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ピラティスインストラクターになるには?仕事内容や働き方・必要な資格について解説

「最近ピラティスを始めて、毎回レッスンが楽しい」
「レッスンを受けて、自分もピラティスインストラクターの仕事に興味を持った」
このような人もいるのではないでしょうか?
ピラティスインストラクターになるには、いくつかの方法があり、未経験からでも目指すことができます。
そこで今回は、ピラティスインストラクターになるには、どのような方法があるのか、また必要な資格やさまざまな働き方、給料事情などについて紹介します。
ピラティスインストラクターとは?

ピラティスインストラクターとは、スタジオやオンラインなどでピラティスを教える人のことを指します。
教える立場に立つからには、ピラティスの知識に加え、筋肉や関節の名称、働きなど解剖学的な知識も必要です。
まずは、ピラティスそのものと、ピラティスインストラクターの仕事内容について確認しましょう。
そもそもピラティスとは?
ピラティスはヨガと比較されることがあります。
2つの大きな違いは、目的です。
目的 | |
|---|---|
ピラティス | インナーマッスルを鍛えたり、骨格のゆがみを改善したりすることで、健康的な体を目指す |
ヨガ | ・呼吸法や1つひとつのポーズによって、体のゆがみなどを直し、姿勢の改善や筋力などの向上を目指す ・精神をコントロールする力を養い、心の安定やストレス解消を目指す |
ヨガインストラクターについては以下の記事で詳しく紹介しています。
▷ヨガインストラクターになるには資格は必要?知っておきたい仕事内容や働き方も解説【専門家監修】
ピラティスの種類
ピラティスには「マシンピラティス」と「マットピラティス」の2種類があります。
これらは同じピラティスでも、使う道具や期待できる効果が異なります。
マシンピラティス
マシンピラティスは、ピラティスの考案者ピラティス氏が開発したさまざまなマシンを使って行うピラティスのことで「リフォーマー」「キャデラック」などが代表的なマシンです。
これらのマシンを使うことで、数百種類のエクササイズができるため、気になる部位を集中的に鍛えることもできます。
また、マシンがフォームの維持を手助けしてくれるため、正しいフォームを体に覚えさせることに適しており、初心者にもおすすめです。
負荷を調整し、アスリート向きにすることも可能です。
マットピラティス
マットピラティスは、マットの上で行うピラティスです。
バランスボールやフォームローラー、セラバンドなどを使うこともありますが、通常は自重(自身の体の重さ)を利用して、鍛えていきます。
マットさえあればできるため、行う場所を選ばないことは大きなメリットといえます。なお、マシンピラティスが部分的に鍛えられるのに対し、マットピラティスは体幹トレーニングによって、体全体をバランスよく鍛えることが可能です。
ピラティスインストラクターは、マシン、マットそれぞれの特性を生かし、生徒一人ひとりに合ったメニューを考える必要があるでしょう。
ピラティスインストラクターの仕事内容
次にここでは、ピラティススタジオで働いた場合の仕事内容を確認してみましょう。
ピラティスインストラクターの仕事内容は、どのような働き方をするかにもよります。
スタジオで働いた場合、レッスン以外にも受付や会計、清掃、SNS運営、レッスンプログラムの考案など、さまざまな業務があります。
将来的に、店長や店舗運営などを任されるようになれば、売上管理といった業務も必要になるでしょう。
ピラティスインストラクターの働き方

ピラティスインストラクターには、さまざまな働き方があります。
それぞれのメリットとともに、確認しましょう。
スタジオに雇用されて働く
スタジオやフィットネスクラブ、ヨガスタジオなどに雇用されて働く方法があります。
【スタジオに雇用されて働くメリット】
- 安定した収入を得られる
- 店舗運営の方法や仲間と一緒に働く協調性などが身に付く
未経験でピラティスインストラクターを目指すのであれば、まずは店舗で働くことで、必要な知識を身に付けられるでしょう。
また、研修制度が充実しているスタジオであれば、知識や技術のレベルアップも図れます。
フリーランスとして活動する
フリーランスのピラティスインストラクターとして活動する方法もあります。
スタジオやフィットネスクラブなどと、1レッスンごとに業務委託契約を結び働く方法が一般的です。
【フリーランスとして活動するメリット】
- ワークライフバランスを考慮しながら働ける
- スタジオ内の清掃や電話対応などをすることはなく、レッスンに集中できる
ただし、正社員と比べ、収入面で安定しない可能性があります。
自宅やレンタルスペースで開業する
独立し、自宅の一部やレンタルスペースを使って開業することもできるでしょう。
マットピラティスであれば、広いスペースとマットやバランスボールなどがあればできるため、初期費用を抑えることもできます。
【自宅やレンタルスペースで開業するメリット】
- スケジュールを自由に決められる
- 子育てや介護をしながらでも働ける
ただし、集客や経営などもすべて自分で行う必要があるため、どのように進めていくか考えておく必要があるでしょう。
オンラインレッスンを提供する
独立開業してレッスンをするもう1つの働き方が、オンラインレッスンの講師です。
Zoomなどのツールを使って、リアルタイムでレッスンを行います。
【オンラインレッスンを提供するメリット】
- 工夫次第で、多くの収入を得られる
- 広い場所を確保する必要がなく、低予算で開業しやすい
オンラインレッスンは、仕事が忙しくスタジオに通えない人や、子育て中の人、近所にピラティススタジオがない人など、多くの需要があります。
SNSを効果的に活用するなど工夫することで、認知度が高まり集客しやすくなるでしょう。
ピラティスインストラクターの給料・年収

総務省統計局の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、ピラティスインストラクターの年収はおよそ415万円です。
ただしこの数字は、スポーツインストラクターなど、そのほかのインストラクターも含む平均値です。
また、働き方によって、収入に違いが出ることもあるでしょう。
働き方による年収の違い
ピラティスインストラクターの収入は、次の5つの違いによって差が出る可能性があります。
- 雇用形態
- 経験年数
- スキルや資格
- 顧客数、レッスン単価
- 地域、立地
正社員で働いた場合、安定した収入が得られますし、経験年数やスキルなどにより徐々に収入が増えていきます。
フリーランスとして業務委託で働く場合は、契約数によって収入に変動があります。
また開業した場合も、開業する地域や立地、集客の方法で収入に差が出ることが考えられるでしょう。
インストラクターとして人気が出れば、正社員として働く以上に多くの収入を得られる可能性があります。
年収アップのための方法
ピラティスインストラクターが年収をアップさせるためには、スキルアップや資格取得が欠かせません。
特に最新のトレンドを意識したスキルや資格の取得が効果的です。
例えば、近年ではマシンピラティスが注目されています。
マシンピラティス関連の経験、高度なスキル、資格を持つことで、正社員として働く場合、手当や生徒からの人気などにより収益につながります。
また、フリーランスや副業として働く際の顧客や案件の獲得にも最新のトレンドに対応できるスキルや経験は大いに役立つでしょう。
ニーズのある分野での高度なスキルの獲得や実績がピラティスインストラクターの収入アップにつながります。
ピラティスインストラクターになるために必要な資格はある?

では、ピラティスインストラクターになるためには、必須の資格はあるのでしょうか?
おすすめの資格とあわせて紹介します。
必要な資格はないが、民間資格の取得がおすすめ
ピラティスインストラクターになるために必須の資格はなく、複数の民間資格があるのみです。そのため、インストラクター募集の中には、まったくの未経験でもOKとしている求人もあります。
とはいえ、資格を取得しておくことで、就職に有利になることや、お客様からの信頼性が上がるといったメリットもあります。
また、スキルアップすることで、自信を持って指導できるようになるでしょう。
代表的なピラティスインストラクターの資格
ピラティスインストラクター関連の資格は、難易度の高いものから手軽に取得できるものまでさまざまです。
ここでは、おすすめの資格を4つ紹介します。
IBMA認定ピラティスインストラクター
1つ目の資格は国際ボディメンテナンス協会(IBMA)が認定する「IBMA認定ピラティスインストラクター」です。
3級(Basic)、2級(Advance)、1級(Master)と3種類あり、徐々に難易度が上がっていきます。
指定されたカリキュラムを受講し、認定試験に合格することで資格取得できます。
カリキュラムは、1つひとつのムーブメントについて骨格模型などを基に細かく学び、実際に生徒同士が体に触れて学ぶこともある実践的なカリキュラムです。
カリキュラムの受講を含め、3級(Basic)コースで最短取得時間は27時間、受講料は22万8,690円(税込)です。
なおIBMA認定資格には、ほかに「マシンピラティスインストラクター」もあります。
マット認定資格
世界でも高い評価を受けているBASIのスクールでは、マットのみのマット認定資格、マットとマシン両方の知識を身に付けられるコンプリヘンシブ認定資格を取得できます。
BASIのインストラクター資格は認定要件が厳しく、例えばマット認定資格の場合、6日間の授業すべてに出席することだけでなく、自己実践100時間、レッスン見学20時間、指導練習30時間などの課題が課せられます。
しかし取得することで、世界でも通用する知識とスキルが身に付くでしょう。
マット認定資格の料金は講義を含め35万円(税込)(オンライン講座は税込みで29万8,000円)、コンプリヘンシブ認定資格は99万円(税込)です。
マットピラティストレーナー指導者資格
Body Element System Japan(BESJ)では、認定マットピラティストレーナー指導者資格を取得できます。BESJでは日本人の体格に合わせたピラティスを学べます。
マットピラティストのコースでは、32時間の講習で基礎や60のムーブメント、生徒同士の模擬レッスンなどを行います。料金は税込み19万8,000円です。なお、マシンピラティストレーナー資格の取得もでき、22時間で60のムーブメントや指導法などを身に付けることが可能です。料金は税込み28万6,000円となります。
ピラティスインストラクター
日本インストラクター技術協会(JIA)が実施しているピラティスインストラクターは、ピラティスの歴史や基本が身に付いていることを証明する資格です。
受験資格はないので、ヨガ(ピラティス)に興味があり、まずは簡単に知識を身に付けたい人に向いている資格です。
在宅で受験できます。
受験料は1万円(税込)です。
おすすめの資格取得方法
資格によって、さまざまな取得方法があります。現在の生活環境や仕事、住まい、予算、目的などによって、どの資格をどのような方法で取得するか決めましょう。
養成スクールに通う
おすすめの取得方法として、養成スクールに通学する方法があります。
今まで、ピラティスの経験がない人などは直接体の動きを指導してもらえるため、理解しやすいメリットがあります。
また、受講生同士で切磋琢磨しながら学べる点も大きなメリットでしょう。
ただし、現在仕事をしている人や近くにスクールがない人などは、通えるスクールを見つけることが困難な場合もあるかもしれません。
オンラインで資格講座を受ける
オンラインで資格講座を受講できるケースもあります。
中には、Zoomで講師とつないで、画面越しに指導してもらえる講座もあるため、ムーブメントを直接学べないことが不安な人はそのような講座を選ぶとよいでしょう。
スクールに通って学ぶことに比べ、一般的に費用を抑えられます。養成スクールが近くにない人や、費用をできるだけ安く抑えたいといった人にもおすすめの資格取得方法です。
未経験からピラティスインストラクターになるには?

ピラティスインストラクターになりたいと思っても、未経験では無理なのでは?と引け目を感じる人もいるかもしれません。
しかし未経験からでも、ピラティスインストラクターを目指すことは可能です。
その理由と、インストラクターになるまでのステップを確認しましょう。
ピラティスインストラクターは未経験からでもなれる
未経験からでも、ピラティスインストラクターになることは可能です。
ピラティスインストラクターは、ピラティスに関する知識を身に付けるだけでなく、筋肉や関節の動きや働きなどといった解剖学的知識も必要です。
また「人に教える」技術も身に付けなければならず、敷居が高いと感じることもあるでしょう。
しかし、ピラティススタジオの中には、研修制度が充実しているスタジオがあります。細かな研修を行っているスタジオであれば、未経験からでもスキルアップしていける可能性もあるでしょう。
資格を取得することで、ゼロからでも知識を身に付けることも可能です。
未経験者がピラティスインストラクターになるためのステップ
未経験のままスタジオに勤務することもできますが、将来的にスキルアップを考えるのであれば、次のようなステップをおすすめします。
- 資格を取得する
- 自分に合った就職先を探す
この流れをおすすめする理由を、詳しく解説します。
1.資格を取得する
未経験で就職するのではなく、まず資格を取得する方がよい理由は、就職に有利になる可能性があるためです。
また、資格によっては入社後に資格手当が付く可能性もあるでしょう。
ピラティスインストラクターの資格は複数ありますが、確実にスキルを身に付けたい人は、ある程度時間をかけて学べる資格がおすすめです。無料説明会や体験会に参加し、比較検討してもよいでしょう。
就職のサポート体制を参考にすることも1つのポイントです。
2.自分に合った就職先を探す
資格を取得したら、自分に合った就職先を見つけましょう。
求人募集の中にはホットペッパービューティーワークのように、「未経験可」といった記載のある案件もあります。未経験可の求人の場合、研修制度が充実しているスタジオもあるため、経験を積んでスキルアップしながら働くことが可能です。
また、スタジオに就職する以外にも、フリーランスとして複数のスタジオと業務委託契約をしたり、開業したりなど複数の道があります。
それぞれのメリットや注意すべき点などを確認し、どの道がもっとも自分に向いているか見極めましょう。
ピラティスインストラクターに向いている人の3つの特徴

実際にピラティスが楽しいからインストラクターになれるかといえば、必ずしもそうではありません。
ピラティスインストラクターに特に向いている人は、次のようなタイプの人です。
人にわかりやすく教えることが得意な人
人にわかりやすく教えることが得意な人は、ピラティスインストラクターに向いているといえるでしょう。
お客様にピラティスの効果を実感してもらうためには、深い知識を持つだけでなく、知識を正しく伝えられる指導力が求められます。一人ひとりに合わせた指導を行うため、柔軟に考えられる力も必要です。
体を動かすのが好きで、ボディメイクに興味がある人
自分自身も体を動かすことが好きで、健康やボディメイクに興味がある人は、ピラティスインストラクター向きです。
この場合、運動神経の有無はそれほど問題ではありません。健康やボディメイクに興味を持つことで、常に向上心を持って仕事ができます。
また、努力する姿や、成長し続ける姿はお客様からも信頼を得やすくなるでしょう。
人と関わるのが好きな人
ピラティスインストラクターは、人と関わることが好きな人にも向いています。
ピラティスインストラクターは、レッスンやイベントなどを通して、人と関わることが多い仕事です。そのような人は、誰かの喜ぶ顔を見ることが、仕事に対するモチベーションにもつながり、楽しんで働けるでしょう。
ピラティスインストラクターのやりがい

ピラティスインストラクターには、さまざまなやりがいがあります。
特に、お客様の健康やボディメイクに貢献できることは大きなやりがいといえます。お客様に喜んでもらうことで、自分自身も達成感を味わえるでしょう。
また、次のことも、やりがいといえます。
- 働き方の自由度が高く、理想のワークライフバランスを実現しやすい
- 学び続けることで、スキルアップし続けられる
お客様だけでなく、自分自身も高められる仕事だといえます。
まとめ
ピラティスインストラクターになるには、必須の資格はありません。ただし、民間資格が複数あり、取得する過程でピラティスの知識に加え、解剖学などの知識を身に付けられます。
また、資格の種類によっては、就職や給料面で有利になることもあるでしょう。未経験からピラティスインストラクターを目指す場合は、まず資格の取得を目指すこともおすすめです。
ピラティスインストラクターの仕事は、多くのやりがいもあります。興味のある人は、目指してみてはいかがでしょうか?

監修者:長岡智津子
ヨガスタジオ経営者
Feel株式会社(代表取締役)
日本体育大学を卒業後国立競技場トレーニングルーム勤務し、2017年「Feel株式会社」設立。
35年以上健康に携わる指導(健康増進体操・ソシアルダンス・ポールウォーキングなど)を1週間に200人以上指導。
楽しく・美しく体を動かすことをモットーに性別・年齢を問わず、多くのメニューで心身の健康増進と生きがいづくりのプログラムを提供。
