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美容師を目指せる高校の選び方とは?高等専修学校や通信制高校を解説

中学生の段階で、将来は美容師になりたいと考えている人の中には、なるべく早く美容師になってたくさんの経験を積みたいと考えている人もいるでしょう。

美容師になるための進路には、以下の4つの選択肢があります。

  • 高校を卒業してから美容系の専門学校に進学する方法
  • 美容師国家試験受験資格や高卒資格を取得できる、美容系の高等専修学校に進学する方法
  • 通信系の高校で学びながら、美容専門学校の通信課程を受講する方法
  • 高校に通いながら、通信制の美容専門学校で学ぶ方法

いずれの方法においても、美容師になるには、美容師国家試験に合格しなくてはなりません

この記事では、美容師国家試験受験資格を取得できる学校の特徴と、東京・神奈川・大阪にある美容師を目指せる高等専修学校・専門学校をご紹介します。

高校生でも美容師免許を目指すことはできる

勉強している高校生

中学生や高校生が美容師を目指す場合、どのような進路を選べばよいのかをあらかじめ把握しておくことが大切です。
進路の選び方によって、美容師国家試験の受験資格を得られる年齢や学校のカリキュラムが変わることもあります

まずは、美容師になるための基本的なポイントを確認しておきましょう。

美容師になるには美容師国家試験合格が必須

美容師になるためには、公益財団法人理容師美容師試験研修センターが年2回実施する美容師国家試験の合格が必須です。
無免許で美容師としての仕事をした場合、30万円以下の罰則が科せられるだけでなく、将来的に免許を取得できなくなる場合があります。

美容師資格は、毎年、春期と秋期に1回ずつ開催されており、試験の内容は、筆記試験と実技試験です。試験を受けるためには、原則としては高校を卒業後に都道府県知事が指定した美容師養成施設で2年間の必要な学科・実習を修了しなければなりません

通信課程の美容師養成施設の学科・実習の期間は3年間以上です。また、美容師の資格(美容/管理美容師)の資格所有者は、「修得者課程」として、美容師養成施設の必要期間が半分になります。

美容師を目指す主な進路のパターン

美容師になるための美容師養成施設に入学するための条件として「高校卒業」が設定されている場合が多いのですが、中学校卒業以上で入学可能な学校もあります
美容師資格を満たすための主な進路は以下のパターンがあります。

進路

通学年数

最短で美容師資格の受験資格を得られる年齢

(1)高校を卒業→美容師養成施設(美容系の専門学校)を卒業する

5年(高校3年+専門学校2年)

20歳
(専門学校を卒業後に国家試験受験可能)

(2)高校卒業資格を得られる3年制の美容師養成施設(美容系の高等専修学校)を卒業する

3年

18歳
(高等専修学校を卒業後に国家試験受験可能)

(3)美容師養成施設(美容系の専門学校)と通信制の高校などをダブルスクールとして通う

美容師養成施設(2年or3年)・通信制高校3年

17歳
(2年間の美容養成施設を卒業後、通信制高校などに在学中での受験が可能)

(4)高校に通いながら通信制の美容専門学校に3年間通う

高校3年・通信制の美容専門学校3年

18歳

(2)(3)(4)の3つが、中学卒業後からすぐに美容師を目指すことのできる方法です。
(2)の高等専修学校を卒業した場合には、高校卒業と同等の資格が得られます。

(3)の一部の美容系専門学校は、通信制高校とダブルスクールで通うことを条件として、高校を卒業していない生徒の入学を認めています。
通信制高校を卒業することで、高校卒業資格を得ることが可能です。

美容師を目指せる高校(学校)とは?学校の種類や特徴を解説

美容師を目指すルートのなかで、高等専修学校についてあまりなじみのない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、高等専修学校について掘り下げて解説します。

一般的な高校(普通科)との違い

一般的な普通科の高校も高等専修学校も基本的には中学卒業者を対象とした学校です。しかし、そのカリキュラムや進路などには大きな違いがあります。

高等専修学校
(美容系)

高等学校
(普通科)

普通科目
(5科目)

6

22

普通科目
(その他)

6

6

専門科目
(座学)

8

0

専門科目
(実技)

9

0

その他

1

2

※引用:文部科学省|よくわかる高等専修学校と高等学校の比較を元に作成

普通科目をメインに学ぶ高校とは異なり、高等専修学校では専門科目を中心に学びます
専門分野を実践的に学ぶ美容実習の時間も多く取られ、国家試験合格を目指すためのカリキュラムが組まれていることがわかるでしょう。

卒業後の進路についても、以下のように傾向が異なります。

  • 高等学校:多くの生徒が進学を希望する
  • 高等専修学校:美容関連の企業などに就職する生徒が多い

【高等学校卒業後の進路】

進学・就職先

割合

大学

60.8%

専修学校(専門課程)

16.8%

就職

14.2%

その他

8.8%

※参考:文部科学省|学校基本調査令和5年度初等中等教育機関・専修学校・各種学校 卒業後の状況調査票(高等学校 全日制・定時制)

【高等専修学校卒業後の進路】

進学・就職先

割合

関係分野に就職

86.6%

その他の分野に就職

1.8%

その他

11.6%

※参考:文部科学省|学校基本調査令和5年度初等中等教育機関・専修学校・各種学校 学校調査票(専修学校)

カリキュラムが受験資格を満たすよう設計されていることが多い

美容系の高等専修学校の多くが、美容師国家資格の要件である美容師養成施設の基準を満たしたカリキュラムを設定しています。

美容師養成施設の教科課程の基準」によると、美容師養成施設指定規則に必修科目として詳しく記載内容が定められています。
具体例をご紹介します。

  • 関係法規・制度30時間
  • 衛生管理90時間以上
  • 保健90時間以上
  • 香粧品化学60時間以上
  • 文化論60時間以上
  • 美容技術理論150時間以上
  • 運営管理 30時間以上
  • 美容実習900時間以上

必修科目は合計1410時間以上です。
高校の普通科のカリキュラムではこれらの必修科目に必要な単位を取得できないため、高校卒業後に美容師養成施設に通う必要がありますが、高等専修学校の場合は、他に学校に通わなくても受験資格を満たせる場合があります。

高校選びの注意点

高校もしくは高等専修学校を選ぶ場合、その後の就職や生活に大きく影響します。
また、学校の選び方によって費用の面なども大きく影響するため、家族で十分に話し合いをしたうえで、慎重に学校を選ぶことをおすすめします。

特に注意したい点をご紹介します。

  • 高校卒業資格を得られるか否か、美容師養成施設として認定されているか否かは、学校ごとに異なります
    • ホームページで確認したり、個別に問い合わせしたりして確認しましょう。
  • 高校卒業は美容師になるための必須要件ではありませんが、高卒資格がないことで、転職に不利になったり、仕事をするうえでのマナーやスキルが不足したりするケースがあるかもしれません
    • 高等専修学校などではカリキュラムや指導内容が工夫されていますが、視野を広げて将来のことを考えたうえで、進路を選択しましょう。
  • 美容系の専門学校と通信制の学校をダブルスクールで通う場合、高等学校等就学支援金制度などの教育費無償化の対象校であったとしても、片方の学校でしか受給できません

美容師を目指せる高等専修学校をご紹介

授業を受ける高校生

美容師を目指せる高等専修学校や専門学校は全国に複数あります。
その中でも今回は、東京・神奈川・大阪の3都府県にある高等専修学校・専門学校を全部で10校ご紹介します。

東京の高等専修学校・通信制専門学校

まずは東京都内にある、高校卒業と美容師免許取得の資格が得られる学校を確認してみましょう。
大学入学資格付与指定校を2校、技能連携校を2校ご紹介します。

国際共立学園高等専修学校

国際共立学園高等専修学校は、荒川区西日暮里にある高等専修学校です。
大学入学資格付与指定校となっており、卒業することで高校卒業と同等の資格が得られます。

特徴

  • 1学年1クラス40名の少人数制
  • 男女比は2:8

コース

美容師科

費用

初年度:年3回それぞれ40万弱 総合計額およそ360万円

就職実績

就職希望者は100%就職(9割以上は美容室への就職)

※2022年度卒業生の場合
※データ元や最新情報については、公式HPをご確認ください

オープンキャンパス情報

  • 月に数回体験会や説明会を開催
  • 体験会の内容はカラー&カット体験やブリーチ体験・シャンプー体験など

※2024年4月時点
※引用:国際共立学園高等専修学校

大竹高等専修学校

大竹高等専修学校は、八王子市にある高等専修学校です。国際共立学園高等専修学校同様、大学入学資格付与指定校となっています。
美容師を目指す人の多くは就職後、私服で仕事をすることから、美容師科でも私服の着用が認められています。

特徴

  • 美容師資格の取得に必要な900時間の1.4倍、およそ1300時間の実習時間が設けられている
  • 男女比は1:9

コース

美容師科

費用

入学諸納金:入学金25万円・施設拡充費20万円

授業料:前期・後期の2回。それぞれ授業料24万9,000円・実験実習費10万2,000円

就職実績

  • 美容師科の就職の割合はおよそ9割
  • 残り1割は、大学などへ進学

※就職先の大半は美容室だが、中にはネイリストやヘアメイクの業界を希望する生徒も
※データ元や最新情報については、公式HPをご確認ください

オープンキャンパス情報

  • 年に数回、授業体験と学校説明会を同時に開催
  • 在校生が普段受けている実習内容に沿って、ヘアカットやヘアアレンジ・ネイル・メイクなど開催日によって異なる授業の体験が可能

※2024年4月時点
※引用:大竹高等専修学校

すず学園高等専修学校

すず学園高等専修学校は、あずさ第一高等学校との技能連携により、希望すれば同時入学することで高校卒業の資格を得ることが可能です。

特徴

  • 美容師国家試験だけでなく、ネイルやメイクアップに関する資格取得も目指せる
  • メイクアップやネイル技術など、選択科目も豊富

コース

美容師科

費用

  • 授業料59万6,000円
  • 施設費10万円
  • 実習費10万円 

計79万6,000円を4期に分けて納付

就職実績

美容師・ネイリスト・メイクアップアーティストなどのほか、専門学校や大学進学の道も選択可能

オープンキャンパス情報

・詳細はホームページを確認

※2024年4月時点
※引用:すず学園高等専修学校

町田美容専門学校 高等課程

町田美容専門学校高等課程は、東海大学付属望星高等学校が技能連携校となっており、同時に在籍することで、高校卒業資格を得られます。

特徴

複数担任制を導入しており、きめ細かな指導を受けられる

コース

費用

初年度:

  • 前期88万円(入学金12万円含む)
  • 後期47万2,600円の2回払い 計135万2,600円

就職実績

2022年就職率100%
※データ元や最新情報については、公式HPをご確認ください

オープンキャンパス情報

オープンスクール・授業見学会・保護者向け学校説明会などを開催 

※2024年4月時点
※引用:町田美容専門学校高等課程

神奈川の高等専修学校・通信制専門学校

神奈川県のホームページでは、県内の理容師・美容師養成施設を公表しています。その中から、中学卒業後に入学できる高等専修学校・専門学校を3校ご紹介します。

横浜芸術高等専修学校

横浜芸術高等専修学校は、学校法人恭敬学園北海道芸術高等学校の通信制課程に同時に在籍し、高校卒業資格の取得が可能です。

特徴

  • 美容師だけでなく美術やファッション・声優など多数のコースがある
  • 美容師コースでは、美容師国家資格のほか、ネイルやファッションなどに関する資格の取得を狙うことが可能

コース

美容師学科美容師コース

費用

初年度 132万3,900円
(入学金10万円・北海道芸術高等学校授業料36万900円含む)

就職実績

美容室への就職実績多数

オープンキャンパス情報

授業体験のほか、保護者も同席できる学校説明や個別の入学相談などを実施

※2024年4月時点
※引用:横浜芸術高等専修学校

横浜市立横浜商業高等学校別科

横浜市立横浜商業高等学校別科は2年制の学校ですが、理容科に2年在籍し、その後美容科のダブルライセンスクラスに1年間在籍することで、美容師・理容師両方の資格取得を目指すことも可能です。
ただし、ダブルライセンスクラスは定員10名のため、希望者多数の場合は校内選考となります。

特徴

  • 公立高等学校別科として、日本で唯一の美容師養成施設校
  • 生徒10~20人に対し、講師(職員)が2名つく少人数の指導体制

コース

美容科

費用

2年間で約90万円(ダブルライセンスクラスは3年で約130万円)

就職実績

就職内定率100%
※データ元や最新情報については、公式HPをご確認ください

オープンキャンパス情報

学校へ直接確認

※2024年4月時点
※引用:横浜市立横浜商業高等学校別科

アイム湘南理容美容専門学校

アイム湘南理容美容専門学校の衛生高等課程は、科学技術学園高等学校と技能連携しており、両方を卒業することで高校卒業資格を得られます。
なお中学卒業後、通信教育課程(美容科)でも美容師国家試験を受験できますが、高校卒業資格は得られません。

特徴

日本で初めて美容師資格と高校卒業資格を同時に取得できる学校として認可された

コース

衛生高等課程(美容科)

費用

学校に直接お問い合わせください

就職実績

就職率100%
※データ元や最新情報については、公式HPをご確認ください

オープンキャンパス情報

  • 参加回数に応じて体験内容が変わり、1回目はカット体験、2回目以降は選択制となる
  • 校内見学では、実際の学生に案内してもらえるため、学校生活で気になることを聞くことも可能

※2024年4月時点
※引用:アイム湘南理容美容専門学校

大阪の高等専修学校・通信制専門学校

最後は、大阪府内の高等専修学校・通信制専門学校を確認しましょう。全部で3校ご紹介します。

大阪美容専門学校

大阪美容専門学校は通信制の八洲学園高等学校との技能連携制度により、高校卒業資格を取得できます。

特徴

授業の9割は美容関連で、高校の授業は全体の1割程度

コース

高校併願コース(衛生高等課程美容科+通信制高校)

費用

初年度69万9,000円(別途入学金・施設費40万円・教科書教材費27万5,000円)
※別途八洲学園高等学校 初年度 9万5,000円(入学金含む)

就職実績

就職決定率100%
※2020年3月卒業生
※データ元や最新情報については、公式HPをご確認ください

オープンキャンパス情報

  • 土曜日に複数回開催 
  • 学校説明や実習体験、施設見学、入試説明、保護者説明など内容は盛りだくさん

※2024年4月時点
※引用:大阪美容専門学校

飛鳥未来高等学校

飛鳥未来高等学校は、単位制・通信制の高等学校で、全国に12のキャンパスがあります。
あわせてビューティーアート専門学校もしくはビューティー&ブライダル専門学校の美容科通信課程に在籍することで、高校卒業資格と美容師資格の取得を目指せます。

特徴

  • 3年次より美容師免許取得のためのカリキュラムに集中するために2年次終了までに高校のすべての単位取得を目指す
  • 通学は週1~5日まで複数の通学スタイルから選択可能

コース

美容師免許取得コース

費用

選択する通学スタイルにより異なる

就職実績

非公開

オープンキャンパス情報

飛鳥未来高等学校の各キャンパスで学校説明会や個別相談会を実施

※2024年4月時点
※引用:飛鳥未来高等学校

アイム近畿理容美容専門学校

アイム近畿理容美容専門学校はアイム湘南理容美容専門学校同様に科学技術学園高等学校と技能連携している専門学校です。

専門学校自体は2年で終了しますが、高校自体は3年あります。
そのため高校3年次は美容師として就職した状態で、卒業資格を取得することも可能です。

特徴

  • 最短2年で美容師の国家資格を目指せる
  • +1.5年で、美容師だけでなく理容師資格の取得も狙える

コース

昼間部 美容科 高等課程

費用

初年度

  • 72万3,000円(入学金27万円含む)
  • 教材費15万円

※令和7年度は科学技術学園高等学校にかかる入学時費用の全額を、アイム近畿理容美容専門学校が負担

就職実績

美容師やブライダル関連など

オープンキャンパス情報

毎月土曜日や夏休み中などにオープンキャンパスを開催 

※2024年4月時点
※引用:アイム近畿理容美容専門学校

まとめ

美容師が髪をカットしている様子

中学を卒業してすぐに、通信制・定時制高校と技能連携校になっている専門学校や高等専修学校に通うことで、美容師国家試験受験資格と高校卒業資格、両方の取得を目指せます
また、文部科学大臣に指定され、条件を満たした一部の高等専修学校では、高校卒業と同等の資格を得ることも可能です。

高校卒業後、専門学校に通うことに比べ3年早く資格取得できるため、少しでも早く美容師になりたいと考えている人にとっては、おすすめの方法といえます。

美容師の知識と一般的な高校の勉強を両立させることは大変ですが、夢の実現のためにぜひ頑張ってください。

プロフィール画像

監修者三浦 勝寛

リクルート進学総研 主任研究員

教育政策の研究、学生募集マーケティング、それらの学校運営・経営への接続等に従事。全国の大学・短大・専門学校・各種団体等での講義・講演・FD/SD等での講師、専門職大学院認証評価委員、学校関係者評価委員、文部科学省委託事業ワーキンググループ委員、文部科学省#知る専ロゴマーク審査委員、等を務める。

執筆者山本 鮎美