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職業訓練でネイリストになれる?ハローワークからの申し込み手順や講義内容を解説

ハローワークを利用すると、「職業訓練」という言葉を目にすることがあります。
職業訓練では、さまざまな技術や知識を身につけるための講座が実施され、就職を目指す人が多く参加しています。
「ネイリスト養成コース」も、職業訓練コースの1つです。

そこで今回は、職業訓練でネイルについて学ぶ際の内容やメリット、職業訓練の利用法についてご紹介します。

「ネイリストになるために勉強したいけれど、どこで学べばよいか分からない」
「ネイリストの職業訓練の受け方を知りたい」
といった方は、ぜひ参考にしてください。

職業訓練とは?

職業訓練を受ける女性

職業訓練とは、離職者や在職者・学卒者が、希望する職業に就くために必要な知識やスキルを身につけられる公的制度です。

とくに離職者向けに行われる職業訓練では、「金属加工・木工・自動車整備・事務・介護」など、多岐にわたる講座が開催されており、基本的に無料(※)で受講できます。
訓練期間は、学ぶ内容によって異なり、おおよそ3カ月~2年ほどです。
※ただしテキスト代や、検定試験受験料、検定試験に持参する道具はすべて自己負担で購入する必要があります

ハローワークの求職者かつ雇用保険受給者であれば、受講期間中も雇用保険を受給でき、基本手当に加えて受講手当(日額500円。上限あり)と通所手当(上限あり)も支給されます。
また、訓練期間中に基本手当の支給が終了しても、出席日数分の給付を受けることが可能です。(訓練延長給付)

ただし、職業訓練を受講するためには、ハローワークで求職の申し込みや、相談をしていることが前提となります。
また、申し込みをしても必ず受講できるわけではなく、面接や筆記試験に合格しなければなりません。

職業訓練でネイリストは目指せる?

ネイリストになるために、今までの仕事を退職してネイルスクールや専門学校に通う場合、在学中にアルバイトやパートをしなければ無収入となってしまいます。
しかし、職業訓練でネイリストの勉強ができるのであれば、一定額の収入を得ながら学習に集中できるでしょう。

とはいえ、職業訓練を受けるだけでネイリストの知識が十分に身につき就職も可能なのか、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここからは、ネイリストになるための一般的な方法や、職業訓練でも目指せるのかについて解説します。

ネイリストになるにはどんな方法がある?

ネイリストには、取得必須の国家資格はないため、無資格でも「ネイリスト」と名乗れます。
無資格・未経験の求人もあるため、ネイリストになるハードル自体は、極端に高くありません。

しかし、就職の際に、ある程度の知識を身につけておくために、ネイルスクールや美容学校のネイル専門学科へ通う人も少なくありません。
知識を身につけたうえでネイリストの民間資格を取得することで、就職できるサロンの幅が広がり、就職で有利になる可能性もあります。

また、独立開業を考えた場合、資格をもっていることでお客様からの信頼を得やすくなるでしょう。

ネイリストになるための方法や資格については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。

【ネイリスト監修】ネイリストになるには?必要な資格の取得方法や仕事内容を徹底解説

職業訓練からネイリストを目指すことはできる!

通常、職業訓練は、講座修了後に就職することを目指して受講します。
そのため、講座終了後には、ネイリストを目指すことも可能です。

厚生労働省の「ハロートレーニング(公的職業訓練)の実施状況(全体版)」によると、離職者向け職業訓練の中で、ネイリスト養成コースを含む「理容・美容関連分野」の就職率は、修了後3カ月以内で79.3%となっています(令和4年度)。

調査全体の就職率が77.7%であることから、平均以上の数値であることが分かります。

職業訓練のネイリスト養成コースでは何を学ぶの?

ネイリスト養成コースのカリキュラム

職業訓練のネイリスト養成コースでは、就職後に即戦力として働ける知識を身につけられます。
期間は、6カ月間としているケースが多いようです。

また、就職にあたっては、サポート体制も整っています。
カリキュラムの内容や、どのようなサポートが受けられるのかを確認しましょう。

カリキュラム内容について

職業訓練のネイリスト養成コースは、通常外部委託で行うため、地域によってカリキュラムの内容が異なります。
例えば、東京都のネイルサロン就職養成科では、以下の内容を学びます。

訓練内容

科目

訓練時間

学科

ネイルケア知識

8

ネイル基礎理論

3

衛生管理知識

1

顧客応対知識

1

ファイリング知識

1

ハンドトリートメント知識

1

ジェルネイル知識

1

イクステンション&リペア知識

1

ネイル総合知識

8

実技

地爪を健康に保つためのネイルケア演習

83

ジェルネイル演習

83

イクステンション&リペア演習

40

ネイルアート演習

12

スカルプチュア演習

40

ネイル施術総合演習

78

ネイルサロンワーク演習

84

その他

企業実習

45

計490時間

※参考:厚生労働省東京労働局「求職者支援訓練 募集中・募集予定のコース情報

学科では基礎から応用までしっかり学べ、実技も非常に充実していることが分かります。

企業実習の時間も45時間取られているため、ネイルサロンの仕事についても実践的に学べるでしょう。

就職サポートについて

ネイリストの職業訓練は、就職サポートが充実している点も魅力の1つです。
職業訓練後に本当に就職できるのかは、非常に気になるところでしょう。

職業訓練校では求人票が公開されているため、自身の希望に合った求人を探すことが可能です。
進路指導では、履歴書の書き方や面接の受け方などのアドバイスも、もらえます。

ネイリスト職業訓練受講者の就職先は、ネイルサロンや美容サロンのネイリストだけでなく、知識を活かして働けるネイル商材問屋や、ネイルブランドのメーカーなどがあります。

修了までの期間や講義時間について

ネイリスト養成コースは、修了までにおよそ6カ月を要します。

講義は9時~10時に始まり、16時過ぎに終わるコースが多いようです。
地域によっては、「土日は開講しない」「15時過ぎに終わる」など、主婦や子育て中の方でも取り組みやすいカリキュラムとなっている場合もあります。

ただし、総訓練時間はコースによって異なるため、最寄りのハローワークで確認しましょう。

卒業後に取れるおすすめの資格を紹介

ネイリストの女性

ネイリストの職業訓練では、資格取得を目指すための知識も身につけられます。
在校中もしくは修了後すぐに資格を取得できれば、就職にも役立つでしょう。

ネイリスト職業訓練校を卒業後に取得できる、主な資格を2つご紹介します。

JNEC ネイリスト技能検定 2級・3級

「JNEC ネイリスト技能検定」は、公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)が実施している検定試験です。

JNEC ネイリスト技能検定には、1級から3級までがあります。
3級では「ネイリストに必要な、ネイルケアやネイルアートの基本的な技術や知識」、2級では「サロンで十分通用するネイルケア・リペア・チップ&ラップ・アートに関する技術や知識」が求められます。

3級から受験し、合格した人のみ次級の受験資格が得られます。

【JNECネイリスト技能検定3級・2級詳細】     

3級

2級

試験日

年4回

受験料(税込)

6,800円(税込)

9,800円(税込)

受験資格

義務教育を修了した方

ネイリスト技能検定3級取得者

合格基準

実技:38点以上/50点満点中
筆記:80点以上/100点満点中

※2024年10月2日現在
※最新情報は
公益財団法人日本ネイリスト検定試験センターのホームページでご確認ください。

なお、職業訓練を終えてすぐに1級を取得するのは難しいかもしれませんが、経験を積み2級を取得することで、チャレンジできます。
ネイリスト技能検定2級・3級については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。

ネイリスト技能検定2級とは?試験内容・合格するためのポイント

ネイリスト技能検定試験3級合格ガイド!試験内容・合格率・勉強法を解説

JNA ジェルネイル技能検定試験 初級・中級

「JNAジェルネイル技能検定試験」は、NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)が主催する、ジェルネイルに特化した資格です。
現在サロンメニューの6割以上はジェルネイルであるため、サロンに就職する際にも役立つ資格となっています。

ジェルネイル技能検定試験には、上級・中級・初級と、3つの級があります。
初級では「ネイルケアとジェルネイルの基礎知識と技術の習得」、中級では「ネイルケアやジェルネイルを行うにあたって必要な専門知識と技術の習得」が合格基準となっています。

【JNA ジェルネイル技能検定試験 初級・中級詳細】     

初級

中級

試験日

年2回

受験料(税込)

9,900円(税込)

13,200円(税込)

受験資格

義務教育を修了した方

JNAジェルネイル技能検定試験 初級合格者

合格基準

実技:80点以上/100点満点中
筆記:80点以上/100点満点中

実技:70点以上/100点満点中
筆記:80点以上/100点満点中

※2024年10月2日現在
※最新情報は
NPO法人日本ネイリスト協会のホームページでご確認ください。

ジェルネイル技能検定試験については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

ジェルネイル技能検定試験とは?ネイリスト技能検定試験との違い、級別の概要を解説

職業訓練を利用するにはどうすればよいの?

ネイリストの女性

職業訓練を利用するためには、ハローワークにて所定の手続きする必要があります。

現在の仕事を辞めた場合を想定して、退職後から職業訓練を受講するまでの流れを、順を追ってご紹介します。

ハローワークに行き求職申し込みをする

まずは、住所地を管轄するハローワークに行き、求職の申し込みをします。
ハローワーク内のパソコンから求職情報を仮登録し、窓口で求職申し込み手続きを行いましょう。

なおアカウント登録することで、自宅のパソコンからも求職の申し込みができます。
ただし、雇用保険の手続きは、ハローワークに行かなければできないため注意が必要です。

職業訓練の説明会に参加する

各地のハローワークでは、職業訓練の説明会を頻繁に行っています。
説明会では、コースの内容や学習内容、就職時にどのようなサポートを受けられるのかといった情報を得られます。

説明会に行かなければ職業訓練に合格できないわけではありませんが、参加するメリットも少なくないでしょう。
例えば、説明会に参加することで、講師や運営者の雰囲気が分かります。
また、コースについての説明があるため、講座開始後に「イメージと違う」といったミスマッチを防げます。

説明会では疑問点を質問することもできるため、気になる点がある場合は事前にメモしておくとよいでしょう。

訓練所の見学に行ってみる

説明会同様に必須ではありませんが、訓練所の見学に行くのもおすすめです。

多くの職業訓練校では、事前に見学会への参加ができます。
実際に訓練生の授業風景を見られるうえに、見学会への参加自体が、雇用保険の求職活動として認定される場合もあります。

なお、見学会を開催していない訓練校でも、随時見学を受け付けているケースもあるため、電話で確認してみましょう。

事前に見学しておくことで、職業訓練を受ける際のイメージをつかみやすくなり、訓練校の雰囲気を知ることもできます。

受講の申し込みをする

受講申込書に必要事項を記入し、募集期間内に受講手続きを行います。

コースの募集期間は通常4週間ほどありますが、申し込むためには、事前に就職相談をしておかなければなりません。
募集期間最終日の前日までに、少なくとも1回は相談しておきましょう。

また、離職後に、ちょうどよいタイミングで、職業訓練が実施されるとは限りません。
あらかじめ、最寄りのハローワークのホームページで、職業訓練の実施予定を確認しておくとよいでしょう。

ハローワークで受講申込書を受け付けてもらったのち、自分で実施機関に郵送か持参で提出する必要があります。

筆記試験や面接に合格する

選考日には、訓練実施機関による筆記試験や面接が行われます。

選考内容はコースによって異なり、東京や北九州市の場合は、面接のみです。
面接では「なぜネイリストになりたいのか」「なぜそのコースを選んだのか」といった質問をされるようです。
その場で困らないよう、あらかじめ答えを考えておくとよいでしょう。

なお、コースによっては、選考日までに選考予約をしなければならない場合があります。
予約しなければ試験を受けられないため、注意が必要です。
選考時間は予約時に知らされるため、忘れないようにしましょう。

選考結果は、選考日から1週間ほどで発送されます。

訓練開始日には「就職支援計画書」を忘れずに持参する

訓練開始日には、就職支援計画書のコピーを必ず持参しましょう。

就職支援計画書とは、ハローワークから就職支援をしてもらうためのプラン表です。
就職支援計画書をハローワークが交付することを「支援指示」といい、支援指示がなければ、職業訓練を受けられません。

ハローワークや訓練校へ行く際は必ず持参し、提示を求められた場合は、すぐに見せられるようにしましょう。

まとめ

離職後には、雇用保険の給付を受けながら、職業訓練を受講できます。
職業訓練として、「ネイリスト養成コース」を設けている都道府県もあり、受講することでネイリストとして就職するための知識や技術を身につけることが可能です。

また、職業訓練を受けることで、ネイリストに有利な資格取得も目指せます。
ネイリストは、国家資格が必要ないため、誰でも名乗れる職業です。
民間資格も必須とされているものはありませんが、取得することで差別化を図れたり、就職の際に有利に働いたりする可能性があるでしょう。

なお、ネイリスト養成コースの内容は、都道府県によって異なります。
また、すべての都道府県でネイリスト養成の職業訓練を行っているわけではありません。
ネイリストを目指したい方は、最寄りのハローワークでネイリストの職業訓練を行っているかを確認してみましょう。

プロフィール画像

監修者唐沢 真弓

ネイリスト

学校法人 国際共立学園 国際理容美容専門学校 ビューティアーティスト科教務

国際共立学園は創立69年の伝統ある学園で、職人の技術偏重主義に決して偏ることなく、あらゆる職業を通して、豊かな人間性を併せ持った職業人育成を目指している。『夢をかなえる 人づくり』を教育のテーマに、これまでの教育実績をさらに進化させ、社会に貢献できる人材を育成している。

執筆者山本 鮎美