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整体師の平均年収はどれくらい?給料を増やす方法や独立開業した場合の収入も解説【専門家監修】
整体師は人の体を癒やすやりがいのある仕事ですが、自分がその職に就くことを考えると、年収はどれくらいなのか気になる方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、整体師の平均年収や収入の上げ方などについて解説します。雇用形態別の年収や、整体師と類似した仕事の年収についても紹介するので、ぜひ自分のキャリアプランを考える際の参考にしてください。
整体師の平均年収はいくら?
整体師として得られる年収は、その雇用形態に応じて大きく異なります。
そこで以下では、整体師の平均年収について、正社員とアルバイト・パート、そして独立開業して働く場合に分けて紹介します。
正社員として働く整体師の年収は約390万円
求人ボックスのデータによると、正社員として働く整体師の平均年収は約390万円(※)です。これは月給に換算すると約33万円です。
一番のボリュームゾーンは341~388万円ですが、全体で見ると給与分布は294~671万円と幅広く、勤務地や給与体系、スキルなどによって大きく変わるのが実情です。
※引用:求人ボックス「整体師の仕事の平均年収は390万円/平均時給は1,109円!給料ナビで詳しく紹介」(2024年3月25日時点)
たとえば、ホットペッパービューティーワークに掲載されている求人を地域別で見ると、関東エリアの平均月収は24.8万円ですが、北海道・東北エリアの平均月収は23.7万円とやや開きがある状況です。
また、整体師になるのに資格は必須ではありませんが、特定の資格を取得した人に資格手当を支給する企業もあります。
※2024年5月4日時点。データは掲載データをもとに更新されるため、最新データは引用元をご確認ください。
さらに考慮すべきなのが、給与体系です。
整体院の中には歩合制を採用しているところもあり、この場合は月々の集客具合によって大きく給与が変動します。
人気の整体師になれば、歩合給が追加されることで、基本給のみの整体院で働くよりも大きく稼ぐことが可能です。しかし、逆の場合もまたありえるので、就職先を探す際は慎重に検討することが重要です。
パートやアルバイトで働く整体師の時給は約1,109円
求人ボックスのデータによると、パート・アルバイトとして働く整体師の平均時給は1,109円です(※)。給与分布のボリュームゾーンもこの付近に集中しています。
※引用:求人ボックス「整体師の仕事の平均年収は390万円/平均時給は1,109円!給料ナビで詳しく紹介」(2024年3月25日時点)
ただし、パート・アルバイトの給与に関しても、地域差が大きく影響します。たとえば同じくホットペッパービューティーワークに掲載されている求人データを確認してみると、東京都の平均時給は1,287円ですが、北海道エリアの平均時給は960円と差がついています。
※2024年5月4日時点。データは掲載データをもとに更新されるため、最新データは引用元をご確認ください。
また、パート・アルバイトの場合も、有資格者ならば給与面で多少優遇される可能性があります。
独立開業して働く整体師の年収
独立開業した場合の整体師の年収は、当然ながら経営がうまくいくかどうかに大きく左右されます。
独立した場合、施術単価を自分で設定できるうえ、売上の大半を自分の収入として確保可能です。
そのため、経営がうまくいけば、年収1,000万円を超えることも夢ではありません。その意味では、整体師として経済的に大きく成功したい方にとって、独立開業は大いに検討に値する道です。
整体師は儲かる職業なの?
整体師の年収は、働く形態によって大きく変わるので、儲かるかどうかは一概にはいえません。
以下では、整体師の給料の実情について解説します。
職場によっては給料が上がりにくい
整体師として働くことを考える場合、真っ先に思い浮かべるのは、どこかの整体院・整骨院に雇ってもらうことではないでしょうか。
しかし、先述の通り、整体師の平均年収は正社員の場合でも約390万円なので、給料が高いとは言い難いのが実情です。
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の平均年収は458万円(※)なので、日本全体で見た場合、雇われて働く整体師の一般的な年収は平均以下ということになります。
特に基本給メインの職場で働く整体師の場合は、収入が安定する代わりに、より高い給料を得るのは難しい傾向です。逆に歩合給が得られる場合は、収入が不安定になる代わり、多くのお客さまから指名を受けることで、より多額の給料を得られる可能性があります。
※引用:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
独立開業によってより儲かる可能性がある
独立開業をすれば大きく儲けられる可能性もあります。実際、独立開業の成功によって、雇われて働く場合に比べて2倍以上の年収を得ている人がいることも事実です。
ただし、独立開業にはリスクがあることも無視できません。
独立した場合、雇われて働く人と違って最低限の基本給もないため、経営がうまくいかないと、年収が200万円以下になったり、廃業に追い込まれてしまったりするケースもあります。
そのリスクを承知で独立開業に踏み切るか、雇われた先で店長などのマネジメント職や、歩合を稼げる人気整体師を目指して地道に給料アップを狙っていくかは悩ましい選択です。
国家資格が必要な職種との年収の比較
整体師と同じような勤務場所で働く職種として、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師などがあります。これらはいずれも国家資格が必要な職種ですが、整体師と比べて年収はどうなのでしょうか。
まず、国家資格が必要な柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師それぞれの概要を紹介します。それぞれ専門としている施術が異なります。
職種名 | 仕事内容・資格取得方法 |
---|---|
柔道整復師 | 骨折や脱臼などの故障を手技やテーピングなどの自然治癒力を活かした方法で治療を行う職種。 |
あん摩マッサージ指圧師 | あん摩マッサージ指圧師は、肩こりや腰痛などの症状を指圧などによるマッサージで改善する職種。あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得するには、学校や養成施設で3年以上学習し、国家試験に合格する必要がある。 |
鍼灸師 | 鍼灸師とは、鍼(はり)やお灸を用いて全身のツボを刺激し、施術を行う職種。鍼灸師と一括りに呼ばれていますが、国家資格としては「はり師」と「きゅう師」それぞれの免許が必要で、別個に試験を受けることもできます。 |
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」では、これら3つの職種は同じカテゴリで、平均年収は443.3万円です。
上述の整体師の正社員の平均年収は約390万円だったため、整体師よりもやや高い結果になっています。国家資格が必要な職種はより専門的な知識や技術が求められたり、職種手当が発生したりするため、整体師よりも平均年収が高くなっていると推測できます。
整体師がより年収を上げる5つの方法
一般的に整体師の平均年収は高いとはいえませんが、年収アップを目指すことは可能です。その主だった方法としては、以下のような手段が挙げられます。
- 独立する
- 資格を取得する
- 経験を積んで指名を獲得する
- 副業を行う
- 待遇の良い職場に転職する
1.独立する
年収を大きく上げたいならば、独立開業することを一考しましょう。
整体師は特定の資格がなくても開業できるため、開業自体のハードルは比較的低めです。雇われている状態だと、年収には多かれ少なかれ上限がありますが、独立すれば、稼いだ分だけ自分の収入を増やせます。
そのため、経営が軌道に乗れば雇われ時代を大きく超える年収を得ることも可能です。
2.資格を取得する
整体師に関連する資格の取得も有効な方法です。
職場によっては、資格手当を得ることができます。整体師に国家資格はありませんが、民間資格ならば多数存在します。資格取得後のフォローアップもあるため、雇われて働く場合でも独立する場合でもおすすめの資格です。
先に紹介した柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師などの国家資格や、エステなど親和性の高い分野の資格を得るのも効果的です。
どの資格なら手当が出るかは職場によって異なるので、確認してから勉強するようにしましょう。
資格勉強を通して、人体の仕組みや整体の方法に関して正しい知識を得ることは、自分のスキルアップにもつながるので、間接的に指名を取りやすくなる利点にも期待できます。
また、資格を所持していることで、自分の技術を信頼してもらいやすくなります。
3.経験を積んで指名を獲得する
指名によってインセンティブが入る職場に勤めている場合、経験やスキルを積んで指名を獲得することも効果的です。
指名料は自分の給料へ直接反映されるので、ひいきにしてくれるお客さまを多数抱えられれば、それだけ給料をアップできます。指名を受けるには、整体の技術だけでなく、接客スキルも磨き、お客さまと良好な関係を築けるように努力することが重要です。
4.副業を行う
整体師としての知識やスキルを活かした副業によって、本業以外の追加収入を得るのも有効な方法です。
たとえば、整体師に関連する資格を活用して講師やコンサルティングをしたり、健康関連メディアで記事の執筆や監修をしたりすることが挙げられます。
ただし、副業を始める際には、本業に支障が出ないように注意が必要です。そもそも勤務先が副業を許可しているか確認するのはもちろん、オーバーワークによって仕事や健康に悪影響が出ないようにも気をつけましょう。
5.待遇の良い職場に転職する
現在の職場で昇給が見込めない場合は、より好待遇の職場に転職する道も検討の価値があります。
たとえば、整体師を始めたばかりの頃は基本給メインの職場で働き、そこで自信を得たら歩合給の高い職場に移行するといった方法も有効です。
また、転職を成功させるためには、転職サイトを活用して効率良く情報収集を行うことが大切です。転職によって給料や福利厚生などの待遇が逆に悪化しないように、雇用条件については十分に確認しておきましょう。
独立開業によって整体師が年収を増やす4つの方法
整体師として青天井に収入を上げていくためには、やはり独立開業が最も有効な手段です。
しかし、独立開業を成功させて収入を増やすためには、整体のスキルを磨く以外に、経営者として的確な経営戦略の実施が欠かせません。
そこで以下では、独立開業した整体師が年収を増やすために効果的な方法を紹介します。
- 徹底したマーケティングを行う
- サービスを充実させ他店との差別化を考える
- 物販を取り入れる
- 複数の店舗を展開する
1.徹底したマーケティングを行う
基本的にどの職種にも共通することですが、独立開業で成功するためには徹底したマーケティングを行うことが重要です。
どこに店舗を置けば繁盛しやすいか、集客のメインターゲットはどうするのか、そのターゲットに適した宣伝手段やサービスは何かなど、マーケティングの知識はさまざまな領域に関係してきます。
こうしたマーケティングは自ら学んで行うこともできますが、専門家にコンサルティングしてもらうこともひとつの手段です。
2.サービスを充実させ他店との差別化を考える
日本には整体院・整骨院がすでに多数存在するので、サービスを充実させて他の競合店と差別化することも重要です。
そのためには、サービスの質を高めるだけでなく、他の整体師とは異なる独自のサービスを提供することが求められます。
たとえば、「腰痛専門」や「産後の骨盤矯正ができます」など、特定の顧客層や症状に特化した謳い文句で宣伝するのも有効ですし、セミナーの開講なども検討の価値があります。
また、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師などの国家資格を取得すると、対応した施術ができ、一定の要件を満たす場合のみ保険診療が可能になります。
※参考:全国健康保険協会「はり・きゅう、あん摩・マッサージのかかり方」
3.物販を取り入れる
物販を取り入れるのも有効な手段です。物販を効果的に行うことで、施術とは別に売上の柱を得られます。
整体院・整骨院で扱うのに適した物販品は、サポーターやクリーム、コルセット、サプリメントなどです。
これらの品は施術効果の促進や健康増進に役立つので、品質の良い商品を提供することは、お客さまのメリットにもなります。
4.複数の店舗を展開する
独立開業で一定の成功を収めたら、複数店舗を展開して事業規模を広げていくことも検討しましょう。
複数店舗を持つことは、単に売上増進のために効果的なだけでなく、リスク分散にもなります。というのも、複数の店舗があれば、ひとつの店舗の売上が振るわないときも他の店舗でカバーできる場合があるからです。
ただし、複数店舗の運営を成功させるには、マーケティングや組織運営などに関するより高度なビジネススキルが求められます。
まとめ
正社員として働く整体師の平均年収は約390万円です。これは日本の平均年収より低い数字ですが、指名を多く獲得してインセンティブを得たり、独立開業に成功したりすることで、より高い収入を目指せます。
ただし、指名客を獲得するためには接客のスキルが求められますし、独立開業に成功するにはマーケティングなどのビジネススキルが必要です。
そのため、高年収の整体師を目指すなら、整体のスキルを磨くのはもちろん、その他の知識やスキルも貪欲に吸収していくことを心がけましょう。