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エステティシャンはネイルできる?ネイル・ハンドケアの方法や身だしなみのポイント【エステティシャン監修】
エステティシャンのネイルを禁止しているサロンが多いのは、なぜなのでしょうか。
この記事ではエステティシャンへの転職を目指している方へ向けて、エステティシャンがネイルNGな理由について解説します。
さらにエステティシャンのネイル・ハンドケア方法や、エステティシャンの身だしなみのポイントについて詳しく紹介します。
エステティシャンがネイルNGな2つの理由
エステティシャンは職業上、お客さまの肌に直接手で触れるため、爪や手のお手入れが欠かせず、中には出勤時に爪や手のチェックをするサロンもあるくらいです。
しかし、多くのところではエステティシャンのネイルを原則禁止としています。では、なぜエステティシャンのネイルはNGなのでしょうか。
主な理由として以下の2つが挙げられます。
1. お客さまの肌を傷つける可能性があるため
一つ目の理由は、お客さまの肌を傷つけないためです。
エステティシャンの仕事は基本、お客さまの肌に直接触れなければできません。しかし、長いネイルで施術するとお客さまの肌を傷つけてしまう恐れがあります。
さらに施術中は目を閉じているお客さまがほとんどです。ゆえにエステティシャンの爪が自分の肌に当たることに不快感を覚えるお客さまは少なくありません。
特にお客さまの顔や背中、腕、脚などに触れて施術するフェイシャルエステサロンやボディエステサロンの場合、ネイルはほぼNGです。
2. 衛生的にも問題があるため
ネイルNGの理由のもう一つは衛生面です。
ネイルには樹脂を使用したジェルネイルや液体を塗って乾かして仕上げるネイルポリッシュなどがあります。しかし、ジェルネイルはこまめに爪を切れず、爪の裏やパーツの細かい部分に汚れがたまることもあり、衛生的に問題があります。
また、ポリッシュはネイルが剥がれやすく、部分的に欠けたネイルは不衛生な印象をお客さまに与えかねません。どちらにしても清潔さを求められるエステティシャンにとってネイルは衛生的に問題があるため、原則NGにしているサロンが多いです。
どうしてもネイルがしたいときはどうする?脱毛サロンであればOKな場合も
エステティシャンが働くサロンにはいくつか種類があります。代表的なものとしては、フェイシャルエステサロン、ボディエステサロン、脱毛サロンなどが挙げられます。
前述した通り、お客さまの肌に触れる施術を行うエステティシャンは、原則ネイルが禁止です。
しかし脱毛サロンなど、機器を使用して施術するところではネイルOKの場合があります。
特に脱毛サロンでは、脱毛という医療行為に近いことを行うため、衛生面に配慮してお客さまにジェルを塗布する際も素手ではなく、手袋を着用します。
ただし、そのような場合であっても長い爪や派手なネイルはお客さまの肌を傷つける恐れがあるため、爪は短くする、カラーは単色のみなど、ネイルに関する規定が設けられているケースがほとんどです。
エステティシャンのネイルケア方法は?|お客さまの肌を傷つけないためのポイント
前述したようにエステティシャンはネイルで指先をきれいにしておくことが難しい職業です。
しかし、エステティシャンの指先はお客さまの目に留まりやすく、特に爪は割れていたり、欠けたりするとお客さまの満足度にも関わってくるため、普段からこまめなケアが欠かせません。
ここではエステティシャンが知っておくべき、ネイルケアのポイントについて解説します。
爪の長さ・角を整える
エステティシャンの爪はお客さまの肌を傷つけないように、爪切りで丁寧にカットしたらネイルファイルやエメリーボードなどのネイル専用やすりを使って、両端の角がなくなるように丸く整えます。
爪の長さの目安は、爪の先の白い部分が見えないくらいを意識してカットしましょう。爪の角を整える際は、爪切りではなくネイル専用やすりを使うことで、細かく形が整えられ、二枚爪も防げます。
爪を整えたら最後にストッキングや薄い布などに爪を当て、ひっかかりがないかを確認します。
爪を短く整えることは、業務上の安全性が確保できるだけでなく、施術がしやすくなり、清潔感も増すため、エステティシャンとしての印象もよくなります。
甘皮を処理して見た目をきれいにする
爪を短くして形を整えたら、爪と皮膚との境目にある甘皮を処理します。
甘皮があると見た目が悪いだけでなく、ささくれや爪の乾燥、爪の割れ・欠けの原因になります。
甘皮をケアするときは、まず甘皮を柔らかくするために甘皮部分にハンドクリームを塗布します。ぬるま湯に指先を10~15分くらい浸し、甘皮がふやけてきたら爪の生え際部分を綿棒やコットンを巻き付けたウッドスティックを使って、小さく円を描くように甘皮を押し上げます。汚れを拭き取り、最後にハンドクリームやネイルオイルを塗って保湿します。
ぬるま湯に浸す時間を短縮したいなら、お風呂上りで皮膚が柔らかくなっているタイミングを狙って甘皮の処理をしましょう。また、保湿する際に軽く爪の根元と爪先をマッサージすることで血行がよくなり、きれいな爪を維持することにつながります。
表面を磨いて爪に透明感を出す
甘皮を処理したら仕上げに爪の表面を磨いて透明感を出します。
表面を磨くときははじめに爪の根元にネイルオイルを塗り、バッファーやシャイナーといった爪磨き専用の道具を使って表面を磨きます。爪を磨いた後は、ネイルオイルやハンドクリームでしっかり保湿します。
爪の表面を磨くことで表面にあった凹凸が消え、自然なツヤが出て美しく仕上がります。ただし、磨き過ぎると爪が薄くなり、割れたり欠けたりしやすくなるので注意が必要です。
爪磨きは爪の状態にもよりますが、2週間~1カ月に1回を目安に行いましょう。もし、爪に痛みや赤みがあるようなら、早めに皮膚科などを受診してください。
エステティシャンのハンドケア方法とは?|手の感触にも注意が必要!
エステティシャンは爪のお手入れだけでなく、ハンドケアも大切です。
お客さまの肌に触れる手が荒れてカサカサでは、お客さまの心地よさも半減してしまいます。
ここではエステティシャンが手の保湿のために日ごろから気を付けるべきことと、ハンドケアの仕方について解説します。
水仕事の際はゴム手袋を使い、手荒れを防ぐ
エステティシャンは仕事柄、手を清潔に保つ必要があるので手洗いや消毒を頻繁に行います。
また、サロンではタオルの洗濯や美容器具の消毒などを行うこともあるため、エステティシャンは手荒れを起こしやすい傾向にあります。
このような手荒れを防ぐためには、職場でも自宅でも水仕事のときはゴム手袋を使用しましょう。
ただし、ゴムアレルギーの方はゴム手袋を使うと余計に手が荒れてしまうことがあります。そのような場合には、ビニールやポリエチレン製の手袋を使うか、綿の手袋を付けてからゴム手袋をしましょう。それでも手に異常を感じる場合には、ただちに使用を中止して、早めに医療機関を受診してください。
保湿ケアで乾燥を防ぐ
洗顔後に化粧水や乳液で顔をケアするように、手を洗った後は清潔なタオルで水分をしっかりと拭き取り、ハンドクリームを塗布して水分の蒸発を防ぎましょう。
ガサガサと乾燥した手は、見た目が悪いだけでなく、施術の際にお客さまを不快な気持ちにさせてしまいかねません。
乾燥による手荒れがひどい場合には、手を洗う水の温度をぬるま湯にする、石けんやハンドソープを低刺激タイプや無添加タイプにする、洗い方・拭き方を優しくするなど、手洗い習慣の改善を図りましょう。
また、ハンドクリームの塗り方にも注意が必要です。ハンドクリームは手洗い後適量を守って塗布し、両手全体に満遍なく塗ります。このとき、指と指との間や関節のしわ部分など細かな部分にも刷り込むように塗っていきましょう。
角質ケアで手の柔らかさを保つ
指先をよく使うエステティシャンは外的刺激によって、手のひらや指先が乾燥し、足のかかと同様に皮膚が硬くなって、ごわつきやひび割れを引き起こすことがあります。
このようなときは角質オフクリームや専用のやすりを使用して手の角質を取り除きましょう。手の角質をオフすることで、施術に向いた手の柔らかさを維持できます。
また、温かく柔らかい手はお客さまの満足度を高めます。
したがって、切り傷ややけどなど普段から手を傷つけないように心がけ、冷え性の場合には施術前にお湯やカイロで手を温めるなどして、お客さまが快適な時間を過ごせるように工夫しましょう。
エステティシャンが気を配るべきネイル以外の身だしなみ
お客さまに美しさや癒やしを提供するエステティシャンだからこそ、自分自身の身だしなみにも細心の注意を払う必要があります。
ここではエステティシャンが気を配るべき、身だしなみについて解説します。
髪形や髪色
エステティシャンの髪形は基本的に自由です。しかし、施術の邪魔にならないようにすっきりとまとめることが求められます。
例えば、髪が長い場合にはポニーテールにする、髪をねじってコームで留めるなど、お客さまが不快感を抱かないように髪をまとめましょう。仕上げにワックスやスプレーを使ってしっかりと固めておけば、施術中に髪を触らずに済み、お客さまに髪の毛が落ちる心配もありません。
髪色に関しても原則自由なサロンが多いですが、お客さまの年齢層などによっては派手なカラーリングは不快に思われる可能性があります。
迷ったときは、清潔な印象の黒髪か、トーンを抑えたブラウンがおすすめです。また、エステティシャンには清潔感や美意識の高さも欠かせません。そのため、日ごろからヘアケアを怠らず、髪を染める場合にはこまめにカラーリングをしましょう。
メイク
エステサロンに通われるお客さまは美意識の高い方が多いため、濃過ぎるメイクはもちろん、ノーメイクもよくありません。
一般的なエステティシャンの場合、肌がきれいに見えるナチュラルメイクがお客さまに好まれます。
また、エステティシャンはサロンの広告塔になることもあります。
例えば、まつげパーマのメニューがあるサロンでは、目元をぱっちりと見せるメイクをしたり、サロンで取り扱っているコスメがある場合には、そのコスメを使用したメイクが求められたりもします。
そのため、メイクに関する規定があるなら、その規定に従ってメイクをすることが重要です。
アクセサリー
お客さまの肌に直接触れるフェイシャルエステやボディエステなどの場合、肌を傷つける恐れがあるため、結婚指輪を含めた指輪、時計、ブレスレットなど手や腕に着用するアクセサリーは原則NGです。
サロンによっては控えめなネックレスやピアス、イヤリングなどのアクセサリーを許可している場合もありますが、施術の邪魔になるようであれば外しましょう。
臭い・香り
エステティシャンはお客さまとの距離が近いため、臭いや香りに気を配りましょう。体臭や口臭、汗の臭いはもちろんですが、体臭を消すための香水や制汗スプレーなどもお客さまに不快感を与える可能性があります。
また、施術前日に臭いの残る食事をしない、たばこやお酒は控える、シャンプーや柔軟剤、ハンドクリームは無香料のものを使うなど、お客さまが気持ちよく施術を受けてもらえるように常に考えて行動しましょう。
ネイルがOKなサロンでも注意するべきポイント
ネイルができるサロンでも注意すべきポイントがいくつかあります。
ネイルの長さや形に気を付ける
ネイルの長さや形は、これまでに解説した通り、お客さまの肌を傷つけないように、短く丸い爪にすることが望ましいです。爪が長いと繊細な施術をするときに邪魔になります。また衛生面でも問題があるので、爪はこまめに切り、きれいに整えて清潔感のあるネイルを楽しみましょう。
派手なデザインは避ける
派手なデザインのネイルは、お客さまに不快感を与えかねません。エステティシャンのネイルなら、サロンの雰囲気に合った、シンプルで落ち着きのある単色塗りがおすすめです。
カラーも肌になじみやすいベージュ系やくすみ系のカラーなど、清潔感のある色味を選びましょう。デザイン、色味どちらにしてもネイルをする際は、サロンの規定に従うことが大切です。
まとめ
エステティシャンのネイルは、業務上の安全性の確保や衛生面から原則禁止のサロンがほとんどです。
ただし、脱毛サロンではネイルOKの場合もあります。それでも爪は短く、落ち着いたデザインのネイルが基本です。
これはエステティシャンがお客さまから見られる仕事であり、エステティシャンにふさわしい清潔感や美しさが求められているからです。
そのため、このような職場で働く場合にはネイル・ハンドケアはもちろんのこと、髪形や髪色、メイク、アクセサリーなど身だしなみからもお客さまに不快感を与えないように配慮することが重要です。
監修者:白崎順子
エステティシャン
株式会社ピュアラボーテ(代表取締役)
美容師からスタートし病をきっかけにエステの道へ。2010年サロンを開業。1年後には満席サロンへ。現在はエステスクールを開講し全国に500名以上の生徒を持つ。