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ネイリスト技能検定試験3級合格ガイド!試験内容・合格率・勉強法を解説

ネイリスト技能検定試験3級には、事前審査・実技・筆記試験が含まれます。

この記事では、ネイリスト技能検定試験3級の受験を予定している方に向けて、試験の内容と合格率、注意点、勉強方法なども詳しく紹介します。

また、アート試験の概要やきれいに仕上げるコツ、課題におすすめの花の種類やカラー選びのポイントも紹介しているので、参考にしてみてください。

ネイリスト技能検定試験3級とは?

ネイリスト技能検定試験(ネイル検定)は、JNEC(公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター)が認証する実践に役立つ検定試験です。国際的に活躍するネイリストを多く育成するため、正しい技術や知識の向上を目的に毎年実施されています。

2024年には実施27年目を迎え、受験者は累計で約990,000人に達しました。検定試験は1級、2級、3級の3段階に分かれています。ネイリスト技能検定試験3級では、ネイルケア・アートに関する基礎知識と技術が問われる基本的な内容で構成されています。

なお、2級はサロンワークで通用するネイルケアやリペア、チップ&ラップ、ネイルアートに関する技術および知識、1級は最上レベルのネイリストに求められる総合的な技術および知識が必要です。

ネイル検定では、他の級との同時受験や、最初から2級や1級を受験する飛び級などが認められていません。そのため、すでにネイルサロンに勤務していて知識や技術に自信がある方でも、ネイリスト技能検定試験3級からスタートします。

ネイリスト技能検定試験3級は、義務教育を修了している方なら誰でも受験可能です。受験料は6,800円で春・夏・秋・冬と年4回実施されています。全国11カ所の公式会場のほか、登録試験会場で受験できます。実技と筆記試験があり、実技はモデルを同伴するかJNEC認定モデルハンドを使用する方法のいずれかを選択可能です。
※引用:日本ネイリスト検定試験センター

ネイリスト技能検定試験試験3級の試験内容

ネイリスト技能検定3級の勉強をする女性

ネイリスト技能検定試験試験3級の試験内容は、大きく以下の3つで構成されています。

  • 事前審査
  • 実技試験
  • 筆記試験

また、2023年の秋期より、試験内容が一部変更となっています。これまでは、事前に塗られた赤ポリッシュをオフする工程が含まれていましたが、現在ではポリッシュを事前に塗布する必要はありません。この変更に伴い、試験の時間が70分から65分に短縮されています。

事前審査

実技試験前に10分間の事前審査があり、テーブルセッティングや消毒管理、用具の管理、モデルの状態などがチェックされます。ポリッシュの塗布がないか、手のひらや甲、指先、指の間まで徹底して消毒しているか、用具や材料が衛生的に処理され、正しく配置されているかなど細かく採点されます。

モデルを同伴する際は、15歳以上であること、爪や爪周りの皮膚に疾患がないこと、イクステンションまたはリペアした爪が2本までといった条件をクリアしなければなりません。さらに、試験の1週間前からキューティクルクリーンやファイリングなどの手入れを施していないことも必須条件です。

認定モデルハンドはJNEC認定ラベルが貼付されたものであること、前もってJNEC認定ルースキューティクルを貼付した認定ネイルチップを10本装着している必要があります。文字や線、目盛が入った認定モデルハンドの使用は認められていません。

実技試験

実技では、ネイルケア・カラーリング・ネイルアートの3つが審査されます。全体の試験時間は65分です。ネイルケアでは、手指消毒、ファイリング、ブラシダウンなどの審査が行われます。ファイリングでのスタイルはラウンドと決められており、カラーリングではベースコート、カラーポリッシュ、トップコートを塗布します。

カラーポリッシュは赤の2度塗りと決められていますが、パールやラメ、メタリックの入ったポリッシュは使用できません。ネイルアートを施すのは右手中指です。アクリル絵の具でフラットアート(イラスト)を描き、トップコートで仕上げます。

ネイル検定3級におけるアート課題のテーマは、「フラワー」です。テーマに相応しいデザインを筆のみで描きます。実技試験の合格ラインは50点中38点以上です。

筆記試験

筆記試験の時間は30分、マークシート方式の択一問題で全60問を解答します。問題の範囲は衛生と消毒、爪の構造/皮膚科学、爪の病気とトラブル/爪の生理解剖学、ネイルケアの手順などです。

筆記試験の合格ラインは、100点中80点以上です。なお、前回の受験で筆記試験に合格していた場合には、次に受験する際の筆記試験が免除になります。免除を希望する際は、筆記試験に合格した際の受験番号を受験申込書に記入しましょう。

ネイリスト技能検定試験試験3級の合格率

JNEC(公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター)が公開している合否結果によれば、2024年春期ネイリスト技能検定試験試験3級の合格率は、91.2%です。
1級の50.2%、2級の55.6%に比べ、3級の合格率は高くなっていることが分かります。
※引用:日本ネイリスト検定試験センター「2023年 秋期検定試験(10月実施)合否判定結果」

ネイリスト技能検定試験3級の直近3年間の合格率は次の通りです。

2022年度

2023年度

2024年度

冬期

89.0%

89.5%

90.9%

春期

91.4%

90.3%

91.2%

夏期

91.1%

92.1%

-

秋期

90.6%

90.7%

-

2023年度秋期までの累計では、ネイリスト技能検定試験3級の合格率は84.98%となっているため、近年は合格率の上昇が見て取れます。
※引用:日本ネイリスト検定試験センター「受験者数・合格者数累計」

ネイリスト技能検定試験試験3級で注意すべきこと

ネイリストの女性

実技の採点基準

JNEC(公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター)は公式サイト内で「実技採点基準」を公開しています。
チェック項目は、テーブルセッティング&消毒管理、ファイル・エメリーボードの扱い方、ラウンドの仕上げ、プッシャーの使用方法、ニッパーのハンドリング、クリーンナップ仕上げ、カラーの色ムラ、カラーラインどり、ネイルアート、全体の仕上がりの全10項目です。

ファイル・エメリーボードの扱い方、プッシャーの使用方法、ニッパーのハンドリング、カラー表面・色ムラ(ベースコート・カラーポリッシュ・トップコートが塗布されている、10本すべてに赤ポリッシュが2度塗りされていること)などが工程審査に含まれています。

採点は5点満点法で行われ、4点が合格ラインです。
具体的な評価は、5点が「良い」、4点は「合格ラインに達している」、3点は「合格には少々不足」、2点は「良くない」、1点は「悪い」となっています。
実技試験の合格基準は38点以上となっており、減点を反映した合計得点で決まります。
詳しくは後述しますが、制限時間内に終えられなかったなどの失格対象に該当しないことも重要です。

ここでご紹介したのはごく一部です。さらに詳細な情報を確認したい方は、日本ネイリスト検定試験センターの公式情報をご参照ください。
※引用:日本ネイリスト検定試験センター「ネイリスト 技能検定試験 実技採点基準」

減点・失格対象のチェックポイント

ネイリスト技能検定試験3級の採点は減点方式のため、合格を勝ち取るには試験内容を理解し、ネイリストとして正しい技術と知識を習得し、安心・安全な施術をすることがポイントです。
「ネイリスト技能検定試験 試験要綱」にある減点・失格対象には特に注意してください。減点対策、失格対策として代表的なものを一部ご紹介します。

■試験(実技、筆記)における減点対象

  • 用具・用材
    用具・用材を忘れた場合、使用不可と記載の用具・用材をセッティングした場合、試験中に許可を得ず用具・用材を出し入れした場合など。事前準備の確認や試験中の指示はしっかり確認するようにしてください。

  • モデルの爪
    同伴したモデルのイクステンションとリペアを施した爪がナチュラルネイルの色と形に合わせて対応していない場合はチェックされます。

  • マナー
    私語の多い場合やマナーが悪い場合(受験生・モデルともに)、またゴミを持ち帰らなかった場合など。但し、試験管の指示に従わない場合(受験生・モデルともに)は失格対象となりますので、マナーを守り、試験に挑んでください。

■試験(実技、筆記)における失格対象

  • 用具・用材
    ネイルマシーンや、オイル、アート用のシール、ドットペンなど使用を禁止している用具・用材等をセッティングした場合は失格対象となりますので、準備の際に確認してください。

  • モデルの手指損傷
    同伴したモデルの手指の出血を伴う損傷、JNEC認定モデルハンドに対して著しいダメージを与えてしまった場合は失格対象です。

  • 不正行為
    カンニングや不正行為・禁止行為を行った場合は失格対象となります。

ご紹介したのはごく一部です。さらに詳細に確認したい場合はこちらをご参照ください。
※引用:日本ネイリスト検定試験センター「試験要項 - ネイリスト検定」

ネイリスト技能検定試験試験3級ではネイルアート課題への対策も重要

ネイルアートをするネイリスト

ネイリスト技能検定試験3級の合格に向けて、ネイルアートの課題対策も行う必要があります。ネイルアートの概要と課題を行う上での注意点、きれいに仕上げるコツ、おすすめのデザインについて知っておきましょう。

ネイリスト技能検定試験試験3級のネイルアート課題とは?

ネイリスト技能検定試験3級のアート課題は前述した通り「フラワー」となっていますが、花の種類は指定されていません。そのため、花の種類と使用する色は試験前に考えておく必要があります。
同伴したモデル、またはJNEC認定モデルハンドの両手の爪は真っ赤のカラーポリッシュが塗布されているので、見栄えするカラーリングを考えることも大切です。

アート課題に使用できるのは、アクリル絵の具と筆です。ラメやラインストーンも使用できますが、パールやメタリック、他のアートは禁止されています。アート課題に必要な道具は、ベースコート、赤いカラーポリッシュ、トップコート、アート用の筆、水入れ、アクリル絵の具、パレット、必要があればラメやラインストーンです。

ネイルアート課題の注意点

ネイリスト技能検定試験3級のネイルアート課題で失格行為や減点対象となる行為も事前に確認しておきましょう。アート課題は右手中指に施すことが決められており、これ以外は失格となります。また、図案などの参考資料は規定以外の道具に該当するため、持ち込みは禁止されています。

【持ち込み・使用できない用具・用材】

  • アート用シール
  • ドットペンやマーブルツール
  • オイルなど
  • グリセリン
  • キッチン用具など

ネイルアート課題をきれいに仕上げるコツ

アートを描く前に爪とデザインの大きさや配置のバランスを考慮するようにしましょう。
爪に対してアートの割合が少ないと地味な印象になり、華やかさに欠けてしまいます。逆にアートの割合が多いとバランスが悪くなり、上品に仕上がりません。

目安としてはモデルの爪の1/2ぐらいのボリュームを意識すると最適です。
予想よりスペースが空いてしまったときは、ラメやラインストーンでカバーする方法もあります。

ネイリスト技能検定試験3級のアート課題では赤のポリッシュと定められているため、赤に映える色を選定するのがポイントです。白やイエロー、ブルー、明るいピンクなどコントラストを出せる配色を意識しましょう。
色数が少ないとボリュームも見た目の華やかさも感じにくいため、最低3色以上使用するのがおすすめです。

仕上げのトップコートを塗る前にアート部分をしっかり乾燥させることが大切です。
アートが乾ききっていないとアクリル絵の具がよれてしまい、アートが崩れる可能性があるため注意しましょう。乾くまでの時間を有効に使うため、ネイルのはみ出し部分の手入れや仕上がりの最終チェックや、左手からトップコートを仕上げるなど、段取りを考えながら他の作業を進めていくのがポイントです。

ネイルアート課題におすすめの花

描きやすさや存在感、下地となる赤いポリッシュとの相性を考慮すると、花の種類は以下のようなものがおすすめです。

  • 5枚花
    基本となる5枚花は、花びらの形を涙型やひし形にすることで印象が変わります。バランスも取りやすく、花びらの内側からグラデーションを入れると立体感が出て、細密度が上がります。
  • ハイビスカス
    基本となる5枚花と似たデザインで、めしべの柱頭を描くと華やかで立体感が出やすいのもポイントです。
  • ひまわり
    小さい花びらをいくつも描くことで立体感が出ます。下地の赤のポリッシュにイエローがよく映えるため存在感があり、華やかなデザインに仕上がります。細かい作業が得意な方にはおすすめしたいデザインです。

  • 基本となる5枚花のバランスの応用です。薄いピンクが赤いポリッシュに映え、華やかに仕上がります。
  • バラ
    中心となる花びらを描いてから、バランスを見ながら外に向かって花びらを増やすことにより見栄えが良く、完成度が高いととても映えるデザインです。
  • マーガレット
    デザインがシンプルで赤のポリッシュに映えるため、ネイルアート課題に時間がかかる方におすすめです。

ネイリスト技能検定試験試験3級に合格するための勉強方法

ネイリスト技能検定の勉強をする女性

ネイリスト技能検定試験3級の勉強方法には、独学、通信講座、ネイルスクールといった選択肢があります。

一般的に、受験までの準備期間は3カ月程度が目安とされています。合格率が高いからと油断せず、独学の場合は特にしっかりスケジュールを組んで実技の練習や筆記試験の準備に取り組むことが大切です。
筆記試験は公式問題集から出題されるため、必ず目を通しておきましょう。

まとめ

ネイリスト技能検定試験3級はネイリストの登竜門です。ネイル検定は飛び級が認められていないため、将来、ネイリストとしての活躍を目指し、2級や1級の検定合格を目指すのであれば、必ず受験しなければならない検定です。

事前審査を含めた実技試験、筆記試験があり、あらかじめ減点や失格対象となる行為をよく確認し、前日まで気を抜かず、しっかり準備するようにしましょう。ネイルアート課題が気になる方も、テーマをフラワーに絞って練習できるため、合格に向けた対策は立てやすくなっています。

必要な知識と技術を身に付ける意味でも、ネイリスト技能検定試験3級の合格に向けて、積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

プロフィール画像

監修者唐沢 真弓

ネイリスト

学校法人 国際共立学園 国際理容美容専門学校 ビューティアーティスト科教務

国際共立学園は創立69年の伝統ある学園で、職人の技術偏重主義に決して偏ることなく、あらゆる職業を通して、豊かな人間性を併せ持った職業人育成を目指している。『夢をかなえる 人づくり』を教育のテーマに、これまでの教育実績をさらに進化させ、社会に貢献できる人材を育成している。

執筆者mismay