスタイリストになれる人もいますが、ここではキャリア5~9年目でスタイリストとして働く、一般的な美容師を例に解説します。

サロンの提供するサービスすべてに対応できるようになり、指名してくれるお客様がつくため、売り上げに応じた歩合の上乗せや各種手当が発生する段階です。指名の数次第では、給料がぐんと上がる可能性もあります。

スタイリストの平均月給は約26万円(手取り金額約20万円)、平均年収は約318万円(年間賞与を含む)、手取り金額は約239万円です。
なお、スタイリストになると、サロンによる給料の差も大きくなります。

※引用:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 14 一般_職種(小分類)_経験年数階級別DB」

店長・ディレクターの手取り給料

このクラスになるために要する期間は一般的なスタイリストより長く、キャリア10~14年を対象として解説します。

美容師としての仕事はもちろん、責任者としてサロンを切り盛りし、人材育成も行うポジションです。
役職手当の支給やサロンの売上に対応したマージンが発生することもあります。この点がスタイリストとの大きな違いです。

店長・ディレクターの平均月給は約29万円(手取り金額約22万円)、平均年収は約362万円(年間賞与を含む)、手取り金額は約272万円です。

※引用:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 14 一般_職種(小分類)_経験年数階級別DB」

トップスタイリストの手取り給料

トップスタイリストまで上り詰めていくと、キャリアは最も長い15年以上になります。この15年以上を対象として解説します。

高度な技術とお客様からの高い人気を兼ね備えた、文字通りの「サロンの花形」といえるポジションです。
歩合給の金額が格段に上がり、地域やサロンによっても大きく異なりますが、中でも首都圏などでは月収50万円を超えるベテランもいます。

トップスタイリストの平均月給は約31万円(手取り約23万円)、平均年収は約390万円(年間賞与を含む)、手取り金額は約293万円です。

※引用:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 14 一般_職種(小分類)_経験年数階級別DB」

サロンオーナー・経営者の手取り給料

スタイリストとして経験を積んでくると、独立を考える人が増えます。独立開業して経営が軌道に乗れば、年収1,000万円以上も夢ではありません。複数のサロンを運営するようになると、それ以上の年収も望めます。

美容師としての技術をさらに磨きつつ、経費節減など経営者としてのスキルを身につけていくことも大切です。努力次第によっては、手取り金額がさらに増えていくでしょう。

まとめ

手取り金額は、総支給額から社会保険や所得税・住民税を引いたもので、総支給額の75~85%程度です。

美容師の給料は、「固定給」「固定給+歩合給」の3つに分かれます。中でも、固定給+歩合給のシステムを設けているサロンが一般的です。はじめは歩合給が支給されないことがほとんどですが、経験を積み重ねてすべての仕事をこなせるスタイリストになり、お客様の指名による歩合給を上乗せしていくことで、給料アップを目指せます。

スタイリストとしてさらに経験を積み重ねていくと、店長・ディレクターやトップスタイリストまでにキャリアアップし、中には独立を考える人も多いです。独立開業し経営が軌道に乗れば、年収1,000万以上も夢ではありません。

美容師として活躍し、給料アップを目指す方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご参照ください。

▷「美容師の給料・年収はどれくらい?アシスタントから店長まで各ランクの給料など徹底比較【美容師監修】」

プロフィール画像

監修者齊藤 彩子

美容師

学校法人 国際共立学園 国際理容美容専門学校 美容科学科長

国際共立学園は創立69年の伝統ある学園で、職人の技術偏重主義に決して偏ることなく、あらゆる職業を通して、豊かな人間性を併せ持った職業人育成を目指している。『夢をかなえる 人づくり』を教育のテーマに、これまでの教育実績をさらに進化させ、社会に貢献できる人材を育成している。

プロフィール画像

監修者秋田 繁樹

特定社会保険労務士

社会保険労務士法人 秋田国際人事総研

2004年に秋田社会保険労務士事務所として開業スタートアップをはじめ中小企業の就業規則の作成や労働トラブルの予防や解決のためアドバイスを行っています。

執筆者0123