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柔道整復師や整体師あるあるの悩み6選 | 対処方法ややりがいもご紹介【柔道整復師監修】
柔道整復師や整体師の仕事は、どちらもお客様の身体の悩みに対して、手技により改善に導くことです。
人の身体を預かる重要な仕事であるため、さまざまな悩みを抱えている方も多いようです。その反面、自身のスキル向上やお客様から感謝される場面も多く、やりがいを感じられる部分もあります。
今回は、柔道整復師や整体師あるあるの悩みや、悩みの解決方法、やりがいについて解説します。
柔道整復師や整体師あるあるの悩み6選
柔道整復師と整体師の方は、仕事をするうえで、さまざまな悩みを抱えています。ここでは、柔道整復師や整体師あるあるの悩みについてご紹介します。
- 柔道整復師と整体師の違いを理解してもらえない
- 労働時間が長い
- お客様との意思疎通がうまくいかない
- 自身の技術力に不安を抱える
- 肉体疲労の蓄積
- 予約がバッティングする
それぞれ、確認していきましょう。
1.柔道整復師と整体師の違いを理解してもらえない
柔道整復師と整体師は、施術内容などが似ていることから、同じ職種として認識されている傾向にあるようです。
しかし、柔道整復師と整体師とでは、施術内容や保険適用の有無、働ける場所などに違いがあります。
柔道整復師は国家資格保有が必須
柔道整復師として働くためには、国家資格を所持していなければいけません。
国家資格を取得するためには、受験資格を満たしたうえで、国家資格に合格する必要があります。受験資格は、3年以上、大学もしくは専門学校で柔道整復師となるのに必要な知識・技能を習得していることです。
試験は、解剖学・生理学・運動学・一般臨床医学・整形外科学などの体の構造に関する問題がメインとなり、2024年3月3日に行われた国家試験の合格率は66.4%となっています。
国家資格を取得したあとは、接骨院(整骨院)で働く流れが一般的です。
柔道整復師の施術は保険適用(一部施術は対象外)となっており、主に骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷などに対して治療が行えます。例えば、骨折した際に骨を固定するギプスの使用は、柔道整復師の資格を所持していないと使用することはでません。
※骨折・脱臼に関しては応急処置後の通院施療は医師の同意が必要です
整体師にできないこと
整体師は、柔道整復師のような国家資格は必要なく、無資格でも整体師として働けます。
ただし、お客様の身体を施術するにあたり、体の構造や一定の施術スキルがないと働くことは難しいと考えられるため、整体師として働いている方は、専門学校や通信講座で民間資格を取得している方が多いようです。
整体師は、柔道整復師ができる治療行為(医療行為)はできません。施術内容としては、お客様の身体の歪みや痛みに対して、全身や手技を使って不調の改善やリラクゼーションがメインとなります。
- 柔道整復師=手技や専用の器具を使い、骨や関節や筋肉の怪我を治療する
- 整体師=全身や手技を使い、リラクゼーションや身体の不調を改善に導き、本来の自然治癒力を高める
以上のようなイメージを持ってもらうと分かりやすいでしょう。
また、あん摩マッサージ指圧師という職種も整体師とよく混同されやすいです。
あん摩マッサージ指圧師も柔道整復師と同様に国家資格が必要で、「おす・もむ・さする・なでる・たたく」などの手指を使ったマッサージ行為を行えます(痛みをともなう場合もある)。
もし、整体師の方がこのようなマッサージ行為をしてしまうと、「あはき法(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律)」に違反してしまい、罰則が科されるため、注意が必要です。
2.労働時間が長くなる傾向がある
柔道整復師や整体師の方は、1日の労働時間が長い傾向にあります。
施術院により営業時間はさまざまですが、主に9時〜12時の午前の部と15時〜の午後の部に分けられ、営業時間が遅いところだと21時くらいまで営業している施術院もあるようです。
トータルの拘束時間が長くなる場合は、多くの施設では休憩時間を長くとるなどの対策が取られます。
また、営業中以外でも、開店前や閉店後に掃除や事務作業などの業務もあると予想されるため、営業時間が過ぎても施術が終わらないと残業しなければいけない日もあるかもしれません。
雇用形態ごとの働き方
柔道整復師や整体師として働く場合は、自分がどのような条件で働きたいのかを検討する必要があります。
雇用形態としては、正社員・業務委託・アルバイトの3つです。
それぞれの雇用形態のメリット・デメリットを以下にまとめました。こちらのメリット・デメリットは、柔道整復師や整体師の方に限らず、他の職種の方にも当てはまる内容となっています。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
正社員 |
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業務委託 |
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アルバイト |
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毎月安定した収入を得たい方は、労働基準法が適用され法定福利などが充実している正社員としての就業がよいでしょう。
一方で、ある程度自由度が高く働きたい方は、働く時間や場所に制限のない業務委託が向いているといえます。
業務委託の場合は、スキルを磨くことで正社員以上の収入を期待できる可能性もあります。
アルバイトは、正社員と同様に会社と雇用契約を結ぶため、社会保険への加入や有給休暇の取得などの労働基準法が適用された環境で働ける点はメリットです。
しかし、時給制となっている場合が多く、限られた時間内でしか稼げないため、大きく収入を伸ばすことは難しい場合が多いと考えられます。
残業時間は雇用形態によって異なる
業務委託契約で柔道整復師や整体師の仕事を行う場合は、就業時間を自分の裁量で決められるため、残業が発生しないような働き方も可能です。
しかし、正社員やアルバイトの場合は、契約上、残業時間が発生する場合もあります。
働く施術院により営業時間や勤務時間はさまざまであり、一概にはいえませんが、求人票の給与の部分に残業時間と固定残業代が記載されている場合があるため、確認してみましょう。
例えば「固定残業代が25時間で超過分は別途支給」のような記載があった場合、1ヶ月で20日出勤すると仮定して、1日あたり1.25時間の残業が発生する可能性があるととらえられます。
実際に働いてから「残業があることを知った」「思っていたよりも残業が多い」などのトラブルを防ぐためにも応募する前や面接などの際に確認を推奨します。
3.お客様との意思疎通がうまくいかない
柔道整復師や整体師の仕事は、さまざまな身体の症状に対して、お客様にあわせた施術が求められます。
前述した通り柔道整復師と整体師とでは、できる施術範囲が異なるため、お客様の要望に対して整体師では受けられない施術などもでてくる可能性があり、施術内容に理解が得られないケースもあるでしょう。
また、施術後に「症状が悪化した」「なかなか症状が緩和されない」などのクレームを受けることも想定されます。
クレームの原因として考えられるのが、技術的な問題や事前のカウンセリング、コミュニケーションの認識違いなどです。
お客様からのクレーム=悪いことのようなイメージで捉えてしまいがちですが、考え方を変えれば、自分の技術面やコミュニケーション力を改善、そして向上できるきっかけになるとも考えられます。
日々の実務経験を通して、施術スキルと適切な施術を行うためのカウンセリング力やコミュニケーション力を磨いていきましょう。
4.自身の技術力に不安を抱える
テレワークや在宅時間の普及により、腰痛や肩こりなどを訴える方は増加傾向にあり、心身の安らぎや不調改善を提供できる柔道整復師や整体師の仕事は、将来的に増加することが予測されます。
お客様の精神や身体の悩みやニーズが増加するなかで、これまで以上に症状に合わせた適切な施術スキルが求められる可能性があるため、自身の技術力に不安を抱える方も多いです。
民間資格取得によりスキルの幅を広げる
他の施術院との差別化や優位性のためにできる解決策の1つとしては、施術に関連する民間資格を取得することがあげられます。
特に国家資格が不要な整体師の場合は、民間資格を取得することによって、スキルの幅を広げるだけでなく、より就職や集客において有利になることでしょう。
柔道整復師の場合も、国家資格を取得したからといってすぐに高い施術をするスキルが身につくわけではないため、自分の現在保有している知識やスキルで、お客様に満足してもらえるか不安に感じている方も多いようです。
関連資格取得の例は以下のとおりです。
- 柔道整復師:施術の延長で癒しを提供できるセラピストの民間資格を取得する
- 整体師:柔道整復師の国家資格を目指すまたは民間資格を取得する
日々の実務を通して、スキルを磨くことはもちろんですが、民間資格を取得してそれが施術に活かせられれば、お客様満足や自身のスキル向上にもつながります。現在の施術に活かせる民間資格がないかどうか探してみてください。
5.肉体疲労の蓄積
柔道整復師や整体師の仕事は、施術のなかで手や手首などの特定の部位を酷使するため、それが蓄積することで、知らぬ間に疲労が蓄積されているケースも少なくありません。
柔道整復師や整体師の方によく現れる症状についてご紹介します。
腱鞘炎
柔道整復師や整体師の方は腱鞘炎になりやすいといわれています。
腱鞘炎には大きく「ばね指」と「ドケルバン病」の2種類があり、それぞれ症状が異なります。
ばね指とは、手のひらの指の付け根が痛む腱鞘炎の一種です。症状としては、指を深く曲げる際に引っかかるような感覚があったり、指を伸ばす際に指が突然弾いたように伸びたりします。
ドケルバン病とは、親指側にある腱と手首の腱鞘が炎症を起こす病気です。親指を動かす際の痛みや、手首の腫れなどの症状がみられます。
例えば、柔道整復師の方で、骨や関節などをもとに戻す治療を行う際に、手技で患部に一定の負荷を与える施術を行うと同時に、自身の手指や手首にも力が加わり続けます。それが繰り返されることで、手指や手首に疲労が蓄積し、腱鞘炎となってしまうのです。
腰痛
柔道整復師や整体師の方でも、腰痛に悩まされるケースもあるようです。
腰痛となる要因にはさまざまありますが、柔道整復師や整体師の方は、施術を行うなかで、お客様の体を持ち上げたり、一定時間支えたりするケースもあるでしょう。また、不自然な姿勢で施術を行わなければいけない場面も想定されます。
そのような要因から手指や手首だけでなく、腰にも負担がかかってしまうのです。
6.予約がバッティングする
予約のバッティングには注意しなければいけません。
バッティングの要因として考えらえるのは、電話やネット、LINEなどの複数の予約方法を設けていることが原因と考えられます。
例えば、1人で運営している施術院だと、同じ時間に2人のお客様がきてしまった場合、2人とも同時に施術はできないため、お客様に迷惑がかかってしまいます。バッティングが原因で、2回目以降の来店がなくなってしまうリスクも考えられるでしょう。
予約のバッティングを防ぐためにも、予約媒体の精査と管理の徹底が重要です。
柔道整復師や整体師にはやりがいもある
柔道整復師や整体師の仕事には、あるあるの悩みがある一方で、やりがいと感じられる場面も多く存在します。
ここでは、柔道整復師や整体師の仕事を通して感じられるやりがいについてご紹介します。
- 応急処置が必要なシーンで慌てなくなる
- 身近な人の身体健康に貢献できる
- コミュニケーション能力が高まる
- 身に付けられるスキルのバリエーションが広い
- 成長を実感できる
- 一生できる仕事である
- 感謝の声を直接もらえる
それぞれ、確認していきましょう。
1.応急処置が必要なシーンで慌てなくなる
柔道整復師の方は、人の体の構造や問題が起こった場合の対処法を熟知しているため、仮に日常生活で応急措置が必要な場面にでくわしたときに、慌てずに対応できるでしょう。
また、柔道整復師の活動の幅は広く、スポーツ業界でトレーナーとしても役割を担うケースも多くなってきているようです。
例えば、スポーツ選手が練習中や試合中にけがをして、緊急で応急措置が必要となった場合でも、冷静に判断し、適切な対処ができる能力が仕事を通して身につきます。
2.身近な人の身体健康に貢献できる
整体のスキルが身に付くと、自分の家族や友人などの身近な人に対しても、適切な施術をしてあげられます。
例えば、腰痛持ちの両親に腰痛に効く施術をしてあげられたり、肩こりに悩んでいる友人に的確なアドバイスを伝えたりできます。
自分のスキルが身近な人の役に立てる経験ができる点は、柔道整復師や整体師として働いていて嬉しいポイントでしょう。
3.コミュニケーション能力が高まる
お客様と一対一で向き合う仕事柄、必然的に会話する回数も多くなり、コミュニケーション力を高めることができます。
整体の場合は1回の施術で快方に向かうことは少ないため、継続して施術を受けにいきたいと感じる方が多いと考えられます。
施術する側も継続して来店していただくために、お客様との信頼関係の構築は重要です。
お客様の悩みや不安を聞き出す正確なカウンセリング力・身体の不調を解決できる技術力・リピートにつなげるためのアフターケアサポート対応などが求められます。
これらの一連の流れにおいては、お客様との意思疎通が重視されるため、仕事を通して徐々にコミュニケーション力が磨かれていくでしょう。
4.身に付けられるスキルのバリエーションが広い
整体に関連する資格は多数あり、スキルのバリエーションが多いことが特徴としてあげられます。
1つの資格でも仕事はできますが、施術に役に立つ資格を追加で取得できれば、相乗効果も得られる可能性があります。さらに、できる仕事の幅が広がれば、その分他の方との差別化も図れるでしょう。
働ける場所の選択肢も増えるため、自身の市場価値も高まりやすいと考えられます。
5.成長を実感できる
柔道整復師や整体師の方は、施術スキルやコミュニケーション力などの成長が求められる仕事です。
知識のインプットと施術のアウトプットを繰り返せば、経験値が積まれ、お客様の症状改善という形で、自身の成長を実感できるでしょう。
また、時には、同僚と切磋琢磨しながら自身の施術を客観視してもらい、改善ポイントを指摘してもらうことも重要です。
6.一生できる仕事である
柔道整復師や整体師の仕事は、資格を有していれば、年齢に関係なく働き続けられます。
経験値を積めば積むほど、スキルの向上につなげられるでしょう。
最初はサロンなどで働きつつ、スキルを磨き、将来的には自分で独立や開業も目指しやすい職業です。
仮に自身で開業して他の従業員を雇用し、店舗を拡大していけば、さらに収入もアップさせることもできます。
7.感謝の声を直接もらえる
自身の施術でお客様の身体の不調を改善に導けた場合、感謝の声をもらえる場合もあるでしょう。
感謝の声をもらえることで、自身のスキル向上も実感できます。
柔道整復師や整体師の仕事はお客様の悩みに寄り添いながら、改善までの道のりを一緒に経験できる仕事であるため、やりがいを感じられる部分といえます。
まとめ
柔道整復師や整体師の仕事は、人の身体を預かり、不調の改善に向けて施術を行う重要な仕事であるため、施術スキルやお客様とのコミュニケーションなどで、悩みや不安を抱えている方も多いようです。
しかし、実務経験を積んでいけば、施術スキルやコミュニケーション力の向上につなげられ、年齢に関係なく一生働ける仕事です。
さらに自身のスキルに関連する資格を取得すれば、できる施術の範囲も広がり、その分働ける場所の選択肢も増やせます。
悩みも多い職種である反面、やりがいを多く感じられる部分も多くあるため、柔道整復師や整体師に興味のある方は、資格の取得を目指してみてください。
監修者:谷口友一(果門秀明)
柔道整復師
たにぐち接骨院 、一般社団法人 日本柔道整復師会
身体の外側からのアプローチだけでは本当の健康・真の健康には届かないことに痛感し、『超健康』を目指す体質改善プログラムを提供中。
東洋整体・ホルモンバランス調整法・骨盤調整・トレーニング・EMS・腸活ファスティング・食事指導などをパーソナルに組み合わせて作っている。