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ネイリスト技能検定1級とは?取得するメリットや高難度といわれる理由、試験内容を解説

ネイリスト業界の中でも信頼度の高い資格として、公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)が実施する「ネイリスト技能検定試験」があります。
ネイリスト技能検定1級は、ネイリスト資格の中でもとくに高難度とされ、取得することで多くのメリットがある資格です。

ネイリストは無資格でもできる仕事ですが、お客様に安心してもらい、ほかのネイリストとの差別化を図る意味でも、資格は取得しておいた方がよいでしょう。

そこでこの記事では、ネイリスト技能検定1級を取得するメリット試験の概要・取得後のキャリアパスについてご紹介します。

ネイリスト技能検定1級とは?試験の概要を解説

ネイルの練習をしている様子

公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)のネイリスト技能検定は、1級~3級まで3段階あります。
それぞれのレベルや求められる知識は以下のようになります。

1級

トップネイリストに必要な技術と知識

2級

ネイルサロンで役立つ技術と知識

3級

ネイリストとしての基本的な技術と知識

トップネイリストに必要な技術や知識を証明できる1級を取得すれば、就職や転職において直接的なアピールポイントにつながります
ネイリスト技能検定1級の詳細を確認しておきましょう。

1級の受験資格

ネイリスト技能検定1級を受験できるのは、ネイリスト技能検定2級の合格者のみです。
なお、2級と3級の受験資格は、それぞれ以下のとおりです。

  • ネイリスト技能検定2級:ネイリスト技能検定3級の合格者であること
  • ネイリスト技能検定3級:義務教育を修了していること

したがって、ネイリスト技能検定を初めて受ける方は必ず3級から受験しなくてはなりません
なお、筆記・実技のうち筆記試験のみ合格した場合は、次回同じ級を受験する際に、筆記試験が免除になります。

1級の受験料

ネイリスト技能検定1級の受験料は1万2,500円(税込)です。

支払い方法はクレジットカード決済もしくはコンビニ決済となります。コンビニ決済の場合は、申し込み後3日以内に支払う必要があるため、注意しましょう。

筆記試験免除の場合も、料金は同額となります。

1級の試験時期・試験日

ネイリスト技能検定1級試験は、年2回春と秋に開催されます。

2024年秋期

2025年春期

申込期間

8月1日~30日

2月1日~28日

試験日

10月19日

4月12日

合格発表

11月下旬

5月下旬

※引用:公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター

なお、2級と3級は季節ごとに年4回開催されます。
それぞれの試験は、日をずらして実施されますが、2つの級を同じ期に受験することはできません。

3級から順に1級を目指しますが、スムーズにいけば、1年足らずですべて合格できることになります。

1級の合格率

ネイリスト技能検定1級に合格するのは、ほかの級以上に難易度が高いといわれます。

2023年秋までに、ネイリスト技能検定1級を受験したのは15万7,428人。そのうち合格者数は6万1,751人で、合格率は39.22%です。

2級の合格率がおよそ43%、3級がおよそ85%であることから、確かに1級の合格率は低いことが分かります。

ネイリスト技能検定1級を取得するメリット

ネイルの施術を行う予定

ネイリスト技能検定1級を取得することで、さまざまなメリットがあります。
難易度の高い試験に合格できたことにより自信をもって施術できるようになるうえに、次のようなメリットも期待できるでしょう。

就職や転職でさらに有利になる

ネイリスト技能検定1級を取得しているということは、ネイリストとしてハイレベルな技術と知識があることの証明です。
もちろん2級でも採用率は上がる可能性がありますが、1級はそれ以上に就職や転職の際に有利に働く可能性があります

ネイリストの求人では、資格不問としているサロンがある一方で、実務経験を求めるサロンや実務経験と資格両方を求めるサロン、実務経験はなくても資格のある人を求めるサロンなどもあります。ネイリスト技能検定1級を取得しておくことで、実務未経験でも多くの求人に応募でき、選択肢も増えるでしょう

収入アップにつながる

1級を取得していることで、収入アップにつながることもあります。ネイリスト技能検定は知名度・信頼度ともにあるため、資格手当がつくサロンも多いでしょう。

また、ネイリストは歩合給がつくことが多い職種です。難易度の高い1級を取得しておけば、お客様から指名をもらいやすくなり、より高い割合で歩合給が加算される可能性もあります。

またお客様からの信頼も得やすくなり、多くの方に指名していただけることで、結果的に歩合給の収入が増えていく好循環となることもあります。

独立開業時に有利になる

独立後は、ネイリスト技能検定1級をもっていることをアピールすれば、集客もしやすくなるでしょう。
開業する際も「ネイリスト技能検定1級のプロネイリスト」として大々的に宣伝すれば、信頼度も増します。

もちろん、雇用という後ろ盾がなくなることへの不安や収入減になる恐れもありますが、独立開業して人気のサロンになれば、収入がぐっと増える可能性もあります。

お客様からの信頼度がアップする

お客様の心理としては、より高度な資格をもっているネイリストの方が、知識があり安定した技術力も兼ね備えているだろうと安心して任せることができます

サロンで働くとしても独立するとしても、収入を増やすためにはお客様に信頼されることが非常に重要なポイントとなるため、1級の資格取得は大きなアピールとなります。

ネイリスト技能検定1級の試験内容

試験勉強している女性

ここで、ネイリスト技能検定1級の試験内容も確認しておきましょう。ネイリスト技能検定1級は、2級・3級同様、実技試験と筆記試験が行われます。

ネイリスト技能検定1級の事前審査

ネイリスト技能検定では実技試験の前に事前審査が行われます。
事前審査で確認されるのは、以下の3点です。

  1. テーブルセッティングと消毒管理
  2. モデルの爪もしくはJNEC認定モデルハンドの状態
  3. プレスオンチップの状態

この中でもとくに、2は、注意が必要です。
万が一モデルの爪や爪の周辺の皮膚に疾患があった場合は、モデルとなれないこと、JNEC認定モデルハンドを使う場合は、事前にネイルチップを10本装着していくことなど、試験前日までに準備しておかなければならないことがあります。

規定を満たしていなければ試験を受けられないため、必ず繰り返し試験要項に目を通し、問題ないか確認しましょう。

ネイリスト技能検定1級の実技試験

実技試験は150分間です。50点満点中38点以上を取らなければなりません

試験では、手指の消毒から入り、7本にイクステンション1本にミックスメディアアートを施します。

どの指に何をするのかは、実施回によって異なります。事前に知らされるため、そのとおりに行いましょう。

イクステンションは、使用する材料はアクリルのみと限定されることや、フリーエッジの長さを5~10mmまでとすることなど、10項目の注意事項が規定されています。
ミックスメディアアートのアートテーマもあらかじめ指定されているため、それに合わせた対策をしていく必要があるでしょう。

ネイリスト技能検定1級の筆記試験

筆記試験問題は40分で、マークシート方式で行われます。100点満点中80点以上で合格です。

試験は、公益財団法人日本ネイリスト検定試験センターが発行している公式問題集から出題されます。
公式問題集にはそれぞれの級ごとに5パターンの問題が掲載されており、その中から出題されるため、何度も繰り返し勉強しておきましょう。

公式問題集は、ホームページから購入できます。合格のためにも、持っていない人は必ず購入しましょう。

ネイリスト技能検定1級の合格率が低く高難度である理由とは?

ネイリスト技能検定1級の取得にはメリットが多いと分かったものの、合格率の低さに驚いた方もいるでしょう。
1級の合格率が低いことには、いくつかの理由があります。

試験時間内に施術を完了させることが難しい

現在の1級の実技試験は、150分です。この時間内に、ご紹介した実技試験内容のすべてを終わらせなければなりません。

しかし、ただでさえ複雑な工程を、張り詰めた空気のなかミスなく進めるのは至難の業です。時間内に終わらせようとあせって施術してしまうと、チェックポイントで低い点を付けられてしまう可能性もあります

試験当日までに、時間配分を考え効率よく施術できるようにしておくことが重要です。

合格基準を満たす仕上がりのレベルが高い

実技試験で時間内にすべての工程を終わらせられれば合格ではありません。
表面に凹凸や気泡がないこと、カーブや厚みに統一感があることなど、仕上がりの美しさも判断基準となります。

素早く、いかにきれいに施術できるかが重要なため、時間を計りながらコツコツ練習しておきましょう。

独学だと合格基準を満たしているかの判断が難しい

ネイリスト技能検定を独学で受験しようとすると、実技が合格できるレベルにあるかを、自身で判断することが困難です。

ネイリスト技能検定は、美容師のように「指定の学校を卒業しなければならない」といった決まりがありません。JNA認定のネイルスクールのような検定合格のためのカリキュラムが組まれた学校に通っていれば、プロ講師にノウハウを教えてもらうこともできます。

独学はそれができないため検定対策が難しく、問題ないと思ってやっていたことが実は減点対象である可能性もあります。
自由に受験できることは魅力の1つですが、勉強の仕方にはコツが必要です。

 ネイリスト技能検定1級の受験で必要なものは?

ネイリスト技能検定1級の試験に必要なものは、以下の4点です。

  • 受験票
  • 実技試験で使用する用具一式
  • 筆記用具(HBかBの鉛筆もしくはシャープペンシル・消しゴム)
  • 室内履き(受験票に書かれている場合)

時計代わりに携帯電話・スマートフォンを利用することは禁じられているため、腕時計を持参しましょう

なお、実技試験の際に身に付けられるアクセサリーは、時計のみです。普段からアクセサリーを身に付けている方は注意してください。

ネイリスト技能検定1級取得後の主なキャリアパスは?

ネイルサロンの様子

ネイリスト技能検定1級取得後は、キャリアアップも夢ではありません。
サロン勤務・それ以外の場合で、どのようなキャリアパスがあるのかチェックしておきましょう。

トップネイリストとして活躍する

ネイリスト技能検定1級は、ネイリストとしてトップレベルの技術と知識があることの証明です。サロンに所属して高い技術でお客様に施術し、指名が増えれば名実ともにトップネイリストの仲間入りができるでしょう。

人気が出れば、口コミなどでもお客様が来店してくださるようになります。収入もその分アップする可能性があります。

サロンで新人指導を担当したり、ネイルスクールで講師を務めたりする

キャリアを積んで、サロンで新人指導を担当すれば収入アップにつながることもあるでしょう。

未経験でも入社できる大手のサロンでは、教育体制が整っており指導担当者がいます。
そのようなサロンに勤務していれば、実力が認められれば、指導係に抜擢される可能性もあるでしょう。

また、ネイリスト技能検定1級の知識を活かして、ネイルスクールで講師を務めることもできるかもしれません。
ネイルスクールの講師を目指すのであれば、JNA認定講師資格の取得も検討するとよいでしょう。

JNA認定講師は、ネイリスト技能検定1級のほかにも、実務経験や20歳以上であること、ほかさまざまな資格を有していることなど受験資格には細かい条件が設けられています。
しかし、認定講師として認められれば、コンテストの審査員や検定の試験官など、仕事の幅が広がります

独立してサロンを開業する

ある程度、サロンで働きノウハウを学んだあとは、独立を検討する人も多くいます

独立したネイリストへ行ったあるアンケートによると、およそ2割の方が「年収が100万円以上アップした」と回答し、下がったと回答した方はいませんでした。
独立後は、サロンで正社員として働くよりも高い収入となる可能性も十分あるのです。

1級の資格を保有することで、新規のお客様にも信頼してもらえ、多くの顧客獲得も夢ではありません。

ネイリスト技能検定1級に合格するためのポイント

ネイリスト技能検定1級に合格するためには、筆記・実技両方の対策が必要です。

まず筆記試験は、公式問題集から出題されることがはっきりしているため、何度も繰り返し勉強することが合格への最短ルートです。
実技も、同様に繰り返し練習しましょう。

もしも近くに1級に合格した人やプロネイリストがいれば、実際に実技を見てもらうこともおすすめです。自分では気づきにくい弱点を指摘してもらえるかもしれません。

また、もったいないミスをなくすこともポイントです。
例えば、施術する指を間違えるといったミスは避けたいもの。どんなにきれいに施術しても、ちょっとしたミスで不合格となってはもったいないため、しっかり確認しておきましょう。

すでにサロンで働いている方や近日中に就職したいと考えている方は、サロンで働いて実務経験を積み、実力アップしてから受験する方法もあります

まとめ

ネイリスト技能検定は国内のネイリスト検定の中でも抜群の知名度を誇るネイリスト資格です。
その中で1級に合格することは、トップネイリストの証といえます

ネイリスト技能検定1級は、就職や転職に有利になるほか、キャリアアップにも役立つ資格です。

特別な資格がなくてもできるネイリストの仕事ですが、だからこそ難易度の高い資格を取得することで、ほかのネイリストとの差別化を図ることができます。
ネイリスト技能検定1級の取得に悩んでいる人は、メリットも多いため、ぜひチャレンジしてみましょう。

プロフィール画像

監修者齊藤 彩子

美容師

学校法人 国際共立学園 国際理容美容専門学校 美容科学科長

国際共立学園は創立69年の伝統ある学園で、職人の技術偏重主義に決して偏ることなく、あらゆる職業を通して、豊かな人間性を併せ持った職業人育成を目指している。『夢をかなえる 人づくり』を教育のテーマに、これまでの教育実績をさらに進化させ、社会に貢献できる人材を育成している。

執筆者山本 鮎美