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美容師の仕事内容とは?一日の流れ・スケジュールを簡単に解説
美容師の仕事はカットやカラー、パーマなど、お客様の髪をきれいに整えることだけではありません。
サロンによってはネイルやメイク、着付けなどを行う場合もあります。
また、受付や電話対応、清掃、売上管理などのバックオフィス業務も美容師の大事な仕事です。
この記事では、美容師の仕事に興味のある方に向けて、美容師の仕事内容や一日のスケジュールについて解説します。
さらに仕事を通したやりがいについても触れているので、ぜひ参考にしてください。
美容師の仕事内容は大きく分けて3つある
美容師の仕事は多岐にわたりますが、大きく分けて以下の3つに分類できます。
- お客様の髪をきれいに整える
- お客様の髪以外を整えてサポートする
- 美容室のバックオフィス業務
美容師のメインとなる仕事はお客様の髪をきれいに整えることですが、美容師やサロンによってはネイルやメイク、着付けなど髪以外の部分を整え、お客様のトータルビューティーをサポートする場合もあります。
また、受付や電話対応、掃除、売上管理なども美容師の重要な業務です。
次項では美容師の仕事内容について具体的に解説します。
美容師の仕事内容1:ヘアに関する基本的な施術
美容師のメインの仕事は、お客様の要望にそって髪を美しく仕上げることです。具体的には以下のような施術を行います。
- ヘアカットとスタイリング
- カラー
- パーマ
- シャンプー
- ブロー
それぞれの施術について詳しく解説します。
ヘアカットとスタイリング
ヘアカットとスタイリングは美容師の代表的な仕事です。ヘアカットには次のようにさまざまな種類があります。
- ハイレイヤー
- レイヤーとは、髪の上の方を短くし、下に長さを残すように段差をつけてカットすることです。ハイレイヤーは、髪の高い位置でレイヤーを入れ、髪の上部の長さと下部の長さに大きな段差を入れたカットのことを言います。髪全体に動きがつき、軽やかな雰囲気を出せるのが特徴です。
- ローレイヤー
- 低い位置に段差をつけるカット技術のことです。毛先に軽さを出しつつも髪の広がりが抑え、まとまりのあるスタイルが作れます。
- インレイヤー
- 髪の内側を短くし、外側を長くして丸みを出すカット技法です。トップにボリュームが出しやすく、ふんわりと浮遊感のあるスタイルに仕上がります。
- ブラントカット
- ハサミを真横に入れて毛先を直線的にカットする技法です。重みのある個性的な印象のスタイルが作れます。
- セイムレイヤー
- 前髪から襟足まですべての毛髪を同じ長さに切りそろえるカット技法です。ショートカットやメンズカットによく用いられ、頭の丸みにそったナチュラルな段差が作れます。
- ポイントカット
- ハサミを毛先に対して縦に入れるカット技法で、「チョップカット」とも呼ばれます。毛先がふぞろいになるのでカジュアルかつナチュラルな印象のスタイルとなります。
- グラデーションカット
- 細かく段差をつけて切っていくことで、自然な丸みを出すカット技法です。主にショートヘアやボブヘアに用いられます。
美容師はこのようなヘアカットを用いながら、お客様の髪質や顔型、ライフスタイル、ヘアに関する悩みなどを考慮し、お客様の要望に合ったヘアスタイルを提供しなければなりません。
また、髪型を整えるときにはお客様の普段のスタイルに合わせること以外に、お客様自身でセットする際のポイントやコツをわかりやすく伝える力が求められます。
カラー
ヘアカラーの色選びや明るさなどに悩むお客様に最適なアドバイスし、お客様の要望に合わせて髪を染め、理想のカラーを実現させるのも美容師の仕事のひとつです。
美容師で行う主なカラーは、以下の3つに分けられます。
- ヘアカラー
- 髪の内部にカラー剤と呼ばれる薬剤を染み込ませて色を出す方法。長期的にしっかりと染まるのが特徴です。
- ブリーチ
- 薬剤を使って髪の色素を抜くことです。事前にブリーチをすることでヘアカラーだけでは出せない髪色を作れます。しかし、強い薬剤で脱色するため、髪に大きな負担がかかります。
- ヘアマニキュア
- 薬剤を使って髪の表面に色を定着させます。髪へのダメージが少ない一方、髪の表面だけをコーティングするので明るい髪色にしにくく、色落ちが早いです。
サロンによってはカラーリングを専門に行う美容師「ヘアカラーリスト」がいる場合もあります。
ヘアカラーリストは、カラー剤の専門的な知識を有し、お客様の要望を踏まえつつ肌や瞳の色、髪質などを見て、お客様に似合うカラーを提案してカラー剤の調合や施術を行います。
カラーリングは元々の髪色や髪のダメージ状態などによって入り具合が変わるため、イメージ通りのカラーを出すには高い技術力が必要になります。
パーマ
薬剤やロッドを使って髪の毛にウェーブやカールをつけるパーマは、ヘアセットがしやすくなることからお客様からの要望が多い施術のひとつです。
施術にはロッドを巻く技術やお客様の髪質や長さに応じた薬剤の扱いなど、高度な技術力が求められます。
パーマにも以下のようにさまざまな種類があります。
- コールドパーマ
- 熱を使わず、薬剤を用いてパーマをかける技術です。 いわゆる一般的な「パーマ」は、このコールドパーマを指します。熱を使わないので比較的髪の負担が少なく、髪がぬれたときにカールがしっかり出ることが特徴です。
- 水パーマ
- 髪にスチームをあててかけるパーマです。スチームによって髪の毛に潤いが与えられるので、やわらかくツヤのあるパーマが作れます。
- クリープパーマ
- 通常のパーマよりも薬剤の量を抑えてかけるパーマです。髪に負担がかかりにくいので、ダメージを気にする方におすすめです。
- デジタルパーマ
- 薬剤をつけた髪をロッドで巻き、熱を加えて形状を固定するパーマのことです。コテで巻いたようなカールが作れ、取れづらいのが特徴です。
- エアウェーブ
- 温風を使ってかけるパーマです。髪へのダメージを最小限に抑え、くせ毛風の空気感あるスタイルが作れます。
- アイロンパーマ
- ロッドではなく、アイロンやコテを使って形をつけるパーマのことです。アイロンの太さによってカールの具合を変えられるので、さまざまなスタイルが作れます。ロッドが使えない短い髪の毛にも対応できるので、メンズの方にもよく使われるパーマです。
シャンプー
シャンプーは美容師の中でも主にアシスタントが担当することの多い仕事です。
お客様に合ったシャンプー・トリートメントの選択、お客様の耳にお湯が入らないように洗う・すすぐ技術など、適切な時間内にしっかりと洗髪するには専門的な知識と技術が求められます。
また、シャンプー台にはお客様の横に立つ「サイドシャンプー」、頭の後ろに立つ「バックシャンプー」の大きく分けて2種類があり、サロンごとに異なります。
それぞれの特徴を把握し、お客様にとって気持ちの良いシャンプーを提供することは、お客様の満足度向上につながるためとても重要です。
ブロー
シャンプー後のブローも美容師の仕事です。
ブローには乾きにくい箇所をハンドブローするテクニックや、ブロー後のスタイリングがしやすいように乾かすテクニックが求められます。
また、ドライヤーをかけながらブラッシングする際は、ヘアスタイルや髪質を理解し、お客様の髪を引っ張らないように気をつけなければなりません。
美容師の仕事内容2:ヘア以外に行う可能性があるメニュー
サロンによっては美容師が以下のような施術を行い、お客様のヘア以外のトータルビューティーをサポートすることもあります。
- ネイル
- メイク
- まつ毛エクステ・まつ毛パーマ
- 着付け
具体的な仕事内容について詳しく解説します。
ネイル
ネイルサロンを併設している場合、美容師がネイルの施術を行うこともあります。
なお、美容師法では、美容院内で美容を業として行えるのは美容師免許を持つ者だけと定められていますが、ネイルの施術は美容の業務に該当しません。そのため、美容師免許がない者でも美容室内でのネイル施術は可能です。
メイク
メイクサロンを併設している場合、美容師はヘアだけでなくメイクも担当します。なお、メイクに関しては美容師法により美容師免許が原則として必要です。
まつ毛エクステ・まつ毛パーマ
まつ毛への施術も美容師法に基づく美容行為に該当するため、美容師免許が必要です。
また、まつ毛への施術は慎重かつ安全性が求められるため、確かな知識と技術を習得しなければなりません。
そのため、トータルビューティーサロンなどでまつ毛エクステやまつ毛パーマを提供している場合には、まつ毛施術の専門職である「アイリスト」を置いているケースが多いです。
アイリストの資格については以下記事で詳しく解説しているので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
▷アイリスト(アイデザイナー)とは?必要な資格や検定、仕事内容を徹底解説【専門家監修】
着付け
美容師はお正月や成人式などのイベントシーズンの際、ヘアセットと一緒に着物の着付けをお客様に求められるケースが少なくありません。そのため、サロンによっては美容師が着付けをしてくれるところもあります。
なお、着付けに関しては国家資格である「着付け技能士」の資格がなくても、人に着付けを行うことは可能です。しかし、資格を持っている方がお客様からより信頼されやすく、トラブル回避にもつながります。
美容師の仕事内容3:バックオフィス業務・庶務など
美容師の仕事は、お客様の美をサポートすることだけではありません。サロンの円滑な運営を支えるために、さまざまなバックオフィス業務も担当します。美容師が担当する主なバックオフィス業務は以下のとおりです。
- 受付、電話対応
- 清掃
- 備品、製品在庫の管理
- 売上、顧客管理
具体的な業務内容について詳しく解説します。
受付・電話対応
サロンの受付業務は、お客様が来店した際の対応やお見送りはもちろんのこと、予約やお問い合わせ、クレーム対応といった電話対応も行わなければなりません。
これらの業務はお店の評判にかかわるため、丁寧かつ迅速な対応が必要です。
近年では予約をシステムで管理するところも増えているため、基本的なPCスキルも求められます。
主に受付業務などを担う「レセプション」という職種については、以下の記事で解説しているため、興味がある方はぜひ読んでみてください。
▷美容室のレセプションとは?業務内容や必要な資格、向いている人などを解説【美容師監修】
清掃
美容師にとって清掃は重要な仕事のひとつです。
美容師の衛生管理は厚生労働省でも定められており、サロンの床や待合室、セット面、椅子、シャンプー台、トイレ、外観の清掃などに加え、施術道具全般の洗浄・消毒が欠かせません。また、清潔な環境はお客様に安心してサービスを受けていただくためにも必要です。
特にお客様の目線に入る・動線になる場所やお客様が手に取るコップや雑誌などは、念入りにチェックしてきれいにしておくことが大切です。
※引用:厚生労働省「理容所及び美容所における衛生管理要領について」
備品・製品在庫の管理
美容室で使用するシャンプーやカラー剤などの在庫管理も美容師の仕事です。
施術で使用する製品だけでなく、販売用の製品やチラシなどの印刷物、包装紙などの在庫も管理しなければなりません。在庫が少なくなった場合には、迅速に発注して必要な製品を補充します。
また、発注だけでなく納品された商品の数量や品質をチェックし、伝票と照らし合わせて確認することも重要です。適切な在庫管理、棚卸しは正確な利益を計算しやすくし、在庫不足による販売機会損失を防ぐことにつながります。
このように在庫管理は精度が高いほど日々の業務がスムーズに進行し、お客様へのサービス向上にも寄与します。
売上・顧客管理
売上管理とは、売上目標を達成するために日々の売上金額を正確に把握することです。
具体的には施術や物販の売上を正確に記録し、閉店時にはレジ締め作業を行って売上金額と手元の現金に差額がないかを確認します。
正確な売上管理は、横領などの不正を防ぐ効果もあります。また、売上分析を通じて経営状況の把握や今後の戦略を立てることが可能です。
一方の顧客管理は、来店されたお客様の情報を記録・管理することです。お客様と過去に話した内容や施術内容を記録することで、再来店時により良い接客ができます。
また、お客様の情報を活用して定期的にDMを送ったり、キャンペーンを実施したりしてリピート率の向上が図れます。
美容師の一日の流れ・スケジュール例
では、美容師はどのように一日を過ごしているのでしょうか。
ここでは以下の時間帯ごとに美容師の仕事内容を紹介します。なお、紹介するスケジュールや仕事内容はあくまで一例であり、すべての美容師、サロンに当てはまるわけではありません。
また、サロンによって休憩の取得方法は異なりますが、労働基準法を守る形で、一日のどこかで休憩を取得します。
〈美容師のタイムスケジュール〉
【9:00】出勤
【9:30】朝礼
【10:00】オープン
【17:30】閉店準備
【19:00】クローズ
【20:00】退勤
【9:00】出勤
お店のオープン一時間前に出勤します。
出勤後、サロン内の清掃、前日に洗濯して干したタオルの片づけ、施術道具の準備などを行います。
アシスタントによってはこの時間よりも早く出勤し、自主練習する方もいます。
【9:30】朝礼
出勤しているスタッフが集まり、その日の予約状況を確認します。
また、キャンペーン状況やクーポン内容の情報共有などを行い、全スタッフがスムーズにお客様に案内できるように備えます。
【10:00】オープン
お店をオープンしてお客様を迎え入れます。営業時間内はカット、カラー、パーマなど、お客様の要望に応じて効率よく施術を行います。
また、お店が空いている時間を利用してDM作成やローテーションで休憩を取ります。
【17:30】閉店準備
閉店の少し前からタオルの洗濯や施術道具の片づけなど、お客様に見えにくいところから閉店準備を始めます。
スタッフの手の空き具合や予約状況によっては、サロン内の清掃やカルテの整理なども行います。
【19:00】クローズ
お店を閉めたら掃除やレジ締めなどをします。また、サロンによってはカットの練習やアシスタントの教育・指導を行います。
育成中のスタッフが多いサロンでは、閉店後ではなくオープン前にカット練習やアシスタント教育の時間を設ける場合もあります。
ほかにも予約システム上の口コミにお礼をしたり、問い合わせメールに返信したりとお客様対応やアフターフォローなどを閉店後に行います。
【20:00】退勤
閉店後の作業が終わると退勤となります。ただし、練習を長めに行う場合などはもっと遅い時間になることもあります。
美容師のやりがい・魅力
美容師の仕事には、多くのやりがいや魅力があります。
たとえば、プロとしての技術を提供してお客様に喜んでもらったときや指名をもらえて実力を認められたとき、リピーターが増えたときなどは、大きなやりがいを感じ、今後のやる気につながります。
また、SNSや大会などで自分の技術やセンス、アイデアが高く評価されると、美容師ならではのやりがいを得られ、さらなる成長を目指す原動力となります。
ほかにも、さまざまな人に出会える、成人式や結婚式などお客様の人生の節目に携われるといった、人とのかかわりに魅力を感じる美容師も少なくありません。
美容師のやりがいや魅力については以下の記事でも詳しく解説しています。
▷美容師のやりがいとは?仕事の魅力、やりがいを感じるとき10選を紹介
まとめ
美容師の仕事はカットやパーマ、カラーなどお客様の髪を整える以外に、勤めるところによってはネイルやメイク、着付けなどお客様の「美」をサポートする場合があります。
さらに受付・電話対応、清掃、製品在庫の管理、売上・顧客管理といったサロン運営を支える業務も行わなければならず、美容師の一日はとてもハードです。
しかし美容師という仕事は、自分の技術でお客様に喜んでもらえるとき、自分の技術が高く評価されたとき、新しい出会いがあったときなどにやりがいを感じられるかけがえのない仕事です。
美容師に憧れている方はもちろんのこと、美容への関心が高く、自分の仕事で多くの方を喜ばせたいなら、ぜひ美容師を目指してみてはいかがでしょうか。
監修者:岡田 真太郎
美容師
学校法人 国際共立学園 国際理容美容専門学校 美容科 教務
国際共立学園は創立69年の伝統ある学園で、職人の技術偏重主義に決して偏ることなく、あらゆる職業を通して、豊かな人間性を併せ持った職業人育成を目指している。『夢をかなえる 人づくり』を教育のテーマに、これまでの教育実績をさらに進化させ、社会に貢献できる人材を育成している。