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ジェルネイル技能検定試験とは?ネイリスト技能検定試験との違い、級別の概要を解説
ネイリストとして働きたいと考えた際、どのような資格を取得すれば知識や技術が身につくのでしょうか。
ここではジェルネイル技能検定試験(ジェルネイル検定)の概要や級別の試験内容について解説します。
ネイリスト技能検定との違いや試験攻略のための勉強法についても紹介していますので、ジェルネイルのプロとして活躍したい方はぜひ参考にしてください。
ジェルネイル技能検定試験(ジェルネイル検定)とは?
ジェルネイル検定とは「JNAジェルネイル技能検定試験」のことです。
NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)が実施している検定試験であり、正しい知識や安全な技術をもって健全なジェルネイルを普及していくことを目的としています。
検定は「初級・中級・上級」に分かれており、それぞれクリアすべき知識や技術が設定されています。合格すると、主にネイリストやプロを目指す人向けの資格が得られます。
国家資格でなく民間資格であるため、資格を保有していなくてもネイリストとして開業や就職することは可能です。
しかし、2010年の検定開始以来、累計取得者数は10万人を超えており、資格を取得していればネイル業界への就職や転職に有利になります。また、資格を取得することで、ネイリストとしてお客様への信頼度向上も期待できます。
ネイリスト技能検定試験(ネイリスト検定)との違い
ネイルに関連した他の資格に、ネイリスト技能検定試験(ネイリスト検定)があります。名称は似ていますが、両者にはいくつかの違いがあります。
主催団体が異なる
2つの検定はいずれも民間資格で、主催団体が異なります。
先述のように、ジェルネイル検定はJNA(NPO法人日本ネイリスト協会)が実施しており、ネイリスト技能検定については、JNEC(公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター)という機関が実施しています。
なお、ネイリスト検定はジェルネイル検定よりも早い1997年からスタートしており、累計で99万人(2023年10月)が受験しています。2008年にジェルネイル検定を実施しているJNAから検定試験事業の譲渡を受けて、ネイルの専門性や公益性などをさらに高めてきたいと取り組んでいます。
※引用:公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター「日本ネイリスト試験センターとは」
学習範囲(試験範囲の目的)が異なる
ジェルネイル検定はネイルのなかでもジェルネイルの知識や技術に特化しているのに対して、ネイリスト検定は、ネイル全般について網羅的に知識を得られる資格です。
近年、ジェルネイルの人気が高まり、多くのネイルサロンで施術メニューが用意されています。
そのため、「ジェルネイルの技術を修得してキャリアアップしたい」「ジェルネイル専門のサロンを開業したい」といった希望があれば、ジェルネイル検定が役立つと考えられます。
一方で、ネイリスト検定ではネイリストに必要な技術や知識について、幅広く総合的に習熟度が確認されます。つまり、対応範囲がより広くなっているのが特徴で、合格すればネイリストになるための知識が備わっていることが証明できます。就職の際に、ネイリスト検定に合格していることを必須条件としているところもあります。
ネイルについて基礎的なことから知識を積み上げていきたい方にとっては、ネイリスト検定が適しているでしょう。
免除制度がある
ジェルネイル検定には、ネイリスト検定に合格することで実技試験の一部が免除される制度があります。
たとえば、ネイリスト検定の3級以上を取得していた場合、ジェルネイル検定・初級においては第1課題のネイルケア(実技)試験が免除となります。
このことから、もし両方の検定を取得したいと考えている場合、先にネイリスト検定3級以上で合格しておくことでジェルネイル検定試験の実技が免除となり、効率良く資格取得を進めることができます。
【級別】JNAジェルネイル技能検定試験の概要
ジェルネイル検定試験は、下記の3つのレベルに分かれています。
初級は、義務教育を修了していれば誰でも受験可能ですが、中級は初級を、上級は中級にそれぞれ合格していないと受験資格が得られません。
- 初級
- 中級
- 上級
特徴や試験内容をレベル別に解説します。
初級
ジェルネイル検定の資格取得を目指すにあたって、誰もがまず初級合格を目指します。
初級の特徴
ジェルネイル検定初級は、基礎段階を修得しているかの確認することを目的にネイルケア、ジェルネイル施術に必要な知識および技術が試されます。
試験は年に2回実施されます。2024年を例にみると、6月と12月に試験が行われる予定です。ただし年によって試験月が変更となる可能性があるため確認が必要です。
試験内容は後述しますが、筆記が100点満点、実技が100点満点となっており、それぞれ80点以上を取ると合格です。
初級の合格率は、中級や上級と比べても高く、約70%となっています。
ジェルネイル検定の初級を受けるのに必要な資格は義務教育修了者となっているため、高校生以上であれば誰でも申し込みできます。ネイルの専門学校や通信教育だけでなく、独学で勉強して合格を目指すことも可能です。受験料は2024年時点で9,900円(税込み)です。
初級の筆記試験
制限時間30分で、全60問が出題されます。回答はマークシート方式です。
出題範囲は衛生や消毒、爪の構造、爪の病気とトラブル、ネイルケアやジェルネイルの手順、ジェルネイルの基礎知識となっています。一般的なネイルの基礎知識を中心に、ジェルネイルに関する基礎知識も一部出題される傾向です。
初級の実技試験
初級の実技試験は、課題を始める前の事前審査と、第1課題・第2課題があります。
事前審査とは、15分間で主にテーブルセッティングや消毒管理の状態をチェックするものです。
テーブルセッティングには細かい規定が設けられており、反している場合は失格、失点となるケースもあるためしっかりとした準備が要ります。
1回目の事前審査後、第1課題は制限時間35分で、両手10本分の消毒、ポリッシュオフ、ファイリング、キューティクルクリーンまでネイルケアを行います。
課題が終了したあと、10分間のインターバル・2回目の事前審査をはさんで第2課題が始まります。
第2課題は制限時間60分のなかで、左手5本分の赤ポリッシュ、右手5本分のジェルでのカラーリング、右手中指にジェルアートを行います。
なお、感染症対策などの観点から期間限定の措置として、すべての級でハンドモデルの同伴は認められておらず、トレーニングハンドを使用するように定められていました。しかし2024年12月に実施される試験からは、JNEC認定モデルハンドまたはハンドモデルの同伴での試験となる予定です。
ネイリスト検定有資格者が受けられる免除
ネイリスト検定3級以上に合格しており申し込み時に申請している場合、実技・第1課題が免除されます。
また、JNAネイリスト技能検定国際試験(JNAが主催)に合格し3級以上の資格を保有している場合も、実技・第1課題が免除となります。
中級
プロとして働きたい方が目標とするレベルです。
中級の特徴
初級が基礎的な知識や技術の修得を目的としていたのに対し、中級ではプロとして働くために必要な専門知識と技術修得が求められます。初級と同様に、筆記と実技が設けられています。
試験は年に2回実施されます。なお2024年の試験日程は、初級試験日(6月・12月)の翌日が中級の試験日となっています。
筆記・実技ともに100点満点中、筆記は80点以上、実技は70点以上で合格します。
中級の全体的な合格率は60%前後とみられています。
飛び級はできないため、ジェルネイル検定の初級を合格した方のみ受験資格が与えられます。受験料は、13,200円(税込み)です。
中級の筆記試験
中級の筆記試験は制限時間30分で60問が出題されます。初級と同じようにマークシート方式です。初級で押さえるべき基礎知識に加えて、実践的な施術全般やプロフェッショナリズムなどに関する問題が出題されます。
中級の実技試験
初級と同様に事前審査を経たあとに、第1課題、第2課題の2つの実技試験を受けます。
事前審査後、第1課題は制限時間30分のなかで、左手5本にネイルケアとカラーリングを施します。その後、15分間のインターバルと2回目の事前審査をはさんで、第2課題を開始します。
第2課題は制限時間85分のなかで、左手5本にジェルフレンチカラーリングを施します。また、右手の中指以外にジェルグラデーション、中指はジェルイクステンションを施して完了です。なお、感染症対策の観点から行われていませんが、通常ジェルオフ(右手5本)・ポリッシュオフ(左手5本)も試験内容に含まれます。
ネイリスト検定有資格者が受けられる免除
ネイリスト検定2級以上を取得している場合、実技・第1課題が免除となります。また、JNAネイリスト技能検定国際試験で2級以上を取得している場合も、実技・第1課題が免除されます。
上級
もっとも難易度が高く、ネイルサロンでも「上級資格取得者在籍」などとアピールされることが多いのが上級です。
上級の特徴
ネイルケアやジェルネイル施術のスペシャリストとして、総合的知識と技術を修得することを目的としています。
初級・中級とは異なり、実技試験のみで100点満点中70点以上で合格となります。最上級であることから難易度が高く、合格率は約45%です。
試験は年に2回実施されます。なお2024年の試験日程は、中級試験日(6月・12月)と同日に行われる予定となっています。受験資格は、ジェルネイル検定の中級に合格した人のみが対象です。受験料は16,500円(税込み)です。
上級の実技試験内容
実技試験は制限時間85分です。初級・中級と同じように事前審査としてテーブルセッティングやトレーニングハンドの状態チェックが行われます。
試験では、指定された5本の指にイクステンション(長さ出し)を施し、それぞれの課題を進めていきます。
- 右手の人差し指+中指:ジェルクリアスカルプチュア
- 右手の薬指:ジェルチップオーバーレイとデザイン
- 左手の中指:ジェルチップオーバーレイ
- 左手の薬指:ジェルチップオーバーレイとフレンチルック
右手の薬指に施すジェルチップオーバーレイとデザインには、テーマが設定されています。試験のテーマは年に関係なくフラワーです。
ジェルネイル技能検定試験を攻略する3つの勉強方法
ジェルネイル検定の合格率は、レベルが上がると下がる傾向にあります。
難易度が上がることを見据えて、合格するためにしっかりと勉強する必要があります。ここでは、試験攻略のための勉強方法を3つ取り上げます。
- 公式テキストで知識を深める
- 公式DVDで実技対策を行う
- 問題集を解いて筆記試験対策を行う
それぞれ解説していきます。
1.公式テキストで知識を深める
ジェルネイル検定には、オフィシャル教材が準備されており、試験範囲を効率良く学習するのに役立ちます。JNA教育委員会が監修した公式テキストは試験内容に対応しており、リペアやネイルアートの基本も網羅しています。
初級向けのテキストは「JNAテクニカルシステム 〜ジェルネイル〜」で、中級・上級向けのテキストは「JNAテクニカルシステム アドバンス」です。
いずれもフルカラーで解説されているため、内容を理解しやすくなっています。幾度か改訂しているため、最新版を確認する必要があります。
また、それぞれのテキストはネイリスト検定試験にも対応しています。同時に受験しようと考えている方にもおすすめです。
2.公式DVDで実技対策を行う
実技試験に向けて知識や技術を身につけたいなら、テキストに加えて動画学習がおすすめです。実技試験対策に向けてJNAジェルネイル技能検定試験(初級・中級・上級)テクニック講座という公式DVD教材を販売しているため、前述した筆記試験用の公式テキストと併せて入手すると役立ちます。
また、公式DVDを利用するメリットのひとつとして、事前審査や減点・失格事項を網羅している点が挙げられます。
実際の実技試験では、テーブルセッティングやトレーニングハンドの状態確認といった事前審査に加えて、手指のケガや忘れ物、用具の汚れなど、減点・失格につながる細かいルールも多く定められています。
公式DVDでは試験対策に特化し、これらのポイントも解説されています。ネイルの技術に自信がある場合でも、一度失格事項について確認しておくのがおすすめです。
3.問題集を解いて筆記試験対策を行う
筆記試験対策としては、一般的な他の資格試験と同じように、過去に出題された問題を解いて対策するのが有効です。
公式で過去問題集は販売されていませんが、筆記試験の多くはJNECのネイリスト検定3級と同等レベルとなっています。そのため、JNECの問題集を活用して勉強することをおすすめします。
まとめ
ジェルネイル検定は民間資格のひとつで、正式には「JNAジェルネイル技能検定試験」と呼びます。
NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)が実施しており、2010年の開始以来、全国で10万人以上が取得している資格です。初級・中級・上級の3つのレベルがあり、ネイル全般の知識や技術を必要とするネイリスト検定と併せて資格取得することで、ネイリストとして活躍する幅が広がります。
中級・上級試験を受験するには、まず初級に合格する必要があるため、公式テキスト・DVD教材を使って、レベルに合わせた知識を学び、技術を研鑽していくことをおすすめします。
監修者:唐沢 真弓
ネイリスト
学校法人 国際共立学園 国際理容美容専門学校 ビューティアーティスト科教務
国際共立学園は創立69年の伝統ある学園で、職人の技術偏重主義に決して偏ることなく、あらゆる職業を通して、豊かな人間性を併せ持った職業人育成を目指している。『夢をかなえる 人づくり』を教育のテーマに、これまでの教育実績をさらに進化させ、社会に貢献できる人材を育成している。