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理容師の平均年収はどれくらい?収入UPを実現する7つの方法

現在、理容師として働いている方はもちろん、将来的に理容師になりたいという方にとっても、どれくらいの収入を得られるのかは重要な関心事です。

本記事では、厚生労働省のデータなどを参考に、理容師の平均年収や年齢別・地域別の収入について紹介します。

年収をより上げるための具体的な方法についても解説していますので、稼げる理容師を目指しているのであれば、ぜひ、参考にしてください。

理容師の平均年収は約380万円

理容師の年収

厚生労働省が公表している「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、理容・美容師の平均月収・年収は企業規模10人以上の店舗に勤務する人で以下の通りです。

  • 平均年収:379万7,400円
  • きまって支給する現金給与額(※1):30万9,400円
  • 所定内給与額(※2):30万5,100円
  • 超過労働給与額:4,300円
  • 年間賞与その他特別給与額:8万4,600円

※:平均年齢32.2歳、勤続年数8.3年、超過実労働時間数8時間
※1きまって支給する現金給与額:所得税や社会保険料などを差し引く前の金額(基本給に加え職務手当や通勤手当・残業代などが含まれている)
※2所定内給与額:きまって支給する現金給与額から残業代や休日出勤代など超過労働給与額を差し引いた額
※引用:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類」

同調査によれば、会社員の平均年収は311万8,000円(男性342万円、女性258万9,000円)であり、理容・美容師の年収は調査対象全職種の平均に比べるとわずかに高くなっています。

年齢別の平均年収

理容師の年収は年齢によっても大きく変わります。厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」によれば、年齢別の平均年収は以下の通りです。

年齢

平均年収

〜19歳

240万0,500円

20~24歳

271万0,900円

25~29歳

381万9,100円

30~34歳

468万3,200円

35~39歳

535万5,200円

40~44歳

487万1,500円

45~49歳

472万6,300円

50~54歳

387万9,800円

55~59歳

461万4,300円

60~64歳

371万9,800円

65~69歳

261万4,900円

※引用:厚生労働省「job tag 理容師」
※2024年7月29日時点

35~39歳の約535万円をピークに、それまでは年齢が上がるごとに年収も上昇し、40~45歳以降は徐々に下がるという山型を描いています。
ただし、実際のところは「年齢が上がると年収が上がる」というよりも、「年次(勤続年数)が上がると年収が上がる」と考える方が適切です。

年齢と年次(勤続年数)とが擬似的な相関関係であると考えられ、同じ年齢層でも新卒から一貫して働き続けている人と、転職で途中入社した人とでは、年収は多少異なるのが一般的です。

また、サロンでは一部、歩合制を採用しているところもあるため、若い理容師の方が年上の理容師よりも多く稼ぐという逆転現象が見られることもあります。

地域別の平均年収

理容師の年収は地域によっても差があります。地域別の平均月給(正社員)と平均時給(パート・アルバイト)は以下の通りです。

地域

平均月給(正社員)

平均時給(アルバイト・パート)

引用元(※)

北海道

21.1万円

1,006円

北海道の理容師・サロン平均データ

東北

21.7万円

933円

東北の理容師・サロン平均データ

関東

23.4万円

1,181円

関東の理容師・サロン平均データ

北信越

19.5万円

989円

北信越の理容師・サロン平均データ

東海

22万円

1,138円

東海の理容師・サロン平均データ

関西

22.6万円

1.096円

関西の理容師・サロン平均データ

中国

21.5万円

1,024円

中国の理容師・サロン平均データ

四国

19.8万円

1,160円

四国の理容師・サロン平均データ

九州・沖縄

19.3万円

951円

九州・沖縄の理容師・サロン平均データ

※2024年7月29日時点のデータ
※随時更新されているため、最新情報はこちらの各都道府県別ページから平均データをご確認ください。

理容師がより年収・収入UPを実現する6つの方法

理容師の男性

ここまで見てきたように、理容師の平均年収は年齢や就業する地域によって変わってきます。
ただし、これらの金額はあくまで「平均」です。実際には平均より収入が低い人もいる一方で、年収1,000万円を超えるような人もいます。

ここでは、理容師が年収・収入を上げるポイントを解説していきます。

  1. 長く働いて技術力を向上させる
  2. 指名客を増やす
  3. スキルを活かしてより良いサロンへ転職する
  4. 独立開業してオーナーになる
  5. 差別化のためにオリジナルメニューを考案する
  6. SNSなどで発信しセルフプロデュースを行う

1. 長く働いて技術力を向上させる

最も着実に年収・収入を上げる方法が、長く働いて自らの技術力を向上させることです。

先述の通り、理容師の平均年収は45~49歳の404万2,100円まで、年齢が高く≒勤続年数が長くなるほど高くなっていきます。
同じサロンで長く勤務して技術力を高め、お客様や上司・同僚からの信頼を厚くしていけば、収入は着実に増加していきます。

2. 指名客を増やす

年収・収入を上げる2番目の方法は、指名客を増やすことです。
多くのサロンでは、特定の理容師を指名する際に指名料がかかります。この指名料が給与に上乗せされるため、指名客が増えることで収入が増加します。

例えば、指名料が1,000円で、その全額が理容師に入る場合、1日1人のお客様から指名があり、1カ月22日勤務したとすれば、月給が22,000円アップします。

指名客を増やすためには、高い技術力が必要です。
そのためには、丁寧な対応を心がけ、お客様との良好な関係を築くことが重要です。
技術力を高めることで、そのスキルを目当てに来店するお客様も増えていくはずです。

3. スキルを活かしてより良いサロンへ転職する

思い切って働く環境を変えてみるのも、収入を上げる一つの方法です。
高いスキルを持っているなら、今よりもよい条件のサロンで働ける可能性があります。

サロンによって、基本給や残業、休憩、休日などの条件は異なります。そのため、条件のよいサロンに転職するだけで給料がアップすることもあります。

転職先としては、次のようなサロンがおすすめです。

  1. 常連客が多い有名サロン

    こういったサロンでは、安定した収入が期待できます。常連客が多いので、指名料も安定してもらえる可能性が高いです。

  2. 歩合制を導入しているサロン

    自分の技術に自信があるなら、歩合制のサロンでは収入を大きく増やせる可能性があります。ただし、基本給が低いことが多く、指名客が少ないと逆に収入が下がるリスクもあります。

どちらの場合でも、自分のスキルと目指す働き方に合ったサロンを見つけることが大切です。

4. 独立開業してオーナーになる

独立開業して自分がサロンのオーナーになり、年収・収入UPを目指してみる方法もあります。個人店からスタートし、店を大きくすることができれば、高収入が期待できます。

独立開業に際して、これまで勤めていたお店の指名客などが、開業したサロンにそのまま流れてきてくれる場合もあります。
ただし、サロンのオーナーとして成功するには、理容師としての技術だけでなく、経営者としての能力も欠かせません。

資金繰りや営業活動など、理容師の本業以外の部分で悩まなければならないことも増えます。
失敗すれば借金を抱える可能性もあり、ハイリスクですが、ハイリターンの方法です。

5. 差別化のためにオリジナルメニューを考案する

特に独立開業して成功するためには、ほかの理容師やサロンにはない独自の強みをもつことが重要です。
差別化のための強力な施策がオリジナルメニューを考案することです。

例えば「シェービングなども含めた総合的なコースを作る」「質の高いパーマ剤・カラー剤を使用する」など、ほかのサロンにはない独自のサービスを打ち出すことで集客力の向上を図り、年収・収入UPを目指します。

6. SNSなどで発信しセルフプロデュースを行う

最後に紹介する方法が、SNSなどで積極的に情報を発信し、セルフプロデュースで集客力を上げ、年収・収入UPを図るというものです。
SNS投稿を通じて、カット技術などをアピールして、自分やサロンの認知度を上げ、新規顧客の開拓につなげます。

特に独立開業した場合には、サロンのコンセプトの周知やブランドイメージの浸透も重要で、さらに緻密なマーケティング戦略を構築できれば、成功する確率は高まります。

理容師資格と美容師資格のダブルライセンスで年収UP?メリット・デメリットを解説

美容師の女性

年収アップを実現するには、理容師資格と美容師資格の両方=ダブルライセンスを取得して活動するという方法もあります。この方法は特に独立開業する場合やフリーランスとして活動する場合に有効です。

ここでは、ダブルライセンスの概要とメリット・デメリット、さらに年収アップの可能性について解説します。

ダブルライセンスとは?メリット・デメリットも紹介

理容師と美容師とでは、お客様に提供できるサービス範囲が異なります。
一人で理容師・美容師両方の資格をもつことによって施術範囲を広げ、お客様のトータルビューティに貢献できるようになるのがダブルライセンスの大きなメリットです。施術範囲が広がることによって、より幅広い層のお客様を獲得できる可能性が高まります。

一方で2つの資格が必要になるため、労力の面でも費用の面でも資格取得の負担は大きくなります。

ダブルライセンスを取得すると、年収はUPできるのか?

ダブルライセンスの取得は年収アップにつながる可能性がありますが、条件付きです。
一般的なサロンに雇われている立場だと、理容師・美容師双方のスキルを同時に活かせる機会はあまりありません。結局、使えるのはどちらか一方になってしまい、年収アップにつなげるのは容易ではありません。

しかし独立開業した場合は、例えばファミリー層をターゲットに、親子で来店したお客様に理容・美容双方のサービスを提供するなど、サロンの売りにすることもできます。

ダブルライセンスは年収・収入UPの強力な武器にはなりますが、活かせるか否かは、どのような立場にいるかで変わってきます。

まとめ

理容師の平均年収は約380万円(※)です。
一定の年齢までは長く勤務しているほど年収は上がっていく傾向にありますが、指名客を増やしたり、より条件のよいサロンへ転職したりすれば、さらに年収・収入UPを図ることも可能です。
※引用:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類

ハイリスクではあるものの、独立開業してオーナーになるのもひとつの手です。
その際には、ダブルライセンスを利用したサービスなど、サロン独自の強みをもつことが重要です。

どのような方法を採る場合でも、年収を上げるための基本は技術力の向上です。
本記事を参考に、ぜひ年収アップに取り組んでみてください。

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監修者池田 昌央

理容師

学校法人 国際共立学園 国際理容美容専門学校 理容科学科長

国際共立学園は創立69年の伝統ある学園で、職人の技術偏重主義に決して偏ることなく、あらゆる職業を通して、豊かな人間性を併せ持った職業人育成を目指している。『夢をかなえる 人づくり』を教育のテーマに、これまでの教育実績をさらに進化させ、社会に貢献できる人材を育成している。

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監修者秋田 繁樹

特定社会保険労務士

社会保険労務士法人 秋田国際人事総研

2004年に秋田社会保険労務士事務所として開業スタートアップをはじめ中小企業の就業規則の作成や労働トラブルの予防や解決のためアドバイスを行っています。

執筆者masuda