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美容室のレセプションとは?業務内容や必要な資格、向いている人などを解説【美容師監修】
美容室には、レセプションといわれる職種があります。
レセプションの具体的な業務内容は、受付業務やスタッフのサポートなど多岐にわたります。レプションも美容室での働き方の1つであり、将来的に美容室で働きたいとお考えの方は、レセプション業務を理解することも重要です。
そこでこの記事では、美容室のレセプションについて、業務内容や年収額・向いている人などについてご紹介します。
レセプションの仕事に興味のある方、美容業界で働いてみたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
美容室のレセプションはどんな職種?
美容室には、レセプション(レセプショニスト)と呼ばれる職種があります。
receptionの英単語としての意味は「歓迎会」「フロント」「受付」などですが、美容室のレセプション業務は受付だけではありません。
この章では、美容室のレセプション業務の内容を確認しておきましょう。
美容室のレセプションとは
美容室で働くレセプションは、お客様の案内や会計・電話対応・予約の受付などの接客業務のほか、在庫管理や施術後の片付けなど、美容師にしかできない仕事以外の業務を担う、縁の下の力持ちともいえる存在です。
美容師は基本的に多忙で、施術以外の庶務をこなす時間は限られています。常にきれいな店内で美容師がスムーズに働けているとしたら、それはレセプションの仕事のたまものかもしれません。
レセプションはなぜ必要か
レセプションは、美容室の業務をスムーズに進めるために欠かせない存在です。
たとえばレセプションのいない美容室では、お客様が来店すると美容師がカットやカラーなどの手を止めて受付対応を行う必要があります。施術していたお客様は取り残された形になってしまい、中には気分を害する方もいらっしゃるかもしれません。
レセプションがいればスタイリストはカットやカラーの業務に集中でき、無駄な時間を省ける分、多くのお客様の施術ができるようになります。スタイリストが施術に集中できることで、お客様の満足度も上がるでしょう。
レセプションは、カットやカラーなどの施術をするわけではないものの、働き次第で美容室の売上や印象が大きく変わる、非常に重要なポジションなのです。
レセプション業務に資格は必要ない
レセプション業務は、お客様のカットをするわけではないため、美容師資格は必要ありません。
しかし、さまざまなスキルが求められる仕事です。接客や電話対応をすることから、コミュニケーション能力や接遇のスキル、タブレット端末やパソコンなどを抵抗なく使えることも必要です。
お客様だけでなく、美容師の動きを見ながら、次に何をすべきか臨機応変に判断できる力や気配りできる力も求められるでしょう。
レセプションとして働くには
レセプションとして働くには、求人に応募する方法や、気になる美容室に直接問い合わせてみる方法があります。自身の希望条件に合う美容室に勤務する方が、仕事の満足度を高められる可能性が高いため、どの美容室で働くかが重要です。
そのため「将来的にスタイリストとして活躍したい」「美容室でおしゃれを学びたい」「条件にこだわりたい」などの仕事における目的が決まっている場合、自分の理想に近い美容室を探しましょう。
レセプションは、資格が必要ないことに加えて、未経験者でも応募可能と記載されている求人が多数あります。未経験でレセプションの教育を受けたい場合は、教育制度の整ったチェーン展開をしている美容室を目指すとよいでしょう。
ただし、美容室は美容やおしゃれに興味のある人に人気の職場であることも理解しておかなくてはなりません。資格が必要ないレセプションの求人は、倍率が高い可能性があり、結果的に未経験者はなかなか採用に至らないケースがあります。
未経験の場合は、自分自身のアピールポイントを考えて面接に臨むようにしましょう。接客業の経験を有していること・パソコンを使えること・おしゃれが好きで美容に興味があることなどがアピールポイントになります。
レセプションの業務内容
レセプションの仕事は多岐にわたります。お客様に気持ちよく過ごしてもらえることやスタッフが効率よく働けることを考えると、レセプションはオールラウンダーでなければなりません。
具体的にはどのような仕事があるのか、レセプションの業務内容を確認しておきましょう。
お客様対応
レセプションの名前のとおり、仕事のメインはお客様対応です。来店されたお客様の荷物や上着をお預かりし、汚さないよう丁寧に保管します。
初めてのお客様には、カウンセリングシートをご記入いただいたうえで、不安を感じさせないよう寄り添った対応を心掛けます。リピーターのお客様は、顔や以前話した話題を覚えておき、同じネタで話しかけたり服装や持ち物を褒めたりすると、関係性が深まるでしょう。
施術中も、ドリンクやひざ掛け・雑誌・タブレットなど、タイミングを見て用意する気配りも必要です。お客様が退店するまで気を抜かず、気持ちよく送り出しましょう。
電話対応
電話対応も、お客様と接する重要な業務の1つです。
電話は声でしか判断ができないため、感じのよい美容院だと思っていただけるよう、言葉遣いや声のトーン・話し方など気を付けなければなりません。
電話予約のお客様には、日程や施術のご要望を正しくお伺いし、当日の所要時間やメニューの内容などを聞かれた際には、回答します。美容師の手を煩わせないためにも、これらの知識を身に付けておくことも必要です。
キャンセルや時間変更の電話が来た際は、臨機応変に対応します。
また、クレームの電話を受けることもあります。あくまでも冷静に、普段以上に丁寧な言葉遣いで対応します。どんなにお客様が怒っていたとしても慌てず、お客様の怒りを受け止め、落ち着いて話すことが重要です。
予約状況の管理
お客様の流れをスムーズにするために、予約状況の管理も大切な業務です。
美容室では、ホームぺージ・電話・SNS・HOT PEPPER Beautyなどの予約サイトといった具合に、さまざまな方法で予約が入ってきます。
リピーターのお客様であれば、施術後に次回の予約を済ませていく方もいらっしゃるでしょう。
さらには、キャンセルや時間の変更、お客様の遅刻などもあります。
パソコン上で予約管理を行う美容室も多いものの、スタイリストごとに何人まで同時に対応できるのか、メニューごとにかかる時間などを把握し、お客様にご迷惑のかからないように管理することもレセプションの仕事です。
会計管理
会計業務もレセプションの仕事です。
クーポンやポイントを利用する方もいれば、支払い方法もカード・スマホアプリや現金など、支払いひとつでもさまざまなことに気を配らなければなりません。閉店後、レジのお金が合わなければ大変なことになるため、お金の管理は常に慎重に行う必要もあるでしょう。
また、美容室によっては入出金や両替など銀行へ行くこともあります。
備品等の在庫管理
美容室で使うシャンプーやカラー用の薬剤、販売用の商品などの在庫管理を任されることもあります。
在庫を切らしてしまうと、施術ができなくなったり、必要な方に販売できなくなったりと多大な迷惑がかかってしまうため、常に適量を在庫として取っておく必要があります。
また、メーカーや業者の担当者の来店や電話連絡などの対応を任されることもあるでしょう。
営業・マーケティング等の販促業務
SNSやホームページ・ブログなどを活用した営業・マーケティング活動もレセプションが行う場合があります。
美容室でも、次のようにさまざまな営業・マーケティングの手法があります。
- 過去のメニュー履歴や誕生日などを活用したクーポンの配信
- SNSでの問い合わせの対応
- 新商品の案内やイベントのお知らせ
- おすすめの髪型の発信
レセプションは、カットやカラーをしないため通常は売り上げを作ることはできませんが、このような業務を通して美容室に貢献できます。
ほかにも、求人や販促媒体の担当営業と掲載内容やスケジュールの打ち合わせをすることもあるでしょう。
その他業務
ほかにも、顧客情報を端末に入力したり、メニュー表の作り直し、スタッフの勤怠管理などパソコン業務を行ったりすることもあります。場合によっては、買い出しを頼まれることもあるかもしれません。
レセプションの業務は多岐にわたりますが、美容室によって内容が異なります。お客様の会計やお見送りは必ず担当スタイリストが行うなど、決まっている場合もあるでしょう。
勤務する美容室のルールに合わせて、柔軟に働くことが求められます。
美容室のレセプションの給与相場
美容室のレセプションの給与相場は、23万2,000円です。ボーナスがないと仮定すると年収およそ278万円、ボーナスが月給4ヶ月分出るとおよそ371万円となります。
※引用:求人ボックス「美容室 受付 レセプションの仕事・求人情報」
国税庁の令和4年分民間給与実態統計調査によると、全職種の平均給与は458万円です。レセプションの年収は平均よりも低い額ではあるものの、勤務先や地域・キャリアなどにより給与は変わってくるため、努力次第では平均以上の額を稼ぐこともできるでしょう。
アルバイトやパートは美容室のレセプションとしての明確な数字が出ていませんが、HOT PEPPER Beauty WORKに掲載中の求人票データをもとにすると、東京都の受付・事務(美容室以外も含む)の場合、平均時給1,173円となっています。
※2024年4月17日時点。統計データは常に更新されているため、最新情報が知りたい方は該当ページをご確認ください。
美容室のレセプションの勤務時間・休日日数目安
レセプションの勤務形態は、美容室ごとに異なります。求人情報から一般的な勤務時間や休日の日数を確認すると、拘束時間は基本的に8~9時間勤務となります。
営業時間が長い美容室の場合は、早番・遅番のシフト制で働くことになるでしょう。
休日は完全週休2日制、もしくは月間休日が6日~7日程度の隔週休2日制が多いようです。
美容室のレセプションが向いている人
美容室のレセプションは、接客や販売、事務作業などさまざまなスキルが求められる仕事です。
お客様に満足していただき、スタッフも気持ちよく働いてもらうためにも、レセプションは次のような人が向いています。
明るくコミュニケーション能力が高い人
レセプションは、美容室でお客様を対応するスタッフです。そのため、明るくコミュニケーション能力の高い人は、レセプション向きです。
初対面のお客様でも、にこやかに愛想よく接することができれば、お客様もリラックスできます。明るく元気に振る舞えれば、店内の雰囲気も明るくなるでしょう。
お客様が何も言わなくても表情やしぐさから望んでいることを察知し、ひざ掛けやドリンクをお渡しするなどの非言語コミュニケーションが身についていると、お客様は心地よさを感じるはずです。
業務に対する責任感が強い人
レセプションは、美容室の印象を左右するほど重要な役割を担っているため、責任感をもって業務に取り組む姿勢が求められます。
責任感を持たずに雑な対応をしていると、ミスをしてしまったり、お客様に不快な印象を与えたりしてしまいかねません。反対に、高いレベルの意識でレセプションをすれば、自然と接客時の笑顔・声の大きさ・言葉遣い・口調・姿勢などによってお客様に好印象を与えられるでしょう。
毎日、多くのお客様の応対をしていると、モチベーションの変化などが接客態度などに現れることがあります。
しかし、お客様にとっては、レセプションの対応によっては二度と来店してもらえない可能性もあります。
そのことを十分に理解し、責任感をもって対応しなければなりません。
協調性があり、チームで物事に取り組める人
美容室ではチームプレーが大切です。そのためレセプションは、スタッフと協力して仕事に取り組める人でなければ務まりません。
自分さえよければよいといった考え方では、お客様を無駄に待たせてしまったり、本来レセプションがやるべき仕事をスタイリストがやらなければならなかったり、業務がうまく回らなくなってしまいます。
マルチタスクが苦でない人
レセプションは、さまざまな仕事を並行して進めることが苦にならない人の方が楽しんでできるでしょう。
レセプションの仕事は、マルチタスクで、思ったように仕事が進まないこともあります。電話がかかってくれば、事務作業をしていても手を止める必要がありますし、常に周囲に気を配っていなければならないためです。
1つの仕事に集中したいタイプの人や、多くの仕事を抱えると混乱してしまうタイプの人には、不向きな仕事だといえます。
美容に関するトレンドに詳しく美意識が高い人
美容のトレンドに敏感で、美意識を高くもった人もレセプション向きです。
レセプションは、お店の顔。美容室の受付の髪がぼさぼさ、服装も乱れているようでは、お店の信頼度は下がってしまいます。
美容室はあくまでも「美」を提供する場所です。そのような場所で働く人は、トレンドにも詳しく、身だしなみの整った人の方が、安心して任せてもらえるでしょう。
気配りができる人
気配りの力もレセプションには重要です。施術メニューの内容を理解し、次にスタイリストが何を必要としているのかを察知し、そのサポートをすることで、店内の業務がテンポよく進みます。
また、常に店内の様子に目を配り、カラーやパーマの待ち時間中のお客様に声掛けできるかといったことも、お客様満足度を上げリピーターを増やすためには重要です。
柔軟な対応能力がある人
柔軟な対応ができることもレセプションには重要です。
スタイリストの急な欠勤やお客様からのクレーム、予定通りにスケジュールが進まないなど、美容室ではさまざまなトラブルがあります。
そのようなときに、すぐ代替案を出しトラブルを乗り越えられる力がレセプションには求められます。
レセプションが落ち着いて対応することで、ほかのスタッフも安心して業務に集中できるでしょう。
まとめ
美容室で働くレセプションの仕事は、受付業務や電話対応・予約状況の管理など多岐にわたります。
マルチタスクでも効率よくこなし、明るくコミュニケーション能力のある人がレセプションに向いているでしょう。
レセプションの仕事は美容師資格なしでおしゃれなイメージのある美容室で働けることから、求人倍率が高いことが予想されます。
求人に応募する際は、コミュニケーション能力や協調性・気配りなどレセプションに必要なスキルのほか、これまでの経験をアピールするとよいでしょう。
これからレセプションになろうと考えている人は、スキルを磨き、ぜひ「あなたがいるから安心」とお客様やスタッフから言ってもらえるようなレセプションを目指してください。
監修者:齊藤 彩子
美容師
学校法人 国際共立学園 国際理容美容専門学校 美容科学科長
国際共立学園は創立69年の伝統ある学園で、職人の技術偏重主義に決して偏ることなく、あらゆる職業を通して、豊かな人間性を併せ持った職業人育成を目指している。『夢をかなえる 人づくり』を教育のテーマに、これまでの教育実績をさらに進化させ、社会に貢献できる人材を育成している。