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【2024年度最新】美容師国家試験の内容は? 合格率や日程、受験資格も解説

美容師を目指す方々にとって、美容師国家試験は大きな一歩となります。

この記事では、試験の内容から合格率、日程、受験資格までを詳細に解説し、美容師への転職を検討する方々にとってためになる情報をまとめています。仕事をしながらの転職を考えている方にも参考となる内容も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

美容師国家試験とは?

美容師のカットしている手元

美容師国家試験は、美容師としての資格を取得するための重要な試験です。美容師として働くためには、この資格に合格することが必須条件となっています。これに合格すると、美容室やサロンでの勤務や、将来的な独立開業が可能となります。試験を受験することで、専門的な知識やスキルを証明し、美容業界でのキャリアを築く一歩となります。

以下ではまず、美容師国家試験についての概要と、受験資格を得るためのステップを紹介します。

試験の概要

受験料について、直近の第49回(実技試験:2024年2月1日~ / 筆記試験:2024年3月3日)の受験案内を参考にすると、実技試験および筆記試験両方を受験する場合は25,000円、一部免除により実技試験や筆記試験のみ受験する場合は12,500円です。

美容師国家試験は年に2回、秋期(7~9月頃)と春期(1~3月頃)に実技試験と筆記試験が行われます。試験開始から合格発表まで、期間は2カ月ほどかかります。

受験会場については、他県へ行かなければ受験できない地域があります。また、筆記試験は実技試験より大幅に開催地が少なくなるので、会場が必ずしも同じでないことが考えられます。

以上の点を含めて、旅費や日程を調整する必要があります。各試験の詳細な実施会場や合格発表の時期については、理容師美容師試験研修センターの公式サイトを参照してください。

受験資格を得るには

美容師国家試験を受験するためには、まず受験資格を取得する必要があります。受験資格の取得には、美容学校への入学が不可欠です。美容学校の通常のカリキュラムでは、美容師免許を取得するために最低2年間の学習期間が必要です。

美容専門学校では昼間・夜間・通信の3つの課程が用意されており、それぞれ受験資格の取得時期が異なります。

  • 昼間課程

    週5日通学し、2~3年間の学習で費用相場は約200~300万円

  • 夜間課程
    平日の夕方~夜に通学し、2~3年間の学習で費用相場は約150~200万円
  • 通信課程
    自宅学習が主で、3年間の学習で費用相場は約50~70万円

通信課程が最も低価格で、自分のペースで進められるため、仕事や時間に余裕がない人にも適しています。

なお、試験が一部免除される場合もあります。前回の試験で筆記・実技の両方を受験し、どちらか一方のみ合格した場合は、次回に限りその試験の受験が免除されます。また、すでに理容師免許を有している者は、申請により美容技術理論を除く筆記試験が免除されます。

美容師国家試験の内容

美容師がカットの練習をしている様子

続いて、美容師国家試験の具体的な内容について解説します。

実技試験

実技試験では第一課題と第二課題があり、ウィッグを使用して施術を行います。

  • 第一課題:カッティング

    カッティングでは20分の試験時間内に、指定されたスタイル構成や技術条件に基づいてカッティングを行います。

  • 第二課題:セッティング

    セッティングには「ワインディング」と「オールウェーブセッティング」の2つの課題があり、年によってどちらが出題されるかが発表されます。ワインディングは20分、オールウェーブセッティングは25分の試験時間が与えられます。

同時に行われる衛生実技審査試験では、「動的審査」「静的審査」「確認的審査」の3つに分かれています。

  • 動的審査

    安全面や衛生面に留意し施術しているかなどが評価されます。

  • 静的審査
    試験にふさわしい服装や適切な用具の使用が評価されます。
  • 確認的審査

    試験後に使用した用具を正しく衛生的に処理が行えているかが評価されます。

実技試験に備える際は、時間内で自信をもって施術できるよう、本番を想定した環境で何度も練習しましょう。これにより、試験本番でも冷静な状態で臨めます。

筆記試験

筆記試験では、「関係法規・制度」「衛生管理」「保健」「香粧品科学」「文化論」「理容技術理論(美容技術理論)」「運営管理」の7課目から5課目が選ばれ、55問が出題されます。ひとつの分野に重点を置きすぎると、ほかの分野がおろそかになる可能性があるため、バランスよく勉強することが重要です。

美容師国家試験の合格基準

ここでは第48回の試験を参考に、実技試験と筆記試験それぞれの合格基準について解説します。最新情報を知りたい方は、理容師美容師試験研修センターの公式サイトをご確認ください。

実技試験の合格基準

実技試験は「減点方式」になっています。基礎的技術試験の第一課題は減点30点以下、第二課題はワインディング・オールウェーブセッティングのいずれかであり、第48回はオールウェーブセッティングで減点30点以下が合格基準でした。

また、同時に行われる衛生実技審査試験の合格基準は、減点20点以下です。

筆記試験の合格基準

筆記試験の合格基準は、通常60%以上の正答率が求められます。しかし、どれかひとつの課目でも無得点(0点)がある場合は、合格とはなりません。

なお、受験者がすでに理容師免許を所持しており、美容技術理論のみの受験を申し出た場合については、美容技術理論12問中7問以上の正答数で合格とする特例があります。

美容師国家試験の合格率

美容師国家試験の合格率は、年2回のうち偶数回(春期)は50~60%程度であるのに対し、奇数回(秋期)では90%に迫ることもあるなど、受験時期によって大きく変動します。

美容師国家試験の合格率は一般的に、奇数回(春期)のほうが高い傾向にあります。これは試験の難易度に差異があるわけではなく、2年制専門学校の卒業時期が近いためです。奇数回の試験では、同じ時期に卒業する受験者が多くなり、それに比例して合格率が上昇しやすいと考えられます。

また、先述したように一部試験を免除されるケースもあるので、秋期の試験で不合格だったものの免除措置を受け、再挑戦にあたって片方の試験に集中できた、といった状況が間々あることも合格率の変動に影響しています。

2017年3月に美容師法施行規則が改正されたことを受け、2019年春期から新制度による筆記試験が行われています。2024年3月までは旧制度と新制度の移行期間なので、最新の情報を確認し、万全に対策していきましょう

新制度による筆記試験実施要領は、理容師美容師試験研修センターの公式サイトを参照してください。また、制度改正に伴う詳しい変更内容は、厚生労働省のホームページで詳しくまとめられています。

美容師国家試験の日程と開催場所は?

美容師国家試験に向けて勉強している女性

美容師国家試験の実技試験日程や試験地は、毎年変動します。ここでは例として、第49回の実施要領を紹介します。最新の情報について知りたい方は、理容師美容師試験研修センターの公式サイトをご確認ください。

実技試験日程と開催場所

実技試験の日程や試験地は毎年変更されます。各都道府県で実施されていますが、該当でない地域もあるため注意が必要です。
第49回の開催時期・場所は、以下の通りです。

  • 試験日程 2024年2月1日(木)
  • 試験会場 滋賀県を除く各都道府県

筆記試験日程と開催場所

筆記試験の日程や場所も、試験ごとに変更されます。筆記試験は各都道府県ではなく、実技試験よりも開催場所が限定されるため、こちらも注意が必要です。
第49回の開催時期・場所は、以下の通りです。

  • 試験日程 2024年3月3日(日)
  • 試験会場 次の16都道府県で実施(北海道、岩手県、宮城県、群馬県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、愛知県、大阪府、岡山県、広島県、愛媛県、福岡県、鹿児島県、沖縄県)

美容師国家試験の申し込みから合格発表までの流れ

続いて、申し込みから合格発表までの大まかな流れについて解説します。

願書の入手と提出

美容師国家試験の受験願書は、理容師美容師試験研修センター本部もしくは各ブロック事務所、各養成施設にて配布されます。配布期間は願書の提出期間まで含めて約3週間と限られているので、事前にスケジュールを把握しておくことが大切です。郵送による配布も希望できるため、そちらも理容師美容師試験研修センターのサイトで確認しましょう。

願書の提出方法は、願書と一緒に配布された封筒に提出書類を封入し、簡易書留にて郵送します。
※理容師美容師試験研修センター「理容師受験手続(受験願書の入手方法・提出方法)」

申込書類

受験願書には、写真、受験資格を証明する書類、受験料払込証明書の添付が必要です。不備がある場合は受け付けてもらえないので、必要な書類を確認し、提出期限までに不足のないよう準備しておきましょう。

結果発表の日程・発表方法

試験結果の発表日程は、第49回は2024年3月29日(金)です。

発表方法については、合格者の受験番号がセンターに掲示されます。試験者全員に通知が送られますが、センターでの掲示を確認するか、センターの公式サイトで受験番号を入力することで、いち早く確認できます。

美容師国家試験合格後の免許申請手続きと注意点

美容師国家試験に合格したあと、有資格者としての業務を開始するためには、免許申請の手続きが必要です。免許申請は、理容師美容師試験研修センターが管理している美容師名簿への登録を含み、この登録が完了して初めて業務が可能になります。

この手続きをスムーズに進めるためには、以下の手順と注意点を確認しておくことが必要です。

美容師免許申請に必要な書類とその送付先

免許申請には必要な書類があります。理容師美容師試験研修センターの公式サイトから申請書をダウンロードし、必要書類や手数料を送付する手続きを行います。送付先や手数料の詳細についても確認しておきましょう。

免許申請で用意しなければならない必要書類は、以下の通りです。

  1. 免許申請書:1通
  2. 本籍地の記載された住民票もしくは戸籍抄(謄)本:1通(発行後6カ月以内)
  3. 医師の診断書:1通(発行後3カ月以内)
  4. 合格証明書:1通
  5. 収入印紙(登録免許税9,000円分):1枚
  6. 郵便振替払込金受領証(手数料5,200円):1枚
    ※2024年3月時点

書類が準備できたら、理容師美容師試験研修センターへ送付します。申請から免許証が手元に届くまでには、通常2~4週間程度の時間がかかるため、合格後は迅速に申請手続きを進めましょう。
※理容師美容師試験研修センター「免許に関する申請書の⼊⼿⽅法・送付先・⼿数料の払込先」

美容師国家試験合格に向けた対策・ポイント

美容師のハサミや道具

美容師国家試験合格に向けて押さえておきたい対策やポイントをいくつか紹介します。これらのアドバイスを参考に、効果的な学習と準備を行い、合格に近づけましょう。

時間制限を意識して実技の練習を繰り返す

実技試験では時間制限があるため、繰り返し練習して時間内に施術できるスキルを身につけましょう。また、緊張状態でも落ち着いて作業できるように練習することも重要です。リアルな試験状況を想定してトレーニングし、自信をつけておくと試験当日も冷静に対応できます。

普段から衛生面や道具の扱い方に気をつける

実技試験では、衛生面や使用する道具の取り扱いも審査されます。普段から清潔な状態を保ち、細かな規定にも注意を払うことで、試験本番で安定したパフォーマンスを発揮できます。これは美容師としての基本スキルでもあるため、日常の仕事にも活かされます。

筆記試験の過去問を解く

筆記試験に備えて過去問を解くことで、出題傾向を把握できます。理容師美容師試験研修センターの過去問や専門の書籍、アプリなどを利用して効果的な学習を行いましょう。特に、最新の過去問を解くことで、試験の難易度や重要なトピックを理解し、本試験に自信をもって臨めるようになります。
※理容師美容師試験研修センター「過去の筆記試験問題」

模擬試験で本番さながらの環境を体験する

模擬試験を受験することで、本番と同様の緊張感や時間制限を体験できます。自宅や学校などで模擬試験を行い、本番に向けての対策を練りましょう。模擬試験の結果を分析し、弱点を補強することで、本番でのパフォーマンス向上が期待できます。

国家試験合格後の美容師のキャリア

美容師国家試験に合格したら、次は自身のキャリアを築くステップに進みます。最後に、試験合格後のキャリア形成について簡単に紹介します。

ヘアサロンへの就職(始めはスタイリストのサポートから)

多くの美容師が最初に進むキャリアのひとつは、ヘアサロンでの仕事です。始めは経験を積みながら、スタイリストのサポートやアシスタントとして活動し、実践的なスキルを向上させていきます。ここで基本的な技術を磨くと同時に、お客様とのコミュニケーションスキルも発展させます。

美容師以外の進路(結婚式場のヘアメイク、ネイリストなど)

美容師資格を活かして、ヘアメイクやネイリストなど、美容師以外の分野に進むことも可能です。結婚式場でのヘアメイクやネイルサロンでの活動など、多岐にわたる選択肢があります。自分の興味や得意分野に応じてキャリアを広げましょう。

サロンで基礎を学んだあとは、フリーランスや開業も

ヘアサロンで基礎を学んだあと、独立してフリーランスとして働くか、自分のサロンを開業する選択もあります。ビジネススキルや顧客サービスの向上が求められますが、自身のスタイルで仕事ができます。ここではクリエイティブな要素が強く求められ、個性を発揮する場でもあります。

まとめ

この記事では、美容師国家試験についての概要や受験までの流れ、合格基準、合格率、試験日程などについて詳しく解説しました。美容師への転職を検討している方にとって、国家試験の情報は非常に重要です。さまざまな情報をしっかりと把握し、万全の体制で試験に臨めるよう備えましょう。

美容師国家試験に合格することは、自分の夢や目標に向けて一歩を踏み出す大きなステップとなります。また、努力と経験を積み重ねることによって、キャリアの選択肢も広がります。

美容師になるためには国家資格取得が必要ですが、通信や夜間の学習プログラムを活用すれば、働きながらスキルアップが可能です。自身に合ったカリキュラムを選択し、過去問なども利用しながら効率的に学習しましょう。

プロフィール画像

監修者emi

トップスタイリスト

EIL GROUP

トップスタイリストの技術・一流の薬剤・リーズナブルな価格で人気を集め、全国で店舗展開しているトータルビューティーサロン「EIL GROUP」(合同会社LIBEX)に7年勤務。美容師歴25年。ヴィダルサスーンヘアカラーグランプリ受賞。骨格診断、カラー診断を用いたカウンセリングに定評があり、似合わせを得意とする。

執筆者narako