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ネイリストの給料はどれくらい?雇用形態別の平均年収や給料を上げる方法も紹介
お客様を綺麗にする仕事のひとつであるネイリストは、美容に興味がある方なら一度は憧れる職業ですよね。ネイリストとして働きたいと思った一方で、給料については不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか?
ネイリストの給料は働くサロンによっても変わりますが、雇用形態や経験によっても大きく異なります。また、ネイリストは独立して開業したり講師として働いたりなど、経験を活かしたさまざまな働き方があるため、働き方によっては給料アップも目指せる職業です。
この記事では、ネイリストの平均給料や正社員・アルバイト・業務委託など、雇用形態ごとの給料の特徴をわかりやすく説明しています。ネイリストの給料に関する情報を知ることで、自分の目標や希望に合った働き方を選びましょう。
ネイリストの給料はどのくらい?
ネイリストの正社員平均年収は、厚生労働省が運営する職業情報提供サイトjob tagによると、約320万円です(2024年3月時点)。
ネイリストの給料は年齢によっても異なり、実績や地域によっても異なります。
また、歩合制を採用しているサロンなら、施術数や指名数も給料に影響します。
そのほかにも、経験年数・サロンの規模・知名度・ブランドによっても、ネイリストの給料は変動するものです。
ネイリストは独立・開業したり管理職に移行したりするなど、働く形態によっても給料は変わってきます。
ネイリストの歩合ってどれくらい?
ネイリストの歩合率はサロンによって異なりますが、正社員の歩合は固定給+売上の5%〜10 %程度となっています。
歩合制を導入しているサロンは多く、頑張り次第で収入をアップさせることも可能です。
歩合とは、売上や利益などの一定の割合に応じて支払われる報酬のことです。多くのネイルサロンの給料形態は、固定給+歩合の形式が多くなっています。
ネイルサロンの歩合の種類は、主に下記の3種類です。
- 個人売上歩合
個人の売り上げに応じて還元される歩合のことで、正社員の場合は売上の5%〜10 %が相場になります。
- 指名歩合
指名するためにお客様が支払う指名料がネイリストに還元される歩合のことで、還元金額はサロンによってさまざまですが、指名ひとりにつき300~500円が相場になります。 - 店販歩合
サロン取扱商品を販売すると還元される歩合のことで、売上の10%程度が相場になります。
ネイリストの給料はさほど高くはありませんが、歩合によって手取りが増えるため、やりがいや達成感を感じられます。
ネイリストのボーナスってどれくらい?
チェーン展開しているような大手ネイルサロンでは年1回、30~60万円前後のボーナスが支給される場合があります。
ただ、ボーナスを支給しているサロンは多くないため、歩合の仕組みを活用した方がより収入を上げやすくなる場合もあります。
ネイリストの残業代ってどれくらい?
ネイリストの仕事は、施術が長引くこともあるため、時間内に必ず終わるとは限りません。また、常に技術を磨く必要があるため、営業時間外に練習することもあります。
営業中の業務に関しては残業代が出ますが、時間外の勉強に関しては出ないところもあります。
残業代はどこまで出るのか、働く前に確認しておきましょう。
残業代は企業が定めた労働時間を超えたら発生するものです。法定労働時間で定められている週40時間、1日8時間を超えたら法定時間外労働として25%以上の割増が発生します。
ただし、所定労働時間が法定労働時間より短い場合において、所定労働時間を超えて働いた場合には、法定内残業が発生します。この場合は、割増賃金などは発生せず、一般的には1時間当たりの賃金を支払います。
ネイリストの月収の手取り額ってどれくらい?
正社員ネイリストの手取り額は、総支給額の80%程度です。
月収25万円だった場合、25万円から税金や社会保険料などが控除され、最終の手取りは約20万円になります。
月収25万円で支払う月の保険料や税金の目安は下記のとおりです。これらの保険料や税金は、ネイリストに限らず支払うものです。
(東京都 40歳未満の場合の一例)
- 所得税:5,200円(扶養なし)
- 住民税:10,000円
- 健康保険:12,974円
- 厚生年金:23,790円
- 雇用保険:1,500円
※国税庁・日本年金機構・全国健康保険協会の公式情報をもとに試算(2024年3月(4月納付分)からの保険料額表による)
ネイリストの手当・福利厚生はある?
ネイリストの手当・福利厚生は下記の内容が一般的です。ネイリストの手当や福利厚生は、勤務先や雇用形態によって異なります。
- 手当
指名料・役職手当・資格手当・技能手当・その他歩合など - 福利厚生(正社員の場合)
健康保険・雇用保険・厚生年金・特別休暇(有給)・産休など
紹介した手当・福利厚生は一例であり、実際には会社や店舗によって内容や条件が異なります。
就職や転職を考える際には、自分の希望やニーズに合った手当や福利厚生を提供している会社を探すことが大切です。
また、上記の一般的なもの以外にも福利厚生として「研修制度」があります。
研修制度とは、ネイリストとしての技術や知識を向上させるための研修を受けられる制度です。会社が主催する場合や、外部講師を招く場合があります。
ネイリストの給料は地域によって違う?地域別で紹介
ネイリストの給料は地域によっても異なります。地域ごとの正社員の平均給料は下記のとおりです。
地域 | 月収 | 引用元(※) |
---|---|---|
北海道 | 18.5万円 | |
東北 | 18.2万円 | |
北信越 | 18.6万円 | |
東海 | 20.9万円 | |
関東 | 22万円 | |
関西 | 20.8万円 | |
四国 | 18.8万円 | |
中国 | 19.8万円 | |
九州・沖縄 | 19.4万円 |
※2024年3月1日時点のデータ。随時更新されているため、最新情報は各引用元のデータをご確認ください。
関東が最も平均月収が高い結果となりました。
しかし、ネイリストは働き方によっても異なります。業務委託で働いたり、サロンオーナーとして活動したりなど、平均月収以上を得られる方法も豊富です。
ネイリストの給料を雇用形態別に紹介
ネイリストの雇用形態は、下記の4つがあります。
- 正社員
- アルバイト
- 業務委託
- 経営者
それぞれの雇用形態別給料を解説します。
正社員の給料ってどれくらい?
正社員として働くネイリストの給料は、平均で月額約25~30万円(※)です。
正社員のメリットは基本的に毎月安定した収入を得られるところです。福利厚生も整っている企業も多いため、安心して働けます。
※引用:求人ボックス「ネイリストの仕事の平均年収は353万円/平均時給は1,097円!給料ナビで詳しく紹介」
しかし、勤務時間や休日などは、会社や施設の規定に従わなければいけないところが、時にデメリットになることもあります。ただ、どの雇用形態であってもサロンの規定には従うことは必要です。また、チェーン展開しているサロンであれば異動が発生することもあり、場所によっては引越しも伴います。
アルバイトの給料ってどれくらい?
契約社員やパート・アルバイトとして働くネイリストの給料は、平均で時給約1,097円(※)です。
契約社員やパート・アルバイトとして働く場合は、正社員よりも柔軟な働き方ができます。自分の都合に合わせて勤務時間や休日を調整したり、複数のサロンで働いたりすることも可能です。
※引用:求人ボックス「ネイリストの仕事の平均年収は353万円/平均時給は1,097円!給料ナビで詳しく紹介」
しかし、正社員より福利厚生や手当が充実していない点がデメリットです。週の労働時間によっては、雇用保険に加入できないケースもあります。契約社員やパート・アルバイトとして働く場合は、事前に福利厚生などを確認しておくと安心です。また、契約社員だとサロンによっては掛け持ちを禁止しているところもあるため注意しましょう。
業務委託の給料ってどれくらい?
業務委託として働くネイリストの給料は、働き方によって大きく異なるため、一概にはいえません。
業務委託のネイリストは、自分で仕事を探して契約を結びます。そのため、給料は契約内容や施術時間によって異なるのが特徴です。
業務委託とは雇用されて働くのではなく、サロンや企業と対等な立場で契約を結ぶ働き方です。
業務委託の場合、スタッフとしてサロンで働く形と、サロンを運営する形の2種類がメインになります。
業務委託のメリットは、自分でスケジュールや働き方などを自由に決められるところです。
経験値やスキルの高いネイリストであれば、契約時に報酬提案をこちらからできるケースもあります。
しかし、社会保険や福利厚生がないところや、仕事量が不安定なところがデメリットです。必ず仕事がもらえるわけではないため、営業力が問われます。
ただ、集客力があるサロンを選べば、顧客がそこまでいなくても、業務委託の働き方で稼ぐこともできます。
サロンオーナーの給料ってどれくらい?
独立・開業して働くサロンオーナーの給料は、店舗数によって異なり、1店舗あたりの目安売上は300万円前後だといわれています。しかし、売上は店舗数だけでは測りきれないため、目安以上もあれば目安を大幅に下回る場合もあります。サロンオーナーは1店舗の売上をどこまで伸ばすか、どれだけ店舗を拡大できるかで、給料が大きく変わる働き方です。
独立・開業して働く場合は、自分の好きなようにネイリストとして活動を展開できます。自分の専門分野や得意分野に特化したサービスを提供できるなど、自由度の高さがメリットです。
しかし、経営に関するすべて自分で行うため、スタッフを雇う場合は大きな責任が伴います。
ネイリストとして給料をより上げる方法とは?
ネイリストの給料をより上げる方法は、下記の6つがあります。
- ネイルの検定を取得する
- 技術を上げて指名を増やす
- 役職を目指すなどキャリアアップのイメージをする
- 転職する
- 独立する
- ネイル講師になる
それぞれを詳しく解説します。
ネイルの検定を取得する
経験年数が少なくても技術力を高めて給料を上げる方法は、ネイル検定の取得です。ネイリストの給料アップにつながる検定として、JNECネイリスト技術検定とJNAジェルネイル技能検定があります。
JNECネイリスト技術検定とは、ネイリストとして正しい技術と知識の向上を目的とした試験です。初心者がプロを目指すために必要なスキルが習得できます。一方、JNAジェルネイル技能検定とは、ジェルネイルを施術するために必要な理論と技術が習得できる試験です。就職や転職の際に有利に働くため、サロン探しの前に取得しておくといいでしょう。
これらのような業界団体の認定資格を持っていると、給料が高くなる可能性があります。検定を取得している場合、資格手当を支給するサロンもあるため、積極的にチャレンジしましょう。
ネイリストの資格については以下記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせて読んでみてください。
▷「【ネイリスト監修】ネイリストになるには?必要な資格の取得方法や仕事内容を徹底解説」
技術を上げて指名を増やす
給料アップまでに時間はかかりますが、着実に増やすには技術力を上げて、指名を増やす方法もあります。指名が多ければサロンの売上にも貢献できるため、評価も高まります。指名料は歩合として還元しているサロンも多いため、給料に直接反映されます。
ネイリストとしての人気を上げてより多くの指名をもらうためには、トレンドや人気のデザインを施術できる技術も必要です。技術を上げるためには、営業時間外の自主学習も大事ですが、定期的に研修や勉強会に参加したり、先輩や同僚からフィードバックをもらったりする方法が有効です。
役職を目指すなどキャリアアップのイメージをする
給料アップの方法として、役職に就く選択もあります。ネイリストが役職に就く主な流れは下記のとおりです。
- アシスタント
- ネイリスト
- トップネイリスト
- サブマネージャー(副店長)
- マネジャー(店長)
役職に就けば、管理職手当や役職手当などの給与の一部が増えます。部下や後輩の指導や教育などの責任も増えますが、自分のスキルや経験を高めるチャンスでもあります。
役職に就くためにはネイルの技術だけでなく、リーダーシップやコミュニケーション能力などの人間関係スキルを磨くことが大切です。
キャリアをしっかりイメージしながら取り組むことで、役職にたどり着きやすくなります。給料アップを目指したい人は、ぜひ考えてみてください。
転職する
転職することも給料を上げる方法のひとつです。給料や福利厚生などの待遇は、サロンや企業によって異なります。転職によって、より高い給料水準や待遇の良い企業・施設に移ることも可能です。また、これまでよりも自分の希望や適正に合った仕事内容や、環境に出会うこともあります。
転職するためには、自分の強みや価値をアピールできる履歴書を作成したり、面接対策をしたりすることが大切です。
独立する
独立することも給料アップにつながります。独立するということは、自分でネイリストとしての事業を立ち上げるということです。
独立すれば、自分で仕事内容や料金設定などを自由に決められます。また、自分の理念やビジョンに沿ったサービスを提供することも可能です。ただし独立するためには、これまで携わってこなかった資金調達や開業準備などのビジネスプラン作成能力、顧客開拓や集客などの営業能力が必要になります。
独立するために必要な開業資金は、賃貸料や内装工事費用、宣伝費用などを含めて150~200万円ほどです。また、従業員を雇う場合は人件費も確保します。
開業資金を抑えたいなら、自宅でサロンを開業するのも方法のひとつです。また、出張ネイルでお客様を訪問するスタイルなら、サロンを設ける必要はありません。
ネイル講師になる
ネイリストとして働いた知識と経験を活かして、ネイル講師になることも、給料を上げる方法のひとつです。一般的には、ネイル講師の方がネイリストよりも高い給料を得られます。それは、ネイル講師はネイリストの技術だけでなく、教えるスキルや知識も必要とされるため、より専門性が高いと評価されるからです。
ネイル講師になるには、ネイリストとしての実務経験や資格、教育機関での研修などが必要です。ネイル講師になることで、自分の技術や知識を広めながら給料もアップする可能性があります。
ネイル講師になるには、JNA認定講師資格の取得が必要です。試験を受けるためには、ネイリスト技能検定試験1級に合格していること、プロネイリストとして実務経験を有していることなど、いくつか条件があります。
【まとめ】ネイリストの給料は平均約320万円
ネイリストの給料は歩合・ボーナス・残業代の有無や地域によっても異なりますが、厚生労働省が運営する職業情報提供サイトjob tagによると、約320万円です(2024年3月時点)。
ただし、ネイリストは頑張り次第で給料を上げることもできる職業です。スキルアップして役職に就く、独立してサロンを立ち上げるなど、給料を上げる方法はいくつもあります。自分にはどの働き方、ポジションが合っているかを考えて、将来のビジネスプランを考えましょう。
さまざまな働き方があるネイリストですが、どの働き方でも常に知識やスキルを磨き続ける努力は必要です。サロンの研修を受ける、ネイリストとしてのスキルを形にできるネイル検定を取得するなど、スキルアップのための活動をして、理想のネイリストを目指しましょう。
監修者:SHOKO
トップネイリスト
EIL GROUP(大阪サロン責任者)
【かわいい・かっこいいをもっと身近に…】をモットーに、良心価格×高技術で全国で店舗展開しているトータルビューティーサロンEIL group(合同会社LIBEX)に関西エリアの店舗責任者として勤務。丁寧な接客と繊細な技術で圧倒的な指名数を誇る。
監修者:秋田 繁樹
特定社会保険労務士
社会保険労務士法人 秋田国際人事総研
2004年に秋田社会保険労務士事務所として開業。スタートアップをはじめ中小企業の就業規則の作成や労働トラブルの予防や解決のためアドバイスを行っています。