鍼灸師

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鍼灸師の国家資格を取得するには?費用や期間、利用できる制度を解説

東洋医学に基づく伝統的な知識と技術を駆使し、人間が本来もつ治癒力を高めるのが鍼灸師の仕事です。鍼灸師が活躍できる場所は多いため、資格の取得は大きな価値があります。

本記事では、鍼灸師の国家資格を取得するのに要する期間や費用、活躍できる場所などを解説します。

そもそも鍼灸師(しんきゅうし)とは?

鍼灸師の男性

鍼灸師とは、東洋医学に基づき鍼や灸を使用して人間の自然治癒力を高める技術者です。ただ、厳密には鍼灸師の資格は存在しません。資格として存在するのは「はり師」「きゅう師」で、2つの資格を取得している人を鍼灸師と呼ぶことがあります。

2つの資格を同時に取得し、なおかつ鍼と灸、どちらの施術にも対応している施術者が多いことから、鍼灸師と呼ばれている側面もあります。東洋医学では、気と呼ばれる生命エネルギーの巡りが悪くなると身体にさまざまな不調をきたすと考えられてきました。鍼灸師は、経穴(けいけつ)と呼ばれるツボを鍼や灸で刺激することで気の巡りを改善し、人間が本来もつ自然治癒力を高めます。

鍼灸師を目指すのなら、鍼灸に関する高度かつ専門的な知識が必須です。さらに、勤め先によって求められる知識やスキルは違います。常に人と接する職業であり、利用者の悩みも正確にくみとらなくてはならないため、コミュニケーション能力も必要です。

鍼灸師になるには国家資格が必要?

鍼灸師として活躍するには、国家資格の取得が必須です。働きながら国家資格の取得を目指すことも可能であるため、無理のない資格取得プランを組み立ててみましょう。

鍼灸師になるには2つの国家資格の取得が必要

鍼灸師になるには、はり師ときゅう師の資格が必要です。どちらも単独で取得できるものの、鍼と灸の2つを用いた施術を行いたい、鍼灸師として活躍したいと考えるのなら2つの国家資格取得を検討しましょう。

はり師ときゅう師の資格試験は、年に一度同日に実施されます。共通科目として衛生学や公衆衛生学、解剖学、臨床医学総論、東洋医学臨床論などがあり、非共通科目ははり理論ときゅう理論です。

試験を受けるには高校を卒業後、大学や専門学校で専門的な知識と技術を学ばなくてはなりません。鍼灸の養成課程がある大学、専門学校で3年以上(著しい視覚障害者は5年以上)学ぶことで受験資格を得られます。なお、通信教育での資格取得はできません。

はり師・きゅう師の試験概要

はり師・きゅう師の国家試験は年に一度しか実施されないため、万全の準備を整えて臨む必要があります。どちらも幅広い知識を問われるため、出題範囲を網羅的に勉強しなくてはなりません。

開催時期

試験は年に一度、同日に実施されます。受験を希望する場合、はり師およびきゅう師の試験を運営している「公益財団法人 東洋療法研修試験財団」に願書を請求する必要があります。住所や氏名、受験の種類などを記載した紙と、切手を貼りつけた返信用封筒を同封し、同財団法人の業務部あてに請求しましょう。

願書の提出は例年12月上旬から中旬で、試験は2月下旬、合格発表は3月下旬です。試験の合格者には合格証が発行され、必要に応じて有料の合格証明書の交付申請ができます。

なお、国家試験に合格しただけでは、鍼灸師として働くことはできません。鍼灸師として働くには、免許登録の手続きが必要です。手続きは、同財団法人の公式サイトから申請書を請求したうえで進めます。

試験内容

試験は筆記のみで、実技はありません。筆記試験は記述形式ではなく、四肢択一で行われます。医療概論や衛生学、生理学、リハビリテーション医学などの共通科目と、はり理論、きゅう理論の非共通科目で構成されています。どちらの試験も1問1点で採点され、170点満点で102点(60%)以上が合格ラインです。

合格率

はり師試験の合格率は年によって差異があるものの、ここ数年は概ね70~75%程度で推移しています。以下に、平成27年度から令和5年度までの受験者数と合格者数、合格率を整理しました。

年度

受験者数

合格者数

合格率

平成27年

4,775人

3,504人

73.4%

平成28年

4,527人

3,032人

67.0%

平成29年

4,622人

2,667人

57.5%

平成30年

4,861人

3,712人

76.4%

令和元年

4,431人

3,263人

73.6%

令和2年

3,853人

2,698人

70.0%

令和3年

3,982人

2,956人

74.2%

令和4年

4,084人

2,877人

70.4%

令和5年

4,176人

2,892人

69.3%

きゅう師の合格率も以下に紹介します。

年度

受験者数

合格者数

合格率

平成27年

4,732人

3,550人

75.0%

平成28年

4,443人

3,010人

67.7%

平成29年

4,555人

2,845人

62.5%

平成30年

4,655人

3,656人

78.5%

令和元年

4,308人

3,201人

74.3%

令和2年

3,797人

2,740人

72.2%

令和3年

3,892人

2,963人

76.1%

令和4年

4,010人

2,875人

71.7%

令和5年

4.111人

2,887人

70.2%

※引用:公益財団法人東洋療法研修試験財団「過去の受験者推移」

資格取得までにかかる期間

はり師・きゅう師の資格を取得するには、最低でも3年以上の年月がかかります。同資格試験の受験資格を得るには、高校を卒業後に大学や厚生労働省が認定した養成施設(専門学校)で3年以上学び、知識や技術を習得しなくてはなりません。

鍼灸師の仕事は、利用者の身体に直接触れながら医学的アプローチをするため、東洋医学に基づく高度かつ専門的な知識、技術が不可欠です。知識だけでなく、技術の習得も求められることから、独学や通信教育では資格の取得はできません。

社会人として働きながらはり師・きゅう師の資格取得を目指すのなら、夜間も授業を行っている大学、専門学校を検討してみましょう。国の指定を受けた専門学校のなかには、夕方や夜から授業を受けられる夜間部を設けているところもあります。夜間に通える学校なら、仕事を辞めずに通学できるため経済的な不安も解消できます。

資格取得にかかる費用

資格取得までにかかる費用は、どこで学ぶかによって変わるものの、概ね400~600万円ほどかかると言われています。入学金に30~70万円、年間の授業料が120~150万円ほどです。ほかに、施設費や実習費などがかかる学校もあるため、事前に確認しておきましょう。

仮に、仕事を辞めて通学するとなると、さらに経済的な負担が増す点に注意が必要です。家賃や光熱費、食費などの生活費が必要であるため、相当な貯蓄がないと難しいかもしれません。

まとまった入学金すら用意するのが難しい、といったケースでは国や金融機関から融資を受けることも検討してみましょう。国の機関である「日本政策金融公庫」では、低金利で利用できる教育ローンを提供しています。また、民間の銀行や信用金庫でも教育ローンを扱っているところが多いため、状況によっては検討してみるとよいかもしれません。

※引用:関東鍼灸専門学校「学費について」

鍼灸師の資格を取得できる大学・専門学校

鍼灸師の資格勉強をする女性

はり師・きゅう師の資格を取得できる大学や専門学校を以下に整理しました。気になる学校があれば、公式サイトにアクセスして詳細をチェックしてみましょう。

  • 東洋鍼灸専門学校
  • 日本医学柔整鍼灸専門学校
  • 日本鍼灸理療専門学校
  • 東京有明医療大学 保健医療学部

東洋鍼灸専門学校

東洋鍼灸専門学校は、1957年に創立された歴史ある鍼灸の専門学校です。鍼灸医学の世界的権威である人物によって創立され、これまで6,000人を超える卒業生を世に送り出してきました。2024年に入学した生徒の平均年齢は42歳で、夜間部も設けているため社会人でも通いやすい学校です。

充実した実技指導を行っている点が同校の大きな特徴のひとつです。伝統的な技から最新の技術、知識まで幅広く学べ、鍼灸科3年間での実技時間は課外授業や実技室の開放も含め、1,000時間以上にものぼります。鍼灸院の院長など、経験豊富な講師から直接技術を学べるのもメリットです。

また、同校では徹底した国家試験対策も実施しており、2024年3月卒業生のはり師・きゅう師国家試験の合格率は95%を超えています。さらに、卒業後も利用できる就職相談室の設置や開業支援セミナーの開催など、卒業したあとの支援体制も充実しています。

※引用:東洋鍼灸専門学校

日本医学柔整鍼灸専門学校

日本医学柔整鍼灸専門学校は、東京都の高田馬場駅から徒歩約1分の場所にある専門学校です。鍼灸師や柔道整復師の育成を専門とする学校であり、鍼灸学科では日本鍼灸だけでなく中国鍼灸も学べるほか、四大鍼灸ゼミで美容鍼灸や婦人鍼灸、スポーツ鍼灸、高齢者鍼灸も学べます。

夜間部を設けているほか、土日に実技を学べる夜間部補講制度の完備やオンラインやオンデマンド授業など、社会人が学びやすい環境が整備されています。また、夜間部を対象とした国家試験対策制度もあり、試験合格まで徹底したサポートを受けられます。

キャリア支援プログラムが充実しているのも特徴です。業界セミナーや独立開業セミナーをはじめ、スキルアップ講座や面接対策、在学中のアルバイト支援、卒業後のキャリア支援など、卒業後まで継続したサポートを受けられます。

独立開業セミナーでは、開業にいたるまでの手続きや具体的なマーケティング手法、経営ノウハウなども学べるため、卒業後すぐ開業するのも夢ではありません。

※引用:日本医学柔整鍼灸専門学校

日本鍼灸理療専門学校

日本鍼灸理療専門学校は、鍼灸に関する専門的な知識、技術を指導するのみならず、人間教育に注力している点が特徴です。臨床を重視した実技教育を行っており、最新科学と伝統的な技法を融合させた技術を学べます。

社会人の入学性が多い点も特徴です。入学生全体の約55%が社会人経験者であり、幅広い年齢層の生徒が学んでいます。夜間部もあるため、働きながら資格取得を目指したい方にもおすすめです。

卒後臨床研修制度や同窓会活動など、卒業後のフォローにも力を入れています。また、東京都、渋谷駅から徒歩約5分の立地なので、無理なく通える点も魅力です。

※引用:日本鍼灸理療専門学校

東京有明医療大学 保健医療学部

東京有明医療大学は、個々の生徒と適切に向きあえるよう、少人数教育で指導を行っている大学です。東洋医学と現代医学を融合させた独自のカリキュラムを使用しているほか、国内外で活躍している教授陣から指導を受けられる点がメリットです。

保健医療学部には鍼灸学科が設けられているため、鍼灸師を目指したい方に適しています。鍼灸学科では、スポーツ鍼灸学やレディース臨床鍼灸学、整形外科臨床鍼灸学など、幅広い知識と技術を学べます。

個々の学生にあわせた、手厚い就職支援を行っているのも特徴です。自己分析セミナーや面接マナー講座、卒業生講話会、新社会人応援セミナーなどの支援を行っているほか、就職先の紹介も行っています。

※引用:東京有明医療大学

鍼灸師資格取得費用のために利用できる制度

鍼灸師の施術を受ける女性

学校に通えるような資金がない、といった方も諦める必要はありません。以下は、資格取得費用をサポートしてもらえる制度です。

  • 日本学生支援機構奨学金
  • 東京都育英資金
  • 高等教育の修学支援新制度
  • 専門実践教育訓練給付金制度

日本学生支援機構奨学金

日本学生支援機構の奨学金には、返還の必要がない給付型と返還しなくてはならない貸与型の2種類があります。給付型は、高校での全履修科目の認定平均値が3.5以上(5段階評価)、高校卒業後2年以内の人などの条件があるほか、世帯の収入によっても利用の可否が変わります。

貸与型には、無利息の第一種奨学金や利息つきの第二種奨学金、一種と二種の併用貸与などがあり、それぞれ利用するための学力基準や年収、所得の目安などが決められています。同団体の奨学金は、利用資格などが相当細かく決められているため、詳細は同団体の公式サイトや、学校側へ問い合わせてみましょう。

※引用:日本学生支援機構

東京都育英資金

正式な名称は、東京都育英資金貸付事業です。勉学への意欲があるものの、経済的な理由で進学が難しい方を対象に、無利息で奨学金を貸与する制度です。

都内に在住し、高校や高等専門学校、専修学校に在学している方が対象です。ほかの奨学金と併用しての利用はできません。また、申し込み時と貸付終了時に連帯保証人を用意する必要があります。

申し込みには、東京都育英資金貸付申込書が必要です。学校側から書類を受けとり、ほかの必要書類と併せて学校へ提出しましょう。

※引用:東京都私学財団「【東京都育英資金貸付事業】貸付を希望される方」

高等教育の修学支援新制度

高等教育の修学支援新制度は、学習意欲のある子どもを支援する目的で令和2年からスタートした制度です。入学金・授業料の免除、減額のほか、返還の必要がない給付型奨学金を用意しています。

一定の要件を満たす短大や大学、高等専門学校、専門学校に通う生徒が対象です。本人の学ぶ意欲が高く、なおかつ世帯収入や資産の要件を満たすことで利用できます。

支援を受けられる金額は世帯収入によって変わります。年収の目安は1~4まで区分されており、第一区分となる住民税非課税世帯なら21~91万円までの給付を受けられます。

※引用:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」

専門実践教育訓練給付金制度

専門実践教育訓練給付金制度は、働く人の中長期的なキャリア形成と、再就職の促進を目的に創設された給付制度です。雇用保険の給付制度であり、在職者や離職者が指定された専門実践教育訓練を修了した際に、それまで支払った経費の一部を支給してもらえます。

給付金であるため、返還する必要はありません。給付金は年間の上限40万円(受講費用の50%)と決められており、訓練期間中の半年ごとに支給されます。専門実践教育訓練の対象となる講座には、はり師・きゅう師も含まれているため、鍼灸師を目指す方も利用可能です。

申請の手続きはハローワークで行います。手続きには、ジョブカードの交付を受けたあと給付金受給資格確認票と併せてハローワークへ提出します。

※引用:厚生労働省「教育訓練給付制度」

鍼灸師の基本的な仕事内容

鍼灸師の女性

鍼灸師の基本的な仕事には、主に以下4つの内容に分けられます。

  • 脈診
  • 望診
  • 鍼療法
  • 灸療法

指で脈拍を測る「脈診」

脈診は、東洋医学に基づくアプローチのひとつで、身体の状態を確認するために行われます。施術を受ける人の手首に人差し指や中指をあて、脈の動きから身体の状態を判断します。

脈診でわかるのは、身体の状態だけではありません。気のエネルギー量や流れ、臓腑の機能や状態、治療すべき経絡やツボの判断などのほか、治療効果を判定するためにも行います。

目で見て判断する「望診」

望診とは、患者の表情や身体などを目で見て診断する方法です。体型や表情だけでなく、患者の動作や姿勢、精神状態、目や舌、肌の色などもチェックします。

精神状態を判断する際には、患者の言動や呼吸、顔色、目の色などを観察します。東洋医学では、精神状態を得神や少神など4つに分類しており、望診でどの状態に区分されるのかを確認するのが特徴です。人体に関する高度かつ専門的な知識はもちろん、高い観察力も求められます。

鍼を患部に刺す「鍼療法」

鍼療法は、約2000年以上の歴史があるとも言われている伝統医学であり、日本には奈良時代に伝わったと言われています。髪の毛ほどの細い鍼を使用する点が特徴で、皮膚に刺したときの痛みも少なくなっています。

近年、鍼療法は鍼灸院以外でも活用されるようになりました。たとえば、脳卒中の後遺症を改善するためのリハビリテーションとして、鍼療法が活用され始めています。

患部に熱を与える「灸療法」

艾(もぐさ)と呼ばれる燃焼物をツボや患部の上に置き、熱刺激を加える療法です。灸療法も古くから行われてきた療法のひとつであり、日本でも戦国武将が日常的に灸をすえていたと伝わっています。

灸療法では、患者の状態によって熱刺激の強さを変化させることが特徴です。じんわりと伝わるような熱刺激を与えることもあれば、ほどよい痛みを感じる刺激を加えることもあります。

鍼灸師の主な就職先

鍼灸師として活躍できる就職先は多々あります。以下が、代表的な就職先です。

  • 鍼灸院
  • 美容鍼灸サロン・エステサロン
  • 病院・診療所
  • 訪問治療院
  • 介護福祉施設
  • スポーツ施設
  • レディース鍼灸院

鍼灸院(鍼灸接骨院)

【おすすめの人】

  • 一人ひとりの利用者に向きあいたい
  • 鍼灸療法をメインに経験を積みたい

鍼灸院は、鍼灸をメインに施術を行う施設です。一方、鍼灸接骨院は鍼灸だけでなく、肩こりや骨折などの治療にも携わる点が特徴です。

鍼灸院は、地域密着型の小規模な施設が多く、一人ひとりの利用者に向きあいたいと考える方に適しています。鍼灸接骨院や鍼灸整骨院の場合は、全国に施設を展開している大規模なところもあります。

美容鍼灸サロン・エステサロン

【おすすめの人】

  • 美容鍼灸に関心がある
  • 大手の鍼灸院グループで働いてみたい
  • 土日も働きたい

美容鍼灸とは、鍼灸療法によって美顔や美肌などの美容効果を得ようとする療法です。主に顔面部分への施術を行うことが多く、美顔鍼とも呼ばれます。

美容鍼灸は需要が高く、専門のサロンやクリニックも数多く存在します。実務では施術だけではなく、お客様からの電話対応や予約の管理、店舗の開店、閉店作業などが加わることが一般的です。また、多くの美容鍼灸サロンは土日も営業している傾向があります。

病院・診療所

【おすすめの人】

  • 本格的な医療の現場で経験を積みたい
  • 幅広い知識を身につけたい
  • チーム医療に関心がある

病院や診療所、クリニックなどで働く場合は、整形外科や神経科、リハビリテーション科などに在籍するのが一般的です。ケガをした方の痛みを鍼灸でやわらげたり、もとの生活に戻れるようリハビリのサポートを行ったりします。

病院や診療所には、機能回復を目的に訪れる方が大半であるため、鍼灸師には幅広い知識が求められます。また、医師や看護師など、他職業の方とチームで実務にあたることが多いため、コミュニケーション能力も必要です。

訪問治療院

【おすすめの人】

  • 高齢者や障害者の役に立ちたい
  • 毎日同じ場所で働きたくない
  • あん摩マッサージにも興味がある

医療機関へ足を運べない、障害者や高齢者の自宅に訪問して施術を行います。近年は在宅介護や在宅看護、在宅医療の需要がますます高まっており、鍼灸をメインにした訪問治療院も増加傾向にあります。また、最近では訪問鍼灸マッサージを掲げてサービスを提供している施設も増えてきました。

介護福祉施設

【おすすめの人】

  • 介護の実務に興味がある
  • 鍼灸以外の業務にも携わりたい

デイサービス施設やグループホームなど、介護福祉施設で働く道もあります。一定の要件を満たす必要はあるものの、機能訓練指導員として採用される可能性があり、専門職として重宝されます。

具体的な業務内容は、機能訓練計画の策定や実施です。利用者の介護や送迎など、鍼灸以外の業務を任されるケースも多いため、そこは注意しましょう。

スポーツ施設

【おすすめの人】

  • スポーツが好きな人
  • スポーツ選手のサポートやケアをしたい人

鍼灸の知識と技術を用いて、スポーツ選手の身体をケアする働き方ができるのがスポーツ施設です。身体が資本のスポーツ選手にとって、コンディションの維持や向上、メンテナンスは重要です。スポーツ施設に勤める鍼灸師は、スポーツ選手が最高のパフォーマンスを発揮できるようサポートを行います。

レディース鍼灸院

【おすすめの人】

  • 女性の方
  • 鍼灸を用いた美容系の仕事をしたい

レディース鍼灸院は、女性専門の鍼灸院です。鍼灸を用いたボディメンテナンスや美容鍼、頭皮鍼などの施術を行うところが多く、スタッフも全員女性のみといった施設も少なくありません。

鍼灸による施術がメインであるものの、具体的な業務内容は施設によって異なります。患者様へのカウンセリングや事務作業などを任される可能性もあります。

鍼灸師の年収

鍼灸師の給料

鍼灸師としてどの程度の年収を得られるかは、本人のスキルや経験、勤め先などによって大きく変わります。厚生労働省のデータによれば、はり師・きゅう師の平均年収は459.3万円(※)となっているため、これをひとつの目安として考えましょう。

実際には、上記よりも多くの年収を得ることは可能です。スキルを磨き、十分な経験を積むことで、よりよい条件を提示してくれる鍼灸院や介護施設などで働ける可能性があります。さらに多くの年収を求めるのなら、経験を積んでから独立開業するのもひとつの道です。

※引用:厚生労働省職業情報提供サイト「jobtag」

▷「鍼灸師の年収はいくら?働き方別の給料や年収を上げる方法を解説」

まとめ

鍼灸師として活躍するには、はり師・きゅう師の資格を取得しなくてはなりません。受験資格を得るには、大学や専門学校で3年以上学ぶ必要があり、試験に合格したあとは免許の登録手続きも必須です。

鍼灸の施術は、鍼灸院だけでなく介護施設やスポーツ施設など、さまざまな場所で求められています。活躍できる場所は数多く存在し、手に職もつけられます。資格の取得後に鍼灸院などで経験を積んでいけば、ゆくゆくは独立開業も夢ではありません。この機会に、ぜひチャレンジを検討してみましょう。

プロフィール画像

監修者谷口久義

鍼灸師

たにぐち接骨院

『超健康』を目指す体質改善プログラムを提供中。
東洋整体・鍼・ホルモンバランス調整法・骨盤調整・トレーニング・EMS・腸活ファスティング・食事指導などをパーソナルに組み合わせて作っている。

執筆者政宗