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セラピストはやめとけと言われてしまう理由とは?セラピストに多い退職理由や転職活動について解説
「セラピストはやめたほうがいい」といった声を聞いて、不安や疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
そのように言われている理由には、労働環境や待遇面、人間関係などが関係しているようです。
しかし、セラピストは、お客様の心身の疲れを癒してリフレッシュのお手伝いをする素敵な職業です。
人の悩みを親身に聞いたり、人に喜んでもらったりするのが好きな方は、セラピストとしての仕事にやりがいを持って働けるでしょう。
今回は、セラピストはやめとけと言われる理由やセラピストになるメリット・デメリット、セラピストに向いている方の特徴を解説します。
転職活動のコツもご紹介しますので、これからセラピストになりたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
「セラピストはやめとけ」と言われてしまう3つの理由とは?
セラピストはやめとけと言われている理由には、主に以下の3つがあげられます。
- 体力・肉体的に負担が大きい
- 他職種に比べて給与が低い場合がある
- 3心身の疲れを感じているお客様への接客が大変
それぞれ、確認していきましょう。
1.体力・肉体的に負担が大きい
サロンの営業時間にもよりますが、セラピストの仕事は1日の労働時間が長い傾向にあるため、体力が求められます。
施術内容によっては、1日中立ち仕事になってしまうことも珍しくありません。手技を使う施術をメインとしているセラピストの方は、指や手首などを痛めやすいといわれています。
また、施術時間の延長や予約状況によっては、決まった時間に終わらず、休憩が後ろ倒しになるケースもあるようです。
休憩時間を多く設けているサロンもあるようですが、結果的にトータルの拘束時間が長くなってしまいます。
お客様に優れたパフォーマンスで施術するためにも、日頃から自身の体調管理やセルフケアが重要です。
2.他職種に比べて給与が低い場合がある
セラピスト全般の平均年収は、他の職種と比べると給与が低い傾向にあるようです。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、セラピストの平均年収は以下の通りとなっています。
職種 | 平均年収 | |
---|---|---|
美容系セラピスト | リフレクソロジスト | 381万9000円 |
アロマセラピスト | ||
エステティシャン | 322万8000円 | |
医療系セラピスト | 柔道整復師 | 443万3000円 |
あん摩マッサージ指圧師 | ||
はり師・きゅう師 | ||
心理系セラピスト | カウンセラー | 443万3000円 |
※参照:厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「リフレクソロジスト」「アロマセラピスト」「エステティシャン」「柔道整復師」「あん摩マッサージ指圧師」「はり師・きゅう師」「カウンセラー」
セラピストといっても、美容系・医療系・心理系などのさまざまな職種に分けられ、職種によって差はありますが、年収は300万円〜450万円程度となっているようです。
そのなかでも、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師などの国家資格を必要とする職種は、他のセラピストと比べて年収が高い傾向にあります。
また、資格の有無に関係なく、施術スキルが高いセラピストは、高い報酬を得られる傾向があります。技術力が認められてリピーターが増えれば、指名料を得られる場合もあるためです。
さらに、役職に就いたり業務委託などの働き方を選択したり、単純に賃金相場の高いエリアで働いたりすることで、収入を増やせるケースもあるでしょう。
上記のように、セラピストはご自身の働き方や勤務場所などの条件などによって、収入アップを狙うことができます。
3.心身の疲れを感じているお客様への接客が大変
セラピストによる施術を求めにくるお客様は、心の癒しを求めていたり、リフレッシュを目的にしていたりする方が多いです。
お客様によっては、ネガティブな話をする方や愚痴をこぼす方もいるでしょう。セラピストには、そのようなお客様も含め、一人ひとりに合わせた接客や悩みに応じた施術が求められますが、お客様の感情に巻き込まれてしまう可能性もあります。
また、時には施術において難しい要望をするお客様や、クレームを言うお客様の対応なども行わなければいけません。クレームの場合は、お客様とのコミュニケーションや意思疎通がうまく図れていなかったり、単純に技術的な面で足りていなかったりする可能性もあります。
経験を積んで接客や施術のスキルが向上すれば改善できる可能性は高いでしょう。
しかし、すべてそのようなお客様だけというわけではありません。
セラピストの仕事は、施術を通してお客様から感謝の言葉をもらえ、やりがいを感じられる瞬間がたくさんあります。
セラピストの主な退職・転職理由とは?
現職のセラピストの方は、主に以下の3つの理由から退職や転職を考えている場合が多いようです。
- 給料が低く、待遇に満足できないという悩み
- 体力・肉体的負担が大きい
- 人間関係の悩み
セラピストの方が、どのような悩みを抱えているのか確認していきましょう。
1.給料が低く、待遇に満足できないという悩み
給与面などの待遇に不満を感じているセラピストの方が多くいるようです。
セラピストの給与は、民間の給与所得者全体の平均と比較すると低い傾向にありました。
シフト制だったとしても状況によっては不規則な休憩時間になったり、施術以外にも開店や閉店作業、掃除をしたりなど、1日の拘束時間が他の職種よりも長くなりやすいと考えられます。
たとえ、仕事自体は楽しくやりがいを感じられても、仕事の内容に対しての対価があまり見合っていないと感じて、退職や転職を考える方が多いようです。
また、働いているサロンや雇用形態にもよりますが、給与以外のボーナスやインセンティブなどがもらえないケースがあることも理由の1つでしょう。
ただし、給与水準が高く手当が手厚いサロンもなかにはあるため、セラピストを目指している方や転職を考えている方は待遇の良い勤務先を探すことが重要になってきます。
2.体力・肉体的負担が大きい
セラピストの仕事は、体力が求められ肉体的にも疲労が蓄積しやすい職業です。
例えば、体をほぐす施術では主に手技を駆使して、指や手のひらに力を入れ続けるため、腱鞘炎(けんしょうえん)になりやすいといわれています。
さらに、普段しないような無理な体勢で施術を行わなければいけない場合もあり、疲れが蓄積すると肩こりや腰痛などに悩まされるケースも少なくありません。
また、サロンによってはコースメニューを設けており、施術時間も30分コース、90分コースなどさまざまですが、なかには100分以上のコースもあります。
長い時間集中して施術を行う場合は、そのぶん体力や精神的な負担もかかってくるでしょう。
セラピストの方自身も、腱鞘炎や腰痛などの職業病にならないためのセルフケアや、定期的な身体のメンテナンスを行う必要があります。
3.人間関係の悩み
職場の人間関係で悩みを感じて、退職や転職を考える方も多いようです。
働いている職場の同僚との人間関係がうまくいかないと、お客様への日々の施術による肉体的な疲労にくわえて、精神的ストレスものしかかってくるでしょう。
特に、少人数で小さい規模感のサロンでは、オーナーの性格や考え方が、そのままサロンの雰囲気に反映されてしまうケースも考えられます。
それが働きやすい雰囲気であれば問題ありませんが、オーナーの考え方に納得できなかったり同僚との関係性がうまく保てなかったりする場合は、同じ職場で働き続けるのは難しい場合があります。
そのような悩みを抱えないためにも、事前に客として施術を受けたり、面接などの際に、オーナーや働いている方、お店の雰囲気などをなるべく確認しておいたりするとよいでしょう。
セラピストになるメリット・デメリット
セラピストになるメリット・デメリットをそれぞれ理解しておくことで、現在イメージしている仕事内容とのギャップを埋められたり、これからセラピストを目指すかどうかを決める判断材料になったりもします。
メリットとデメリットについて、それぞれ確認していきましょう。
セラピストになるメリット
セラピストの仕事を通して、お客様の心に癒しを提供したり、体のリフレッシュに貢献したりすると、感謝や喜びの言葉をもらえることがあります。
お客様から直接感謝の声をもらえると、自分の施術スキルの向上も実感でき、やりがいや働くモチベーションにつながるでしょう。
また、セラピストの仕事は接客業でもあるため、施術前にお客様へ体の悩みに関してヒアリングしたり、施術中も会話したりする機会が多いです。最初は会話するのが苦手な方でも、経験を積めばおのずとコミュニケーション力も高められます。
そのうえ、セラピストは美容系・医療系・心理系などのさまざまな職種があり、民間資格も豊富であるため、関連した資格をいくつか取得することで、さらに仕事の幅を広げられる可能性もあります。
資格を取得すれば、転職先が見つけやすい仕事である点もメリットといえるでしょう。
セラピストになるデメリット
セラピストになるデメリットとしては、労働量に対しての給与水準の低さ・体力や肉体的な負担・人間関係の悩みなどがあげられます。
しかし、給与に関しては働く職場の給与体系によって異なるため、求人を探す際になるべく給与水準の高く、福利厚生の手厚いサロンを中心に選ぶとよいでしょう。
体力や肉体的な負担に関しても、お客様の体のケアだけではなく、自分の体のケアも定期的に行うことで軽減することができます。
人間関係に関しては、セラピストだからというわけではなく、他の職種の方でも常に付きまとう問題です。
面接のときなどに確認できればいいのですが、実際働いてみないと分からないことも多いため、もし働いて人間関係に悩むようであれば、他のサロンへの転職を考えるのも1つの方法です。
セラピストに向いている人の特徴は?
セラピストの仕事は、ネガティブなことばかりではありません。やりがいを持って活躍しているセラピストの方はたくさん存在します。
ここからは、セラピストに向いている方の特徴をご紹介します。
親身に寄り添いながら話を聞ける人
相手の立場になって親身に話を聞ける方は、セラピストに向いているといえます。
セラピストの仕事はお客様にリフレッシュしてもらう仕事で、技術面に目が行きがちですが、お客様の心まで癒すことを考えると会話も重要です。
お客様によっては、施術をしてもらいながら、日頃の不満や愚痴などをセラピストの方に聞いてもらいたいと思う方もいるようです。
そのような場合に、相手の話に共感したり相づちを打ちながら親身に聞くことができれば、お客様の体だけではなく、心の癒しにもつなげられるでしょう。
お客様との信頼関係も作りやすくなり、顧客になってもらえる可能性も高くなります。
体力に自信がある人
セラピストの仕事は、想像している以上にハードワークになる日もあります。
短いコースでも30分程度あり、施術内容によっては100分を超える可能性もあります。仮に、2時間程度の施術を休憩なしで行うとなると、それなりの体力と集中力が求められるでしょう。
また、1日にお客様1人だけということは考えにくく、忙しいときは勤務時間いっぱい施術を行うケースも想定されます。
休憩時間なども不規則になりやすいため、セラピストは体力に自信のある方が向いている仕事といえます。
資格取得などスキルアップに貪欲な人
今のスキルに満足せずに、さらなるスキルの向上を目指している方もセラピストに向いています。
セラピストにはさまざまな職種があり民間資格も多いため、相乗効果が望める資格をいくつか取得すれば、仕事の幅がさらに広がるでしょう。
また、できる施術が多くなれば、お客様のさまざまな悩みに対して適切に対応できるようになり、よりお客様に満足してもらえます。
他のセラピストとの差別化も図れるため、リピートにもつなげられるでしょう。
セラピストの資格については以下記事で詳しく解説していますので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
▷セラピストとは?職種ごとに国家資格・民間資格や仕事内容、目指す方法を解説【専門家監修】
メンタルが安定していて、人に感情移入しすぎない人
セラピストとして仕事をするうえで、自身のメンタルの安定を保ってお客様の感情に巻き込まれないで施術するスキルが、ある程度必要となるケースがあります。
セラピストの施術を受けにくる方々は、心身の癒しを求めにくるため、セラピストの方のメンタルが不安定では、適切な施術ができない可能性があるためです。ただし、感情移入しやすい方でも、気分転換や自身でメンタルケアができるのであれば、問題ないでしょう。
お客様に寄り添うのは大切ですが、寄り添いすぎて自身のメンタルを傷つけないように注意が必要です。
人を喜ばせることが好きな人
人を喜ばせることが好きな方も、セラピストに向いています。
相手が望んでいることや喜ぶであろうことを率先して行える人は、お客様の悩みに合わせて臨機応変に施術ができたり、親身になって対応できると考えられます。
お客様は心や体にさまざまな悩みを抱えており、それを解決するためにセラピストからの施術を望んでいるため、人を思いやれる方は、そのぶんお客様の満足感につなげられるでしょう。
まとめ
給与が低い・体力が必要・接客が大変などの理由で、「セラピストはやめとけ」と言われることがあります。
しかし、セラピストの仕事は、相手の立場になって親身に話を聞ける方や、人を喜ばせることが好きな方にとっては、やりがいや成長を感じられる職業です。
また、セラピストにはさまざまな資格があり、複数の資格を取得することでスキルアップしたり仕事の幅を広げられたりするので、年収アップにもつなげられるでしょう。
もし、セラピストに興味があってこれから目指したいと考えている方は、事前に希望の給与や待遇などの条件を明確にしたうえで求人を探してみてください。
気になっているサロンがあれば、実際に客として足を運んでサロンの雰囲気や施術内容を確かめておくと、自分が働いているイメージが湧きやすく、長く続けられる勤務先に出会えるでしょう。
監修者:樋口 直彦
整形外科医
医療法人藍整会 なか整形外科(理事長)
帝京大学医学部卒業後、いくつかの病院で勤務し、院長を経験後、2021年1月に医療法人藍整会 なか整形外科の理事長に就任。
バレーボールVリーグのサントリーサンバーズのチームドクターも務める。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。
クリニック運営にICTを推進し、お待たせすることない診療が信条。
監修者:秋田 繁樹
特定社会保険労務士
社会保険労務士法人 秋田国際人事総研
2004年に秋田社会保険労務士事務所として開業。スタートアップをはじめ中小企業の就業規則の作成や労働トラブルの予防や解決のためアドバイスを行っています。