公開日:
【状況別】ネイリストの服装|サロン勤務・検定試験・面接
これからネイリストへ転職したいと考えているものの、どのような服装で働くのが望ましいのか悩んでいる方もいるかもしれません。ネイリストの服装は、お客様に与える第一印象に大きく影響します。
適切な服装は信頼感の獲得につながるため、十分な配慮が必要です。シーンに合わせた服装は、サロン勤務、ネイリスト技能検定試験、面接時といった場面によって異なります。
本記事では、ネイリストに最適な服装の選び方をシーン別に解説します。
ネイルサロン勤務時の服装
ネイリストとして働く際、どのような服装が望ましいとされるのかは、就職するサロンによって違います。主に制服と私服の2パターンがあり、制服が用意されているサロンの場合、全身が統一されていることもあれば、トップスだけは制服を着用するというパターンもあります。なお、制服を着用する場合、貸与品となるケースが一般的です。
毎日通勤のための私服を選ぶのが大変と感じる方や、服が汚れてしまうのが気になるという方は、制服勤務のサロンで働く方がストレスを感じないかもしれません。一方、服装を自由としているサロンでは、トップスかボトムどちらかの色が指定されていたり、私服の上にエプロンを着用したりするなど、さまざまなパターンがあります。
いずれの場合でも、清潔感と機能性を兼ね備えていることや、多様なお客様に受け入れてもらえるような服装で勤務することが大切です。
私服勤務のネイリストにおすすめの服装
私服で勤務する場合、トレンドを取り入れたコーディネートや自分の好みに合わせたスタイルで接客できるため、お客様の印象に残りやすくなるなどのメリットもあります。また、好きな服装で1日を過ごせることは、モチベーションのアップにつながります。ただし、私服勤務のサロンで働く場合、動きやすさやお客様に配慮した服を選ぶのも重要なことです。多くのネイリストが心掛けている、以下の服装を選ぶ際のポイントを参考にしてみてください。
- 汚れても気にならない服装
- 動きやすく施術しやすい服装
- 素材が飛びにくい服装
汚れても気にならない服装
ネイリストの仕事では、施術中にジェルや溶剤が服に付着することも少なくありません。これらの汚れは、洗濯しても落ちないことが多いため、汚れが目立ちにくい色・素材の服を選ぶネイリストも多くいます。また、汚れてもいいように、仕事用の服をそろえておくのもひとつの方法です。他にも、プライベートである程度着てからサロンで着るようにするなど、汚れに対してさまざまな対策を立てているネイリストが多いようです。
動きやすく施術しやすい服装
ネイリストは、施術中に立ったり座ったりするほか、店内を移動することも多くあります。そのため、動きやすさへの配慮も必要です。たとえば、袖口にボリュームがあるデザインの服は、作業の邪魔になりやすいため避けた方が無難です。また、パンツはストレッチ性のあるものを選ぶなどして、施術中の動きやすさや長時間の作業でも快適に過ごせる素材を選ぶようにしましょう。
素材が飛びにくい服装
毛羽立ちやすいニットやフリンジ加工が施された布など、繊維が抜けて飛びやすい服は、施術に影響するおそれがあります。自分が着ている服の素材がお客様のネイルに付着してやり直しが必要になった場合、想定外の時間が必要になります。場合によってはクレームにつながりかねません。そのため、ポリエステル生地などのさらりとした生地の服を選ぶのがおすすめです。
ネイリストの身だしなみでの注意点
ネイリストとして、身だしなみを整えてお客様をお迎えすることは、大切なマナーのひとつです。お客様に好印象を与えられるよう、自分らしさと清潔感の両方を意識するようにしましょう。服装だけでなく、ヘアスタイルにも気を配らなければなりません。施術中に前髪を気にして触ったり、サイドの髪を何度も耳にかけ直したりするのは望ましくない行動です。お客様に不信感を与えないためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
- サロンの雰囲気に合わせる
- 覚えてもらいやすいよう配慮する
- アピールできるネイルを選ぶ
- エプロンは汚れにくいものを選ぶ
サロンの雰囲気に合わせる
ネイリストとして、自分らしさを表現するのはとても大切です。しかし、サロンの雰囲気に合っているかどうかも意識しなければなりません。働くサロンによって、ターゲットとするお客様の年齢層や好みは異なります。そのため、サロンに相応しいスタイルを心がけることは、サロンに訪れるすべてのお客様の顧客満足度向上につながる重要な要素です。
たとえば、上品で落ち着いた雰囲気のサロンでは、派手な色や過剰なアクセサリーは避け、シンプルで洗練されたスタイルを選ぶようにしましょう。カジュアルなサロンであれば、トレンドを意識した少し遊び心のあるファッションが好まれるかもしれません。
また、髪型やメイクもサロンの雰囲気に合わせると、空間全体に統一感が生まれ、サロンで過ごすお客様の安心感につながります。お客様はネイリストの外見から、そのサロンの雰囲気やサービスの質を感じ取ることもあるため、第一印象はとても大切です。
覚えてもらいやすいよう配慮する
お客様に覚えてもらうことは、リピート率の向上に欠かせない要素です。そのためには、服装やアクセサリーでさりげなく個性を出すようにしましょう。たとえば、特定の色をテーマにしたコーディネートや、シンプルなアクセサリーをひとつ加えるだけで、お客様の記憶に残りやすくなります。
ただし、あまりにも個性を強調しすぎると、サロン全体の雰囲気を壊してしまう可能性があるので、バランスが取れる範囲で自分らしさをうまくアピールできるよう意識しましょう。さらに、定期的に服装やヘアスタイルを少しずつ変えるなどして、お客様に新鮮な印象を与えるのも効果的です。
アピールできるネイルを選ぶ
ネイリストにとって、自分自身のネイルは重要なアピールポイントです。お客様がネイルデザインの参考にするケースも多いため、自分のネイルをどのように見せるのか考えることも大切です。サロンで提供している技術をアピールするデザインや、トレンドを取り入れたネイルを施すことで、担当するお客様に技術力やデザイン力の高さを伝えられます。
また、自分のネイルが清潔で整っていると、お客様にプロフェッショナルな印象が伝わり信頼感を獲得しやすくなります。お客様にとって、「このネイリストさんに任せたい!」と思ってもらえるよう、自分のネイルにも気を配りましょう。
エプロンは汚れにくいものを選ぶ
ネイルサロンで私服にエプロンを合わせる場合、汚れが目立ちにくい素材や色のエプロンを選ぶのもポイントです。清潔感が求められるネイリストですが、ネイルの施術中には、ジェルや溶剤が飛び散ることがよくあります。また、ポケット付きのエプロンを選ぶと筆記具やスマートフォン、その他の必要な小物などをすぐに取り出せるため、機能性を重視して選ぶと効率よく仕事を進められます。
また、体に負担のかからないエプロンを選ぶのも大切なことです。ネイリストの仕事はお客様の爪に集中するため、前かがみの姿勢で過ごす時間が多くなります。そのため、肩こりや首の痛みに悩むネイリストは少なくありません。首からかけるタイプや肩紐からかけるタイプの胸当て付きエプロンは、布の重みが首や肩に集中しやすく、肩こりを悪化させる危険があります。
そのため、胸当て付きを使う場合は紐の幅が広いものを選んだり、腰に巻くタイプのエプロンを選んだりすると、体にかかる負担を軽減できます。実用性とファッション性の両方を兼ね備えたエプロンを着用すれば、よりプロフェッショナルな印象を与えられるはずです。
ネイリスト技能検定試験での服装
ネイリスト技能検定試験に臨む際は、技術だけでなく、身だしなみに関する注意事項や規定をしっかり確認してから、準備を進めましょう。
身だしなみについての規定
ネイリスト技能検定試験では、服装や髪型、ネイル、アクセサリーについていくつかの規定が設けられています。これらの規定を守ることで、試験に臨む姿勢やネイリストとしての意識が問われます。
身だしなみが適切でなかった場合、減点対象になる可能性もあるため注意しましょう。検定時の身だしなみに関する規定と避けるべき服装は以下の4つです。
- 服装
- 髪型
- ネイル
- アクセサリー
服装
ネイリスト技能検定試験では、服装に関する明確な規定を設けていません。しかし、諸注意には、ネイルと同様「服装に関しても自覚と節度をわきまえるよう」と記載されているため、受験する際は清潔感のある服装が望ましいと考えられます。また、試験会場は室内ですが、体感温度には個人差があるため、温度調整しやすい服装で来場するよう呼び掛けています。
また、会場により内履きが必要な場合がありますので、受験票で必ず確認するようにしましょう。
サロンで勤務するときと同様に、袖が施術の邪魔になるような服装も避けましょう。なお、服装に関しては、受験者だけでなくモデルさんにも同様の配慮が求められます。前もって事情を丁寧に伝えておくようにしましょう。
※引用:公益財団法人日本ネイリスト検定機能センター「ネイリスト技能検定試験 試験要項2024年 秋期」P4
髪型
髪型に関しても「自身のヘアスタイルが試験の妨げにならないよう注意する」と記載があります。前髪やサイドの髪の毛が落ちてきて施術の邪魔にならないよう、しっかりピンで留めるなどして整えておきましょう。髪型にも清潔感が求められます。下を向いたときに髪が落ちてこないスタイルが望ましいため、基本的にはひとつに結び、サイドの髪が少しでも落ちてくるようならばピンで留めておきましょう。
長さによってはハーフアップにするなど、施術時にサイドの髪が落ちてこないよう注意しましょう。寝ぐせなどがないよう、きちんとチェックしてから試験に臨みましょう。
※引用:公益財団法人日本ネイリスト検定機能センター「ネイリスト技能検定試験 試験要項2024年 秋期」P4
ネイル
受験生のネイルについて「カラーリングは自由」とされているものの「受験生として相応しいネイル」を心掛ける必要があります。派手すぎるネイルや、施術の妨げになるようなデザインは望ましくありません。華美なネイルは、施術の妨げになりかねないため避けるようにしましょう。
また、試験課題になっているアートデザインは、参考資料のお持込みとして禁止されているので注意しましょう。自身の爪に施したネイルアートなども、試験課題の参考になるようなネイルデザインはカンニングを疑われる要素となりうるため、無地のネイルを選んだ方が無難です。
試験を受けるタイミングでは長さ出しなどをせず、シンプルで清潔感のあるデザインを選ぶようにしましょう。
※引用:公益財団法人日本ネイリスト検定機能センター「ネイリスト技能検定試験 試験要項2024年 秋期」P4
アクセサリー
試験時のアクセサリーは「受験生・モデルともに時計のみ」と定められています。時計以外のアクセサリーは、試験時にすべて取り外しておくようにしましょう。この規定は、試験の進行を妨げないことと、不正行為の防止を目的としています。また、多機能な電子機器や携帯電話の使用は禁止されているため、スマートウォッチなどのウェアラブル端末は試験中に使用できません。
※引用:公益財団法人日本ネイリスト検定機能センター「ネイリスト技能検定試験 試験要項2024年 秋期」P4
検定試験当日に避けたい服装
ネイリスト技能検定試験では、プロフェッショナルとしての技能とマナーも試されます。そのため受験者は技術面以外の身だしなみや服装にも、細心の注意を払わなければなりません。試験の服装は、施術を行う際の集中力に直結する要素です。
- 動きにくい服装
- カンニングとみなされるようなデザインの服装
- 素材が飛びやすい服装
- 露出が多く派手な服装
動きにくい服装
ネイリスト技能検定試験では、手先の細かな作業が求められるため、動きにくい服装は試験の進行に支障をきたす可能性があります。作業中に手元が見えにくくなる衿や袖のデザインや、立ったり座ったりといった動作がしづらい服装は避けるようにしましょう。
また、実技審査中に移動する場合があるため、履き心地が悪かったり歩きにくかったりする靴も避けた方が無難です。事前にシミュレーションするなどして、準備を整えておきましょう。
カンニングとみなされるようなデザインの服装
ネイリスト技能検定試験の要項には「カンニング等の不正行為・禁止行為を行った場合、失格となる」と明記されています。そのため、ネイルアートだけでなく、課題に関連するようなデザインが施された服装・小物も、カンニングとみなされるリスクがあるため注意が必要です。また、受験者自身だけでなく、モデルの服装にも同様の注意が求められます。シンプルな無地の服で試験に臨めば、余計な誤解を招く不安は排除できるはずです。
素材が飛びやすい服装
無地でシンプルなデザインであっても、フワフワとした素材のニットやファーなど、ホコリが飛びやすい服装は施術の邪魔になります。施術中にホコリがネイルに付着すると、場合によってはやり直しが必要となり、限られた時間の中で施術を終えるために焦ってしまう可能性があります。
本来のパフォーマンスを発揮できず、後悔することがないよう、出来る限りの対策を立てておきましょう。繊維が飛びにくいナイロンやポリエステル素材の服が適しています。
露出が多く派手な服装
先にも少し触れたように、ネイリスト技能検定試験の要項には「自覚と節度をわきまえるように」といった注意書きがあります。これは、プロフェッショナルとしての意識を持って試験に臨むことを意味しているため、露出の多い服や派手な服装は避けるようにしましょう。たとえば、オフショルダーやマイクロミニのスカートやショートパンツスタイル、派手な色使いや装飾が多い服装は試験に相応しい服装とは言えません。
なお、ダメージジーンズなども試験には不適切な服装です。試験は技術を評価してもらうことが第一の目的であるため、どれだけおしゃれな服装で会場に入ったとしても、それが試験の評価にプラスされることはありません。トレンドを押さえたファッションであっても、過度な露出や派手な服装は、試験官に悪い印象を残す可能性があります。
受験者、モデルともに試験当日は、控えめで上品なスタイルを心掛け、落ち着いた色合いやデザインの服装で臨むようにしましょう。
ネイルサロンの面接での服装
ネイルサロンの面接では、第一印象が非常に重要です。採用担当者に、プロフェッショナルな印象を与えるためにも、適切な服装を選ぶことが大切です。ネイルサロンの面接では、サロンの雰囲気や業界の特性に応じた服装を心掛けるようにしましょう。黒のシンプルなジャケットは、1枚持っておくと重宝します。季節によってシャツやカットソー、Tシャツ、薄手のニットなどを合わせて着回すことが可能です。また、靴はパンプスが無難です。
面接におすすめの服装
ネイルサロンの面接において、もっとも無難な服装はスーツです。特に、サロンから指定がない場合にはスーツを用意しておくと安心です。着用するスーツは、自分のサイズに合ったものを選ぶのはもちろん、清潔感があるデザインを選ぶようにしましょう。なお、スーツを着ない場合、セットアップのジャケットとスカート、ジャケットとパンツの組み合わせでも問題ありません。
美容業界では、普段の服装からその人の雰囲気やセンスを知りたいという意図から面接時の服装を私服とするケースも多くあります。この場合、事前にサロンの雰囲気をリサーチして服装を合わせるなどの工夫も有効です。また、ネイルは華美なデザインを避け、サロンの雰囲気に合うネイルを選ぶのもポイントです。シンプルでありながら、ネイリストとしての自分の技術を間接的にアピールするチャンスとなるため、きちんと手元をケアしてから面接に臨みましょう。
面接で避けたい服装
一方で、ネイルサロンの面接では、カジュアルすぎる服装は望ましくないとされています。特に、Tシャツ、ノースリーブやキャミソール、ショートパンツやジーンズ、サンダルなどはカジュアルすぎてしまうため、避けるようにしてください。たとえサロンで働いているスタッフがラフな服装をしていても、カジュアルすぎるスタイルは面接に不向きです。
まとめ
ネイリストとしての服装は、勤務先のサロンで働くときや検定試験を受験する際、面接時など、それぞれの状況に応じて適切に選ぶことが大切です。実際にサロンで働くときには、サロンの雰囲気やお客様の年齢層に合わせた服装を心掛けることが大切です。また、おしゃれも大切ですが、施術時の機能性も考慮しなければなりません。検定試験を受ける際は、規定に従って動きやすい清潔感のある服装を選びましょう。
面接では、採用担当者に清潔感のある印象を与えられるよう、スーツやセットアップまたはサロンの雰囲気に合った服装を選ぶようにしてください。それぞれの場面で適切な服装を選ぶことにより、周囲からの信頼を得られたり、好印象を持ってもらえたりする可能性は高まります。ネイリストとしての第一印象を考え、シーンに合う適切な服装選びを意識しましょう。
監修者:唐沢 真弓
ネイリスト
学校法人 国際共立学園 国際理容美容専門学校 ビューティアーティスト科教務
国際共立学園は創立69年の伝統ある学園で、職人の技術偏重主義に決して偏ることなく、あらゆる職業を通して、豊かな人間性を併せ持った職業人育成を目指している。『夢をかなえる 人づくり』を教育のテーマに、これまでの教育実績をさらに進化させ、社会に貢献できる人材を育成している。