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美容室の定休日は月曜日・火曜日が多いって本当?土日休みではない理由について解説
美容師志望の方の中には「定休日以外に土日にも休みたい」「ワークライフバランスをとりにくそう」などと、不安に思っている人もいるのではないでしょうか?
一般的な美容室は、月曜日もしくは火曜日が定休日です。
土日はほとんどの美容室にとって稼ぎどきであり、休日ではない美容室が多いのも事実。
しかし近年は、土日に休める美容師も増加しています。
そこで今回は、美容室の定休日が「月曜日・火曜日」に多い理由や、土日がお休みになる場合についてご紹介します。
美容室の定休日は月曜日・火曜日が多いって本当?
美容室の定休日は平日が一般的で、中でも月曜日と火曜日が多い傾向にあります。全国的に定休日は月曜日が多く、火曜日定休は関東地方にとくに多い傾向です。
【定休日の曜日(複数回答)】
月曜日 | 74.7% |
---|---|
火曜日 | 35.7% |
日曜日 | 14.2% |
水曜日 | 2.8% |
木曜日 | 0.6% |
多くの美容室は、月に5日~6日定休日があります。
月曜日もしくは火曜日を固定の定休日とし、固定の曜日以外にも月に数回の休みを設ける勤務体系を取っている美容院が多いです。
一般的に定休日以外は、店舗をオープンさせ、交代で休みを取る形が取られます。
関東の美容室で「火曜日定休」が多い理由は?
関東地方の美容室の多くが火曜日定休を採用しているのは、戦後の電力不足が影響しているといわれています。
当時は電力不足を補うために、それぞれの地域ごとに休電日が設けられていました。休電日とは、エリアごとに決められた曜日に電力供給をストップして、あえて停電の日を作ることです。
当時のパーマは今のような薬剤ではなく、電極のついたロッドを何本も髪に巻き、電気を流してうねりを作っていたため、休電日には施術ができませんでした。
関東地方の休電日は火曜日だったことから、今でも火曜日定休が残っているようです。
関東以外の美容室で「月曜日定休」が多い理由は?
関東以外の美容室の多くが「月曜日定休」とするのは、関東以外の多くの地域で月曜日が休電日とされていたためといわれています。
しかし休電日が終わっても、月曜日定休のままなのは、ほかにも理由があるようです。
戦後美容室は数を増やし、お互いにお客様を取り合う競争が激しくなりました。そこで、美容室が安心して営業できるよう、それぞれの地域の組合は定休日をそろえるというルールを含めた「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律」という法律が作られました。
そして、多くの美容組合が月曜日を定休日として設定していたのです。
その後、適正化規定は平成10年(1998年)に完全に廃止されましたが、現在も月曜日を定休とする美容院が少なくありません。月曜日が美容院の定休日として一般的に浸透していることや、美容関係の勉強会や講習会が月曜日に開催されることなど、月曜日を定休日とした方がメリットが大きいためです。
定休日を月曜日とする美容組合が多かったことの名残として、現在も全国的に月曜定休の美容院が多いということです。
美容室の定休日が「月曜日・火曜日」であることのメリット4選
定休日を月曜日・火曜日など平日にすることで、美容室自体にも、そこで働く美容師にもメリットがあります。
それぞれのメリットを2つずつご紹介します。
1.土日休みのお客様が多くサービス提供がしやすい
学生・社会人ともに土日休みのお客様が多いため、土日に営業したほうがサービス提供しやすく集客も見込めます。
また、月曜日から仕事や学校が始まる学生や社会人の方は、リフレッシュの目的もかねて土日の来店を希望される方が多いです。
リピーターの継続や新規顧客の獲得のためにも土日に営業することは重要であると考えられます。
2.美容室全体で休みが統一されている
適正化規定がなくなった今でも、美容室全体で月曜日もしくは火曜日定休が統一されていることで、過当競争が起こりにくくなっています。
また、月曜日以外に休業することは、顧客サービスの面でリスクがあります。
例えば、一般的に「美容院の休み=月曜日」の認識が浸透しているため、別の曜日に休業すると、お客様が通いにくいと感じるかもしれません。あるいは、予約をしようとしたお客様が、定休日を勘違いして問い合わせをしてしまう可能性もあります。
休みが統一されていることで、お客様の中でも「美容室は月曜日(もしくは火曜日)が休み」という共通認識ができ、ご迷惑をおかけすることも少なくなるでしょう。
3.美容師が平日休みを満喫することができる
平日に休めることで、土日休みの人にはできない休日の楽しみ方ができます。平日休みの具体的なメリットは、以下のとおりです。
- 人気スポットが混雑しておらず、快適にレジャーを楽しめる
- 土日よりも安い平日料金で飲食店や施設などを利用できる場合がある
- 発売直後に売り切れが予想されるチケットやグッズなどを購入できる
- 金融機関や行政手続きなど、平日のみ対応の施設を利用できる
休日を効果的に活用することで、メリハリをつけて仕事に集中できるでしょう。忙しい土日の直後の月曜日や火曜日に休みが設定されていることも、メリハリのある働き方に効果的であるといえます。
美容師の休日については以下の記事でも詳しく解説しているので、興味がある方は合わせて確認してみてください。
▷美容師の年間休日は少ない?年間休日日数や休みが取りやすい美容室の特徴を解説
4.美容師向けのイベントなどに参加しやすい
美容師向けの講習会や勉強会は、美容師の定休日にあわせて開催されるケースが大半です。そのため、スキル向上の意欲が高い方は、休日を効果的に活用して技術を高められるでしょう。
また、休みが統一されていることで、他店の美容師や専門学校のときの友人と交流して情報交換するなどをする際にも、無理に休みを調整する必要がありません。
美容師でも土日に休みを取れる?
「美容師は、基本的に土日には休めない」とのイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、土日休みの友人と会ったり、結婚式に参加したりと、土日祝日に休みが必要なこともあるでしょう。
美容師は、来客の多い土日に休むことは難しいと諦めている人もいるかもしれませんが、実は土日に休める働き方もあります。
シフト制で土日に休みを取ることができる美容室もある
最近は、土日に休める美容室も増えてきました。
ひと月当たりの美容師の平均休日は5~6日といわれていますが、一般的な企業のように週休二日制を導入する美容室も増加しています。
これまでは、土日はよほどのことがない限り休めない風潮もありましたが、近年は土日休みをシフトに組み込んでいる美容室も増えてきました。
美容室によってシフトの組み方や土日休みを希望できるかなどは異なるため、自身の希望に合った条件の美容室を探しましょう。
日曜日が定休日の美容室もある
定休日を日曜日に設定している美容室もあります。
通常、稼ぎどきである土曜日や日曜日は、お店としては営業したいものです。しかしスタッフにとって、土日に休めないのはマイナス要因となることもあります。
そこで、集客数を落とさないような工夫をしながら、スタッフが働きやすくなるように日曜定休の美容室も増加しています。
フリーランスの美容師になると、土日に休むことも可能
美容師は、美容室でスタッフとして働くだけでなく、フリーランスで働く方法もあります。
フリーランスであれば基本的に休みは自由に設定できるため、土曜日や日曜日に休むことも可能です。フリーランスとしての働き方には、2通りの方法があります。
- 面貸し
- 業務委託
それぞれの違いを比較してみましょう。
1. 面貸しを利用した働き方
「面貸し」とは、美容室の一部を借りて、お客様に施術する方法です。
美容室へは、時間当たりの費用もしくは、売上に対して数%を支払う歩合制のどちらかの方法で料金を支払います。
通常、面貸しの場合は、自分自身が集客したお客様に対して施術を行います。そのため、SNSや口コミなどにより、集客活動が必要です。
美容室では、スタイリストやアシスタントが協力して1人のお客様の対応をしますが、面貸しは1人で最初から最後まで担当するため、お客様の満足度が高くなりやすい点はメリットでしょう。
また、予約が入らない日は自由に時間を使えることや、休日の設定を自分の裁量で決められるなど、時間に関してもかなり自由に働くことが可能です。
2. 業務委託としての働き方
「業務委託」とは、カットやカラーなどの「業務」を美容室から「委託」される働き方で、歩合制で支払われます。
面貸しは自分自身で営業活動をしてお客様を確保しなければなりませんが、業務委託はリピーターのお客様や、その美容室の新規のお客様のカットを任されます。また、店舗に雇用されているわけではないため、清掃や在庫管理などの雑務も行わない場合もあります。
シフトもないため、複数の店舗と契約することも可能です。美容室によっては、「1日何時間仕事をする」「ひと月あたり何日以上は出勤する」など、契約の際に決めることはありますが、基本的には自分の裁量でどの程度働くか決められます。
独立開業しサロンオーナーとして働くことで土日に休める場合もある
独立開業し自身がオーナーとなれば、土日を休みにすることも問題ありません。
とくに、スタッフを雇用せず一人で営業する場合、予約が入っていなければ、病院やお子さんの学校行事などプライベートなことを優先させることも可能です。軌道に乗れば、美容室に雇用されてスタッフとして働くよりも、多くの収入も見込めるでしょう。
ただし、経営に関する知識を身に付けたり、開業するために初期費用が必要になるなど、面貸しや業務委託以上に下準備が重要となります。
まとめ
美容室の定休日が、月曜日・火曜日なのは、戦後の電力不足による「休電日」や、過当競争を避けるための「適正化規定」が理由になっていると考えられています。
「休電日」や「定休日を統一するルール」はなくなったものの、お客様の中でも、美容室は「月曜日か火曜日が休み」という認識があり、現在でもそのままの休みが継続されている状態です。
月曜日や火曜日を定休日とすることで、サービス提供がしやすいことや美容師向けのイベントに参加しやすいなど、さまざまなメリットもあります。
土日にも休みたい、プライベートと仕事の両立がしにくいのではなど不安要素があるかもしれませんが、近年は、美容師も自由に休みを取りやすくなってきています。
フリーランスという働き方もあるため、ワークライフバランスのとれる方法を見つけ、自分らしく美容師の仕事を楽しんでください。
監修者:齊藤 彩子
美容師
学校法人 国際共立学園 国際理容美容専門学校 美容科学科長
国際共立学園は創立69年の伝統ある学園で、職人の技術偏重主義に決して偏ることなく、あらゆる職業を通して、豊かな人間性を併せ持った職業人育成を目指している。『夢をかなえる 人づくり』を教育のテーマに、これまでの教育実績をさらに進化させ、社会に貢献できる人材を育成している。
監修者:秋田 繁樹
特定社会保険労務士
社会保険労務士法人 秋田国際人事総研
2004年に秋田社会保険労務士事務所として開業。スタートアップをはじめ中小企業の就業規則の作成や労働トラブルの予防や解決のためアドバイスを行っています。