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美容師の年間休日は少ない?年間休日日数や休みが取りやすい美容室の特徴を解説
美容師は、休みが少ないイメージをもつ人もいるのではないでしょうか?
「営業中は立ちっぱなしで、慌ただしく仕事をするだろうから、休日はしっかりもらいたい」
「ショッピングや友達に会うなど英気を養う時間が欲しい」
など、美容師になった後の休日のことを心配している人もいるでしょう。
実は近年、美容師は以前に比べて、休日が増加傾向にあります。
そこで本記事では、美容師の平均的な年間休日日数や有給休暇の取得事情、しっかり休みの取れるサロンで働く方法などについてご紹介します。美容師目指して頑張っている方や、休みを多く取れるサロンへ転職を検討中の方はぜひ参考にしてください。
美容師の休日日数はどれくらい?
月6~7日休みが一般的
美容院に勤務する美容師は、一般的に1ヶ月あたり6~7日の休みが設けられています。
1ヶ月の休みが6~7日の場合、1週間に1回の固定の休みと隔週の1日の休みが設定されるケースが多いようです。
一方で、近年では完全週休2日制を導入する美容院も増えています。さらに、年末年始や夏期などにまとまった休日を取得できる美容院もあります。
完全週休2日制やまとまった休日を取得できる体制にするためには、仕組みが必要です。具体的には、人員を増やしたり、休みの取得の仕方を調整したりするなどです。
例えば、お盆休みやゴールデンウィークのような長期休みは、お客様も増えて忙しくなるため、日をずらし、従業員が順番に長期休暇を取るなど工夫している美容室もあります。
定休日は月曜日もしくは火曜日の場合が多い
美容院の定休日は、月曜日もしくは火曜日が一般的です。全国的には月曜定休、関東エリアでは火曜定休の美容院が主流です。
美容室にとっては、平日を休みにして土日に営業することで、土日休みのお客様や学生さんなどの集客がしやすくなります。美容師にとっては、外出先がすいていることや旅行の費用を抑えられるなどのメリットがあります。ただし、土日休みの友人や家族と休みを合わせにくいこともあるでしょう。
近年は、土日に休みを取得できるサロンも増えており、そのような美容院で働くのもひとつの方法です。
美容室の定休日に関しては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
▷美容室の定休日は月曜日・火曜日が多いって本当?土日休みではない理由について解説【美容師監修】
労働基準法で定められている年間休日の日数分休める?
美容師も労働基準法で定められた休日を取得できます。
例えば、1日8時間、週5日勤務かつ週40時間を遵守する場合は、週2日の休日が必要です。そうなると、年間の休日数は104日になります。
労働基準法第三十五条によると、従業員は少なくとも週に1日、もしくは4週間を通して4日以上休日を取得しなければなりません。さらに、労働基準法第三十二条により、休憩時間を除き1日8時間、1週間に40時間を超えて働いてはいけないことも定められています。
※参考:e-GOV 法令検索昭和二十二年法律第四十九号労働基準法
1ヶ月に6~7回の休みのみの場合、勤務体系に注意しないと、これらの法律に合致しないケースが出てくるかもしれません。
例えば、休みが1日の週の労働時間を40時間以内に抑えるためには、1日あたりの労働時間を8時間より短くする必要があります。あるいは毎月の休みの日数が7日と仮定すると年間の休日は84日しかないことになるため、まとまった休日の取得などが必要です。
労基法に則り休日を与えない場合は、労働基準法第百十九条により、使用者に対して6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられる場合があります。
美容師の有給休暇取得事情とは
一定の要件を満たせば美容師にも有給休暇はありますが、どの程度休めるかは美容院によって異なります。そもそも美容師は、有給休暇が取りにくいと言われがちな職業です。
その理由は、次のようなものです。
- スタッフの人数が足りない
- 予約が入ると休めない
- 有給休暇を取りにくい雰囲気がある
もともと有給休暇は、半年以上継続して、すべての労働日の8割以上勤務した従業員に対し、10日分与えられます。さらに労働基準法第三十九条七項により、基準日から1年以内に5日以上有給休暇を取得することが義務付けられています。
万が一違反した場合は、労働基準法第百二十条により、30万円以下の罰金です。
※参考:e-GOV法令検索昭和二十二年法律第四十九号労働基準法
また、働き方改革により、2019年4月より、最低でも年間5日間は雇用主側から日付を指定して取得させることが義務付けられました。なお、対象者は年休が10日以上付与される労働者です。
その結果、以前と比べ、有給休暇を取得しやすくなってきています。
休みが取りやすい美容室を選ぶ方法
確実に休みを取得するためには、休みを取りやすい美容室で働くことが、もっとも効果的です。休みを取りやすい美容室選びの方法を4つご紹介します。
シフト制のサロンを選ぶ
美容室の休みの取り方には、シフト制を採用する場合と定休日をスタッフのお休みにする場合、大きく分けて2種類のタイプがあります。
シフト制の美容室を選ぶことで、希望した日に休みを取りやすくなるでしょう。通常、土日祝日のような忙しい曜日は休みを取りにくい傾向がありますが、シフト制の店舗の中には、土日祝日にも休みの希望を出せる美容室もあります。
結婚式や土日休みの友人と外出したいなど、土日でなければできないこともあり、シフト制の職場であれば希望を叶えやすいでしょう。
働くスタッフの数が多いサロンを選ぶ
従業員数の多い美容室は、休みを取りやすいでしょう。
さらに、複数の系列店舗を運営している事業者の場合は、系列店のスタッフがヘルプに入る場合もあり、1店舗のみのサロンよりも休日が確保しやすい傾向にあります。
美容師が好きな日に休みを取りにくいのは、人手不足も原因の1つです。十分なスタッフ数がいれば、希望日に休みを取得しやすくなります。
また、どうしても外せない用事があるときに、人数が多いサロンであれば休日の希望を申請しやすい傾向にあります。
お客様からの指名でのご予約やサロンの方針なども影響するため一概にはいえないものの、一つの目安として考えるとよいでしょう。
完全予約制の美容室を選ぶ
完全予約制の美容室も休みを取得しやすい傾向にあります。
当日予約なしでの受付を許可している場合は、当日客に備える必要がありますが、完全予約制の場合は当日の状況があらかじめ明確になっているためです。急な来客対応などに備えて出勤する必要はありません。
さらに、予約時間や予約内容が明確になっているため、休日明けにもスムーズに仕事を進められるでしょう。
年間休日日数や有給取得率を確認して選ぶ
あらかじめ、求人募集で年間休日日数や有給休暇の取得率を確認したうえで選んでもよいでしょう。
一般的な美容院の休日日数は、正社員でひと月当たり6~7日です。完全週休2日制を導入している店舗であれば、ひと月8日以上は休めることになります。
さらに、長期休暇が取得できるなど、スタッフの心身の負担軽減やワーク・ライフ・バランスへの配慮を重視する美容院もあるようです。
また、有給休暇の取得率を求人でアピールしている美容室もあります。求人票に記載のない場合は、面接時に確認してみてもよいでしょう。
美容師の休日の過ごし方
美容師の休日は、一般的に月6~7日と一般的な企業で働く正社員と比べ少ないこともあり、貴重な時間だと感じられるでしょう。
美容師の中には、のんびり休んで英気を養うだけでなく、アグレッシブに活動し有意義な休日を過ごす人も多くいます。
この章では、美容師の休日の過ごし方について解説します。
平日比較的空いているレジャー施設や観光地に行く
美容師は平日に休みを取得しやすいため、平日ならではのレジャー施設や観光地の楽しみ方ができます。
週末に比べて空いている平日のレジャー施設や観光地は、以下のメリットがあります。
- 予約を取りやすい
- 混雑や長い待ち時間のストレスを感じることなく楽しめる
- 利用料が週末よりも安く設定されている場合がある
予約の取りづらい人気スポットに足を運んで楽しむことで、お客様との話のときに話題の種になることもあるでしょう。
行政や病院に行く
行政の手続きや病院への通院は、受付時間が平日に限られる場合が少なくないため、平日休みのほうが便利です。
病院に関しては、土曜日の診療を受け付けている医院もありますが、土曜日は混雑しやすいため、症状が重くなければ我慢してしまいがちになります。結果的に重症化することもあるでしょう。
行政の手続きに関しても、土曜日や日曜日に手続きをしようとすると、自宅から遠いところへ足を運ばなくてはならなかったり、受付が混雑していたりする場合があります。
平日の混雑していない時間に行政手続きや診察を短時間で済ませられれば、残った時間を有意義に活用することも可能です。
これらのほかに、金融機関での口座開設なども平日休みの方が便利です。
トレンドの研究やスキルアップにつながる活動をする
美容師として、トレンドの研究やスキルアップにつながる活動をすることもおすすめです。
学び方の選択肢は多数ありますが、具体的な例をいくつかご紹介します。
- 美容師向けのセミナーや技術講習会に参加する
- 繁華街などに足を運んで、ファッションや髪型などのトレンドをチェックする
- 美術館や映画館などで芸術作品やエンターテインメント作品に触れる
特に美容師向けセミナーについては、美容院の休日にあわせて月曜日に開催されることが多いです。
お住まいの地域でセミナーが開校されていない場合でも、オンライン講座が開講されている場合は、全国どこでもセミナーを受講できます。
自分自身を高められるという点で、トレンドの研究やスキルアップを目的とした活動は、とても有意義であるといえるでしょう。
まとめ
美容師は、美容師も労働基準法で定められた休日を取得することができます。
休日の日数は美容院によって異なりますが、ひと月に6~7日が一般的です。近年は週休二日制を採用するサロンも増えており、以前と比べ休みも取りやすい傾向があります。
とはいえ、年間休日や有休の取得率は美容院によって異なります。
プライベートも有意義に、よりアクティブに過ごしたい人は、求人の年間休日日数や有給休暇取得率などを確認し、理想に合った職場を探しましょう。
監修者:齊藤 彩子
美容師
学校法人 国際共立学園 国際理容美容専門学校 美容科学科長
国際共立学園は創立69年の伝統ある学園で、職人の技術偏重主義に決して偏ることなく、あらゆる職業を通して、豊かな人間性を併せ持った職業人育成を目指している。『夢をかなえる 人づくり』を教育のテーマに、これまでの教育実績をさらに進化させ、社会に貢献できる人材を育成している。
監修者:秋田 繁樹
特定社会保険労務士
社会保険労務士法人 秋田国際人事総研
2004年に秋田社会保険労務士事務所として開業。スタートアップをはじめ中小企業の就業規則の作成や労働トラブルの予防や解決のためアドバイスを行っています。