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マッサージ師は資格なしでは働けない!主な国家資格・民間資格を紹介
マッサージ師になる方法を調べたときに、あん摩マッサージ指圧師や整体師、セラピスト、エステティシャンなどいろいろな職種が出てきます。
実は、それぞれ明確な違いがあり「マッサージ」を行うには国家資格を取得する必要があります。
本記事ではマッサージ師に必要な国家資格やそのほかの資格について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
マッサージ師は資格なしでは働けない!
マッサージやもみほぐし、整体など、街には「マッサージ」と思われるお店があふれています。しかしマッサージは「医業類似行為」に分類されており、国家資格取得者でないとマッサージ師にはなれません。
マッサージができるのは、あん摩マッサージ指圧師または医師免許保有者のみです。それ以外の資格でもリラクゼーションや美容目的の施術は可能ですが、治療目的の「マッサージ」はできません。
また、お客様がわかりやすいようにと、施設名やメニュー名に「マッサージ」を含めるのもNGです。利用者が国家資格取得者によるマッサージと誤解するおそれがあるとして規制の対象になります。
マッサージともみほぐしの違い
もみほぐしと称して施術を提供するケースもありますが、もみほぐしとマッサージは別物です。
マッサージは不調を感じる部位に対する医業類似行為ですが、もみほぐしはあくまでも疲労回復を目的として施術します。そのため、もみほぐしであれば、あん摩マッサージ指圧師の資格や医師免許は不要です。
また、医療類似行為であるマッサージは条件を満たせば健康保険が適用されますが、もみほぐしでは健康保険は使えません。
資格なしの人がマッサージ師の業務を行うとどうなる?
あん摩マッサージ指圧師の資格や医師免許をもたない人がマッサージを行うのは違法で、最悪の場合逮捕される可能性があります。
とくに違法行為によってお客様にケガを負わせた場合は、警察の捜査が入る、損害賠償請求されるなどの大きな問題に発展するリスクがあります。そのため、施術はリラクゼーションや美容の範囲を超えないことが大切です。
マッサージ師の国家資格を取得するメリット
あん摩マッサージ指圧師の資格を取得するには、長期間指定の学校に通って国家試験に合格する必要があります。手間も時間もかかって大変ですが、国家資格を取得すると下記のメリットが得られます。
- 働き方の選択肢が増える
- 開業も可能になる
それぞれの詳細を把握したうえで、国家資格取得を目指すかどうかを考えてみましょう。
働き方の選択肢が増える
国家資格を取得すると、治療院や施術所などでマッサージの施術を行えるようになります。リラクゼーションサロンや介護施設、スポーツトレーナー、在宅医療などと活躍の場が広がるため、働き方の選択肢が増えます。
また、国家資格は国から与えられる、いわばお墨付きです。取得することで知識や技術があることを証明できるため、お客様からの信頼も得やすくなります。
開業も可能になる
国家資格を取得しておけば、マッサージの施術メニューを提供する治療院や施術所を開業できます。自営業には収入の不安定さや、トラブルに自力で対処する必要があるなどリスクはともないますが、自分が理想とするサービスを提供することが大きなやりがいにつながります。
あん摩マッサージ指圧師は、基本的に施術に特別な道具や機材を必要としません。このことから鍼灸師やエステティシャンなどとは異なり、開業資金を抑えられます。
ただし、治療院や施術所での就業経験がない状態で開業すると、経営のノウハウや接客方法などがわからず苦労する可能性があります。できれば治療院や施術所などで経験を積んでから独立開業を目指すのがおすすめです。
マッサージ系の国家資格
マッサージやそのほかの医療類似行為施術者として働くには、下記いずれかの国家資格が必要です。
- あん摩マッサージ指圧師
- 柔道整復師
- はり師・きゅう師(鍼灸師)
各国家資格の詳細を紹介しますので、どれが自分に向いていそうかを考えてみましょう。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、身体に不調を抱える人に対し、治療目的のマッサージを行うための国家資格です。
押す・揉む・叩くなどの手技を用いて血行を促進したりコリをほぐしたりして、不調の改善や体力回復を目指します。
あん摩マッサージ指圧師の資格を取得するには、所定の学校や養成施設に3年以上通い、国家試験を受けて合格する必要があります。
※引用:東洋療法研修試験財団「試験概要」
柔道整復師
柔道整復師とは、日々の生活やスポーツによって負った捻挫・打撲・骨折などケガを、手技や医療補助的な方法で回復させる施術を行うための国家資格です。
柔道整復師になるには、柔道整復師養成施設と認定された大学や専門学校などに3年以上通い、国家試験を受けて合格する必要があります。
※引用:道整復研修試験財団「1.柔道整復師国家試験の実施」
はり師・きゅう師(鍼灸師)
はり師・きゅう師とは、鍼で身体のツボを刺激する、またはお灸でツボを温めるといった方法で自然治癒力を高めて身体の不調を改善する施術を行うために必要な国家資格です。はり師・きゅう師の両方の資格を取得している人が多いため、「鍼灸師」とまとめて呼ばれることもあります。
はり師・きゅう師の国家資格を取得するには、所定の大学や専門学校で鍼灸について3年以上学び、国家試験を受けて合格する必要があります。
※引用:東洋療法研修試験財団「試験概要」
リラクゼーション・美容業界で役立つ民間資格一覧
リラクゼーションや美容目的の施術の場合は、資格がなくても働けます。しかし、何の知識やスキルもない状態でサービスを提供すると事故発生のリスクにもつながるため、何らかの資格を取得するのがおすすめです。
リラクゼーション・美容業界で働くのに役立つ主な民間資格として、下記の7種類があります。
- JRECリフレクソロジー資格
- Dr. ボッダーアカデミー認定MLD(マニュアル・リンパドレナージ)資格
- AJESTHE認定エステティシャン
- AEAJアロマセラピスト
- リンパドレナージュセラピスト
- リフレクソロジー
- タイ古式マッサージ
各資格の概要や資格取得方法を解説しますので、気になる資格があったらチェックしてみましょう。
JRECリフレクソロジー資格
JRECリフレクソロジー資格とは、身体を癒やし、健康維持の対応ができるプロフェッショナルなリフレクソロジスト育成を目指した民間資格です。リフレクソロジーの技術はもちろん、人間の身体の仕組みや栄養学などについても学習します。
資格の種類はレギュラークラス/マスタークラス/トップインストラクター/サポートケア・デイリーケア リフレクソロジストの4種類です。いずれの資格も取得するにはJREC加盟スクールにてカリキュラムを修了し、JRECが実施する認定資格に合格する必要があります。
※引用:JREC日本リフレクソロジスト認定機構「JRECのリフレクソロジーとは」
Dr. ボッダーアカデミー認定MLD(マニュアル・リンパドレナージ)資格
Dr. ボッダーアカデミー認定MLDとは、リンパドレナージの生みの親であるエミール・ボッダー博士が開発したメソッドを学べる資格です。自宅やリラクゼーションサロンだけでなく、医療機関でも活用できる技術が身に付きます。
資格の種類は基礎課程のMLD Level 1・応用課程のMLD Level 2・医療・福祉従事者向けのMLD Level 3の3種類です。解剖生理学とボディマッサージの知識・技術があること、AEAJ認定アロマセラピスト資格を保有することなど、レベルによって受講対象者の条件が異なります。
※引用:MLDトレーニングセンター「リンパドレナージの資格紹介 COURSE GUIDE」
AJESTHE認定エステティシャン
AJESTHE認定エステティシャンとは、エステティックサービスを適切に提供するための基礎知識と技術をもつ人に与えられる認定資格です。
資格を得るにはエステティシャンセンター試験に合格すること、AJESTHE認定校にて300時間以上コースまたは1000時間以上コースを修了すること(実務経験1年以上でも可)という2つの条件を満たす必要があります。
より専門的な知識と技術を有することを証明する「AJESTHE認定上級エステティシャン」や「AJESTHE認定トータルエステティックアドバイザー」などの上級資格も存在します。エステティシャンとして活躍したい方は、これらの資格取得を目指すことも検討してみましょう。
※引用:日本エステティック協会「資格・検定」
AEAJアロマセラピスト
AEAJアロマセラピストとは、リラクゼーションサロンなどでお客様にアロマトリートメントやコンサルテーションなどを提供できるスキルがあることを証明する資格です。精油の知識だけでなく、トリートメントの技術や解剖生理学、皮膚科学などの知識も身に付ける必要があります。
資格を取得するには、下記の7つの条件を満たさなくてはならずハードルが高めです。
- AEAJアロマテラピー検定1級取得
- AEAJへの入会
- AEAJアロマテラピーアドバイザー資格取得
- 認定スクールでの必修科目終了
- アロマセラピスト学科試験合格
- トリートメント実技試験・合格
- カルテ演習の修了
その分、専門的な知識やスキルが身に付くため、アロマテラピーを仕事にしたい方におすすめです。
※引用:日本アロマ環境協会「アロマセラピスト学科試験」
リンパドレナージュセラピスト
リンパドレナージュセラピストとは、肌に触れたり押したりしてリンパの流れを促進させる「リンパドレナージュ」を行うセラピストのことです。
リンパドレナージュにはリラクゼーション・美容向けと医療向けの2種類があり、それぞれに数多くの民間資格が存在します。
たとえば国際ボディトリートメント技術認定協会では、IBCA認定アロマリンパセラピスト資格やIBCA認定漢方経絡リンパセラピスト資格などの資格を発行しています。
これらの資格を取得するには、協会認定のスクールにて所定のカリキュラムを修了する必要があります。
医療向けのリンパドレナージュの資格なら、リンパ浮腫療法士(LT)がおすすめです。医療従事者向けの資格であり、リンパ浮腫の治療に従事する際に必要とされる専門知識と技術があることを証明できます。
認定試験を受験するにはリンパ浮腫治療の研修・講習の修了証や症例リスト、勤務証明書などを提出する必要があります。
※引用:国際ボディトリートメント技術認定協会「資格について」
※引用:日本リンパ浮腫治療学会「認定試験実施概要」
リフレクソロジー
リフレクソロジーとは、手の平や足の裏にある反射区を刺激するし、身体の不調の改善を目指す施術です。
リフレクソロジーの資格にもさまざまな種類がありますが、代表的な民間資格として先に紹介したJRECリフレクソロジー資格やJHRSリフレクソロジープロライセンス実技士資格などがあります。
JHRSリフレクソロジープロライセンス実技士資格を取得するには、JHRS公認校で所定の講座を修了し、認定試験に合格する必要があります。
※引用:日本リフレクソロジスト認定機構「JRECのリフレクソロジーとは」
※引用:日本ヒーリングリラクセーション協会「リフレクソロジー資格概要」
タイ古式マッサージ
タイ古式マッサージとは、タイの伝統医学に基づき行う施術です。もみほぐしやストレッチなどを組み合わせた手技によって全身にアプローチします。し、血行促進や体調改善などを図ります。
タイ古式マッサージの代表的な民間資格としては、タイ政府認定タイマッサージスクールITS発行のタイ古式マッサージ資格や、国際ボディメンテナンス協会(IBMA)が発行するIBMAタイ古式マッサージセラピストなどがあります。いずれも資格取得には認定校にて所定の講習を修了する必要があります。
※引用:インターナショナルセラピースクール「タイ古式マッサージ資格認定講座」
※引用:国際ボディメンテナンス協会「タイ古式マッサージセラピスト資格取得コース」
まとめ
マッサージや整体、エステなどさまざまな職種がありますが、治療目的のマッサージができるのはあん摩マッサージ指圧師または医師免許保有者のみです。
それ以外の資格でマッサージを行うと違法になるため注意しましょう。
ただし、柔道整復師や鍼灸師などの国家資格やそのほかの民間資格でも、リラクゼーションや美容目的であれば施術可能です。
国家資格・民間資格ともにさまざまな種類があるため、それぞれの特徴を把握して、どの資格が自分に向いているかを考えてみましょう。
監修者:岡野 夏樹
柔道整復師
合同会社Hope Dream(代表社員)
お客様と整体師を救いたいという想いから、看板もないビルやマンションの1室で完全自費の整体院を大阪で4店舗経営。
自身は総フォロワー数約20万人の知名度を誇り、全国各地から悩みを持ったお客様が多数ご来院する整体院に成長。
現在は、整体師への講師活動も行い、整体師や経営者の育成にも携わっている。
・整体院 望夢:https://seitai-nozomu.com/
・整体院 望夢 求人情報:https://en-gage.net/seitainozomu_jobs/
・YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCiaK_FFPIKL3mACo1VRioqA